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第22話

久しぶりのまったり、のんびり優雅な午後である。

これからの事を考えるでもなく、道行くプレイヤー達をぼんやり眺めながら、カフェテラスでコーヒーを啜る。

もちろん、ブラックなんかで飲める筈もなく、ミルクと砂糖は標準装備だ。

アルはというと、隣りの椅子に座って、のほほんと使い魔用ドリンクを飲んでいる。

そろそろ人間ウォッチングにも飽きてきたので、せっかくログインしているのだから、とりあえず幻夢の事について何か面白い事がないかと思い浮かべる。

先ず最初に、ここ最近の自分の行動を振り返ってみると、


「俺らしくないな……まったく」


幻夢を始めた直後は、いつも通りのプレイスタイルだった気もする。

自分から知り合いを作ろうとせず、ソロでのプレイしか考えていなかった。

しかし、いつのまにかフレンドリストには7人もの名前が登録されている。

俺の情報を売って稼いでいたポータはおろか、明らかに敵対関係っぽいレオの名前までが何故か登録されていたりする。

今までのゲームでは考えられなかった事だ。

妙にリアルについて聞いてくるプレイヤーに引いてしまったり、やたらと性別に拘るプレイヤーを敬遠してしまったりと、同じゲームをやってるリアルの友人以外とはフレンド登録など滅多にした事はなかった。

他のプレイヤーに上手く話しかける事が出来ず、狩り場が被って野良PTを組む事になっても効率重視の無言PTで、とても仲良くなれる雰囲気にならなかった……毎回そうだったわけじゃないけど。

せっかくのMMORPGなのだから、もっと人当たりのいい人間をロールプレイすれば良かった。

どうせ、リアルではどんな人間なのかわからないのだから、普段とは違った自分を演じたらもっとゲームを楽しめた筈だ。

嫌われたとしても本当の自分じゃないと言い訳出来たのだから。

あー、何が言いたいのかと言うと、頭の中や家族、ゲーム仲間以外には縮こまってしまって、素の自分を出す事が出来なかったのに、幻夢では思いっきり素の自分でプレイしてしまっている。

まあ、相変わらずのソロプレイなのは悲しいところなのだが……。

カナタさんやマシロさん、レオにネイスさんにポータ、ミューさんにマチュアさん。

どの出会いも、もちろん緊張はあった。

しかし、アルを交えての交渉、突然のアルのボケにツッコミを入れたりしている内に、自然と緊張なく会話を成立させている自分がいた。

やっぱり、


「アルのおかげか、な」


って、何を言っちゃってるんだ俺はっ!!

むぅ……、なんか物凄く恥ずかしい事を考えていた気がする。

しかも、ちらちらと見ていたのに気付いたのか、アルがこちらを不思議そうに見ているし。

い、いかん。何か話して誤魔化さねば!


「あー、い、今の仕事って月にいくら貰ってるんだ?」


って、何言っちゃってるんだ。

いくら話題がないとはいえ、俺は親戚のオッサンかっ!

それ以前にAIなんかに聞いてどうするよ……。


「え〜と、手取りで大体84万え、んっ!?」


「へぇー、結構貰ってるん……えっ!?」


聞き間違いじゃないよね? よね? よね?

84万ってどんだけ高給取やねんっ!!


「「…………」」


じゃなくって!!


「ま、前々から、怪しい怪しいとは思っていたが、お、おまえ」


「ナ、ナニイテルデスカ? ユウエンチノマスコットノナカニ、ヒトナンテイナイデスヨ! サンタサンハ、オトウサンナンカジャナイ、デス、ヨ? …………アハハ、ハ……ハハ」


