結界の中の学校
学校についたのは18時43分だった。
(よし、このまま教室に急ぐぞ!)
教室は3階だ。
階段まで走り、階段を飛ぶように上がり、2階についた時だった。
何か違和感を覚えたのだった。
(今日は平日で、しかもテスト期間でもない。
なのになんでだ。誰もいない。部活してる人も、委員会や生徒会の人達も。)
2階の教室を少しだけ廊下から覗いてみたが誰もいない。
2階の教室をから目を離してまた、階段へ行こうとしたその瞬間だった。
ズシン……
体が動かなくなった。
正式に表現するなら
『重力が倍化された』
と言うかんじだった。時間の経過と共にどんどん重くなっていく。
どんどん重くなる重力に17分くらい耐えた時だった。
急に元の通りになったのだ。重力が戻り、先程までいなかった生徒がいるのだ。
階段の踊り場に座り込んだ俺は時計を見た。
その瞬間背筋が凍りつく恐怖に襲われた。
「ま、待てよ……俺が出たのは18時40分ぐらいで……」
その時計は18時26分を指していた。
「あ、あは……きっと家の時計がおかしかったんだな……あはは……」
こんな反応しかできない理由があった。
自分は家を出る前に『スマートフォン』の時計で確認したからだ。
今一度時計を見てみるが18時26分を指していた。
ふと、我に返った俺は学校に戻ってきた理由を思い出した。
(天葵さんを見つけなくちゃ……)
2階の階段から3階へ向かう途中に阿利と出会った。
「阿利、お前学校なんで休んだんだよ?」
阿利は鼻を触りながら
「いやぁ、まあサボりってやつ?」
と言った。
俺が
(こいつに限ってそれないだろ)
と思ったその時。
「まあ、榛っちには全部教えるって言ったから少しだけ教えるわ」
声のトーンが低くなった。
「正直結界を破られるって思ってなかったわ~
なんで、あの時空間に入ってこれたんだよぉ榛っち~」
さっぱりわからない。
結界についても、時空間についても。
「お~榛っち!頭にハテナマークついてんぞ~
まあ、今回だけ特別に教えてしんぜよう!」
そのまま阿利は語った。
さっき起きた時間の変動の事。
謎の重力感。
のことついて語った。
「まず榛っちさっき『時間が戻った』んじゃないかな?
難しい話をすると、コネクターってやつの俺が張った結界の中にいるからなんだわ。
んで、もう1つ疑問あるっしょ?
すごく『重力が重くなった』でしょ!
あれは結界のシステムなんよね。コネクターの近くに近寄ろうとすると、あぁなっちゃう感じなのよぉ~すまんね!」
少しは分かった。が、1つ大きい疑問が残った。
阿利の言う『コネクター』についてだ。
今はそれより、天葵さんが気になる。
「なるほど……少しは分かったよ阿利。質問なんだが天葵さんはどうなったんだ??」
質問が来ることがわかってかのようにすぐ返事がきた。
「あ?あぁ……天葵さんね。消えたよ。」
急に目の前が真っ暗になった。
それからの記憶はない。
目を覚ましたのは家のベッドだった。
時間を見てみると19時ちょうどだった。
今日あった事は良くは覚えていないが、1つだけ覚えている。
『誰かが消えた』ってことだけ。
その誰かが思い出せない。
無理矢理思い出そうとするとひどい頭痛に襲われた。
今日は疲れたので眠ることにした。
≪なぁ、夢にいつも出てくるお前は一体誰なんだ?≫