天使ちゃんの笑顔
白いティーカップに黒い液体が注がれる。
黒々と注がれる熱い液体に、白いカップはひぃーと悲鳴を上げる。
ゆっくりと指でカップを撫でると、カップが生き返ったように熱くなっている。
娘はゆっくりとカップに口をつけ、すぐに顔をしかめる。
「苦い」くんが口の中で暴れているのだろう。
容器から角砂糖を一つ掴み、カップへと落とす。
ジュワーという響きと共に角砂糖が沈没した船のように黒い海に沈む。
そこから白い雨をカップへ降り注げる。
雨は海をクリーミーな茶色に満たし、白い雨は渦の中へと消えていく。
娘が再度カップに口をつける。
熱く顔をしかめたが、次に表れたのは
天使の笑顔だ。