いや、動揺し過ぎで思いっきり片言になってるから。

しかし、使い魔AI。

やけに人間臭いとは思ってはいたが、こんな裏があったとは……。



………。



……。



…。



「で、リアルの性別と年齢、住所を聞き出そうとしたところで、目が覚めちゃったんだ」


「四季。……”ウメボシ”と”ゾウキン”どちらがいいかしら?」


輝かんばかりのかあさんの笑顔と共に、魔の二択が突き付けられた。

素敵な朝食時の一コマであった。



―――――



「ぬ、ぬぅ……、まだこめかみが痛いような……」


「大丈夫ですか? シュウ」


ログイン後にまで痛みを継続させるとは、流石はかあさんである。

イベント中、経験値2倍と悪魔の卵というエサに釣られて――食事と風呂以外――ほぼ全ての時間を狩りに注ぎ込んだせいか、萌え……燃え尽き気味な、今日この頃。

ストレス解消や楽しむ為のゲームをやって、逆に疲労をためるっていうのは激しく間違ってる気もしないでもない。

まあ、それでもログインするのを止められず、こうして当てもなく街をぶらついてる俺は、間違いなく重症ゲーヲタなんだろう。


「ああ、なんとか大丈夫だ。それより、そろそろ飯でも食うべ」


「そうですね」


残念ながら、まだプレイヤーの料理屋などがない――広場にまで行けば、露天で屋台っぽく生産品を売ってるが――現状では、NPCのレストランしかないので、どこに入っても味もメニューも同じである。



―――――



「俺は……いつものにするか、アルは何にする?」


「水晶ソーダを1つお願いします」


この水晶ソーダ、地味に狂的……もとい強敵だ。

名前に水晶と付いてはいるが、当然の事ながら本物の水晶が入っているわけではない。

まあ、そんな飲み物高過ぎて絶対買わないが……。

ちなみに主なというか、唯一の材料はスライムがドロップするスライムゼリーである。

スライムには、嫌な記憶を思い起こさせられるので、苦手意識があったりなかったり。

ソーダと言うのも、製造過程でどうしても出来るのか、炭酸飲料の様な小さな泡がたくさん見られる為、それっぽいという理由で安易に付けたとしか思えない。

もちろん、本物の炭酸飲料の様に泡が動くなんて事はなく、静止したままだ。

口当たりはねっとりしていてのどに張り付き、味は薄っすらと甘みが付いている程度。

まあ、そのなんだ……既に経験済みだったりするんだ。

はじめて店に入った時に、ソーダと言う名前に惹かれてあっさり頼んでしまったんだよ。

完全に頭の中ではソーダのつもりだったから、一気に口に入れたせいで死の危険を感じたさ。ふふふふふ。


「そ、そうか。じゃあ、タルタルステーキ1つと水晶ソーダ1つを」


『では、ご注文を繰り返させていただきます。タルタルステーキをお1つと水晶ソーダをお1つでよろしいですか?』


こんな注文の確認は本来なら聞き流す所だが、そんなプレイヤーの気の緩みを上手くついたトラップだったりする。

途中で了承の返事をすれば省略出来るのだが、そうするプレイヤーは現在ではかなり少ない筈だ。

というのもこのNPCのウェイター、それほど高い確率ではないが、どの店でも注文の聞き間違いをしやがるのだっ!

上記は、すでに4回も被害にあったマシロさん――あの男気溢れる性格のせいか、何度被害にあっても毎回確認は省略するそうだ――からの情報で、某掲示板では開発チームの悪意の詰まった悪ふざけとしか思えない仕様との噂もあったりする。

某掲示板情報なので真偽は謎なのであるが、実際にマシロさんがバグ報告のメールを出しても、修正するどころかメールを返信すらして来ないので、噂は真実なのだろうと思われる。

悲しい事だが……。


「はい」


『かしこまりました。少々お待ち下さい』



―――――



「やっぱ美味いな」


ゲーム内なので生肉でも食中毒の危険がない為に、安心して食べられるのも美味しさの要素になってるのかも。


「ええ、このマッタリ感がなんとも」


「いや、そっちはどうでもいいから……」


マジでゲテモノ料理は勘弁して欲しい。

まあ、例え材料にゾンビの目玉やオークの心臓を使っていたとしても、所詮はデータに過ぎないので気にせず食べればいいだけの話なのだが、余程図太くない人間じゃないとスルー出来ない事だったりする。

