謎の悪夢
ともかく今日は疲れた。
家に帰った巡李は夕飯、風呂を済ませ自室のベットで伸びていた。
「それにしても…あの会長変だったな…」
自分と葬式であったおばあさんしか知らない言葉を知っていた。
今の俺では、『何かの本で読んだ』もしくは『あのおばあさんと会ったことがある』くらいだった。
色々考えているうちに睡魔が襲ってきた。
「今日は寝るか…」
と言って今日はもう寝ることにした。
春休み期間遊びすぎたせいであまり寝ていなかったからぐっすり寝ることができた。
≪危ない!避けておばさん!≫
そう言って車線に飛び込む少女。見たことがない。次の瞬間。
≪キキッ、キッ、キー。ドシャン≫
飛び込んだ少女がおばさんを抱えて、泣いている。助かって良かった。車は電柱にぶつかり運転手も血は出ているが一応無事みたいだ。
だが、おばさんの表情だけは嬉しそうでなかった。そこまで見ていたのは確かだが急に辺りが真っ白になっていった。
今まで見えていた風景が真っ白になっている。
(何があったんだ…?!)
ここから身動きも取れず、喋ることすら出来ない。
≪あなたはまだ、優しさの意味を知らないのね≫
背筋が凍りつく気がした。
どこから聞こえたか分からないが聞いたことのない声だ。
≪身近な人を守りなさい。それがあなたの…≫
チリリリリーンチリリリリーン
目覚ましの音で起きた俺は、
「なんだよ今日の夢…身近な人を守れってなんだ…?」
今日の夢は今まで見たことはなく、何故か鮮烈に覚えている。
(とりあえず学校か…)
いつもこのアラームは親が起きる前に設定してあり、朝のジョギングをするために早めにしてある。
半袖半ズボンで今日もランニングしに出掛けた。
(それにしても、今日の夢をまだ忘れられないんだけど…まあ、学校いけば忘れるか)
そんなことを考えているうちにいつもの1.5kmのコースを走り終えた。
家に帰りつきシャワーを浴びて、ランニング中に起きた親の用意した朝飯を食べて学校の準備だ。
これがいつものサイクルだ。
用意ができた俺はゆっくり学校に向かった。
「よぉ!榛原ちゃ~ん!」
最近少年Aからの呼ばれ方が一々変わっている。
「おはよ、お前なんで俺の家知ってんだよ」
「あはは~だって、榛ちゃん家教えてくれなかったじゃん!」誰か警察を呼んでくれ切実に。
「それちゃんとした理由じゃないだろ?!」
「気にしないで行こー!」
こんなやつだとは薄々気付いていたけどこいつバカだ。
「あ~はいはい」
軽く受け流し、登校路を少年Aと二人で歩いた。
学校にはやっぱりすぐ着いた。
教室に入り、自分の席に着くとすぐに違和感を覚えた。
(ん?なんか椅子の高さが違うような…)
この学校は優しい事に生徒会が一人一人の座高に合わせた椅子のサイズに調整してくれている。らしい。
「あ、あの…そ、そこは…」
かよわいく可愛らしい声が聞こえてきた。
「え、あっ、ここ谷原さんの席なんだね…ご、ごめん!」
「え、あ、いや…だ、大丈夫ですっ!」
深々とお辞儀をしてくれた。悪いのは自分なのに何か申し訳ない。
席を一個隣間違えていたのか…早く慣れないとな
照れつつ慌てつつ席を離れ自分の席に着いた。
そしてまた始まる。悪夢の授業。睡魔を誘い生徒に睡眠と言う快楽を与えつつ、寝た生徒の評定を下げる授業達が…