かくいう俺も、普段食べているNPCレストランの料理に、これらの食材を使用している事が判明したその日、店の全メニューの使用食材をNPCのコックから聞き出したのは懐かしい思い出である。

ちなみに、調査の結果、この店にある30種類のメニューの中で安全な料理は6種類だけだった。

しかも、狙ったかの様に高額ベスト6。


「情報を制する者は世界を制す。くっくっく、見ろ、あいつ。オークの耳を美味そうに食ってやがる」


うわ。あっちの女の子、腐肉の入ったハンバーグを……な、何故か微妙に興奮……。

いやいや、変なものに目覚めてはダメだ。がんばれ、俺っ!


「シュウも美味しそうに食べてましたけどね」


「ぬっ!? せっかく人が無かった事にしてるんだから、思い出させるなよ……」


脳裏を過った味を忘れるべく、タルタルステーキを口に入れる。

絶対に俺は、オークの耳が入ったスープを美味い美味いと飲んだ覚えはないぞ。

こりこりとした歯応えが良かったなんて、


「あっ、シュウ君じゃないか、アルちゃんも久しぶりだね」


…………ぶつぶつぶつぶつ


「お久しぶりです、カナタ」


腐肉の入ったハンバーグなんてもってのほかだ。

肉汁が溢れてきてジューシーだったなんて、


「シュウ君? おーい」


…………ぶつぶつぶつぶつ


ましてや、ゴブリンの指が入ったカレーライスなんて、


「カナタ。多分聞こえてないですよ」


「そうか、しょうがないな。……シュ・ウ・く・ん!!」


な、なんか、身体が揺れてる。

地震か? って、


「へ? ぬわっ! カナタさん?」


突然身体が揺さぶられたと思ったら、目の前にカナタさんが出現して吃驚仰天である。

どうやら、思考がダークサイドに落ちかけていたので気付かなかったが、カナタさんに話し掛けられていた様だ。


「やあ。久しぶりだね。相席させてもらってもいいかな?」


「は、はい。どうぞどうぞ」


「じゃあ、失礼するよ」


と何事もなかったように向かい側に座る。

そういえば、他のプレイヤーと一緒に食事するのは初めてだな。


「シュウ君はタルタルで、アルちゃんは……っ!? 水晶ソーダか!」


どうやらカナタさんも経験者のようだ。

もしかしたら、誰しもが通る青春の1ページなのかもしれない。

嫌過ぎるが……。


「カナタさんも飲んだ事があるんですか?」


「ああ。cβの時にねぇ」


どこか遠い目で話すカナタさん。気持ちはわかる。

サラマンダーの怒りほど強烈ではないが、結局は同じお花畑直行コースだったりするので、ふと現物を目にした時に封印した記憶が一気に蘇えるのだ。


「2人とも、そんな嫌そうな顔をして、お店に失礼ですよ。こーんなに美味しいのに」


「それってお前だけだから」


「うん。正直、僕もシュウ君の意見の方に賛同させてもらうよ」


本当に美味しそうに水晶ソーダに口をつけているアルを見ると、ふつふつと殺意が湧いて来る気がするが、それ以上に、あの強力な粘性を持つ半固体をどう飲み込んでいるのかが、かなり疑問である。

当然の事ながら、疑問が解消された所で2度と飲む気はない。


「そういえば、カナタさんって料理の材料に気を付けてます?」


必要以上に何故か声を潜めてしまった。

まあ、他のプレイヤーに聞かれたところでこっちに不利益などないのだが、タダで情報を提供するのは癪だったりする。

我ながらせこい気もするが。


「おっ、流石だね。タルタルを選んだのは、やっぱり偶然じゃなかったのか」


「ええ、しばらくは知らずに食べてましたけどね」


「攻略サイトにも敢えて載せてないようだから、気付いてる人は少ないと思うよ。調理スキル上げている人は滅多にいないみたいだし。ま、世の中には知らない方が幸せな事があるんだと改めて知ったね、僕も」


もう食べ終わって帰ったようだが、腐肉入りハンバーグを食べていた女の子なんて、もしも知ってしまったら物凄いショックを受けるのは確実だろう。

やはり、ニヤニヤ観察していたのは間違いではなかった。

人として間違ってる気はするけど。


「じゃ、いい加減、僕も注文しようかな」


そう言ってテーブルの端に置かれたベルをカナタさんが鳴らした。

そういや食べ終わってないのに結構話し込んじゃったな。

まあ、冷めたりする料理じゃないから良かったけど。


『いらっしゃいませ。こちらが当店のメニューとなります』


ベルで呼ばれたNPCのウェイターが、水をテーブルに置くと共にメニューをカナタさんに差出す。

何注文するんだろ。

まあ、ゲテモノを避けると6品しかないから予想は付くけどな。


「じゃあ、スパイシーカツレツを1つ」


「えっ!?」


思いっきりゲテモノですけどっ!?

ん? いや、まあ、リアルでもある食材だからいいのか?


「どうかしたかい?」


「い、いえ。なんでもないです」


きっと好きなんだろう。

俺は正直ごめんだが……。


『では、ご注文を繰り返させていただきます。スパイシーカツレツをお1つでよろしいですか?』


「ああ、それで頼むよ」


『かしこまりました。少々お待ち下さい』


颯爽とウェイターが厨房に注文を伝えるべく歩いて行く。



―――――



もともと量が多い料理じゃないので、すでに食べ終わってしまったが、カナタさんと雑談しながら食べ終わるのを待つ事にした。

そして、美味しそうにカツを食べるカナタさんに対して、先程の疑問に思った事を何気なく口にしてみる。


「でも、カナタさんが蛙の肉が大丈夫だとは、正直意外でした。リアルでもよく食べたりするんですか?」


「えっ? ………………かーえーるぅ?」


思いっきり凍りついた様に固まるカナタさんの笑顔。

も、もしや……。


「は、はい。え? え? あれ? 知ってたんじゃなかったんですか?」


「い、いや、鶏肉だとばっかり……おかしいな。cβの時にちゃんと確認したんだけどな」


やはり、知らなくて食べてたのか。

カナタさんの記憶違いじゃないとしたら、


「多分ですけど、サービス開始の時に少しだけ仕様変更があったから、その時に一緒に変わったんじゃないですかね?」


「そ、そうか……、若干味が変わったなとは思ってたんだが、まさか食材が変わっていたとは……」


「いいじゃないですか。リアルでも食用として存在するんですから。ははっ、はははははは」


ナイスフォロー、俺。

これで何か別の話題を振れば


「リアルにジャイアントフロッグの様にグロテスクな食用蛙はいないと思いますよ」


「「…………」」


ぼそっと余計な事言うなよ……、アル。



―――――



とりあえず、「所詮データだよ。データ」ということで強引に空気を変え、食後のコーヒーを飲みながらまったり会話する事になった。


「で、今何レベルくらいになったんだい? やっぱり、今回のイベントで結構上げたんだろうね」


「えっと、53になったところです」


イベント終了ぎりぎりまで粘り、狩り時間確保のためにテレポ石まで使ったかいもあって結構上がったのだ。

まあ、そのせいで適正レベルを外れたから、次からは新しい狩り場に行く事になったため面倒でしかたがない。


「ソロでその速さは凄いな。まあ、学生の強みもあるんだろうけど……、”宿題終わってない”は、夏の風物詩だからねぇ。大丈夫かい?」


「そこのところはご安心を。夏休み入ってすぐに終わらせましたから」


ゲームの為なら、普段苦手な事でも思わぬ力を発揮するのが、自分のダメ過ぎるところだろう。

そういう時は半ば暴走気味なので、正解率は推して知るべし。


「それにしても53か。誰かが作ったギルドに入るつもりもなさそうだし、自分でギルド立ち上げるのかい?」


「あー、ギルドですか……、そういえば、そういうのもありましたね」


自分には関係ないと思ってたから、完全に忘れていたな。

ギルド、ギルドかー、どうしようかな。

ん? そういえば、


「そういえば、カナタさんはどこか入らないんですか? まだ入ってませんよね? テスターの知り合いとかから勧誘が多そうですけど」


「うーん。確かに結構誘われるんだよ。ただ、ギルドに入るメリットってギルマスかサブでもないとそんなにないから、ただのギルメンとして誘われても、ちょっとね。痛いギルメンがいる所に入っちゃったら、便利なアイテム製造機として使われそうだしね」


「そうですよね。ないと思いますけど、素材だけ渡されて作ってとか言われたら……。それに、ギルド経験値を貢ぐだけってのも嫌過ぎですし」


幻夢でのギルドのシステムは、ギルメンが得た経験値の一部をギルド経験値として徴収する事によって成長する仕組みになっている。

ギルメンが戦闘で得た経験値に対して何%がギルド経験値として盗られるかは、ギルマスが自由に設定出来る。

その代わりにギルドレベルが上昇した時に獲得するギルドポイントを割り振る事で、ステータス上昇やスキル熟練度が上昇しやすくなる等の特典もある。

まあ、一方的に搾取されるだけなら誰も入らないので、当然といえば当然なのだが。

ただし、ギルドポイントをどの項目に割り振るかはギルマスしか選べず、更にギルマス、サブ、ギルメン、研修生の順でステータス上昇などの増加割合は少なくなっていく。

ぶっちゃけ、大手ギルドのギルマスやサブは勝ち組というわけなのだ。

かといって、馬鹿みたいに人数集める事だけ考えて、誰でも入れてしまうとトラブル処理に追われるし、痛いギルドとして晒されるという危険性もあるので、ギルメン加入の見極めはとても難しかったりする。

何が言いたいかというと、…………どうしようかなぁ?


「もしも別のギルドに入る事になったらギルドに吸われた経験値が勿体無いけど、とりあえずソロギルドを作るのもいいかもしれないね。ギルドレベルが上がりやすい5まであげて、スキル熟練度上昇にポイント全振りするだけでもスキル強化が随分楽になるだろうし、経験値を吸われるのが嫌になったら0%に設定するだけでいいからね」


「それいいですね。勧誘除けにもなりますし、ギルマスだから受けるボーナスも大きいですし」


「勧誘を受けた事ないですけどね」


いいじゃんか、見栄を張ったって。

幻夢ではまだないけど、別ゲーで多少は勧誘された事あるんだよ。


「そうなのかい? シュウ君ぐらいの高レベル使い魔持ちはかなり勧誘が酷いと思うよ。まあ、変に有名だから逆に勧誘しづらいってのもあるかもしれないね」


「へ、変に有名……」


細々とゲームを楽しみたかっただけなのに、何この仕打ち。

そりゃ、スタートダッシュしたり、トップ集団に入りたいなーとは思ったりもしたけど、理想と現実の落差は一体。


「ミューとマチュアも変態だと思ってた」


「いや、それはお前のせいだからっ!」


「へ、変態? ……しゅ、シュウ君。年長者として、それはちょっとどうかと思うよ」


何なの? この負のスパイラル……。

神様、俺が何かやりましたか?



―――――



うん。数日続いた激務に対する小休止のつもりだったんだけどね。

余計に疲れた気がするよ。

カナタさんの誤解はなんとか解けたと思う……、解けてたらいいなぁ。

誤解を解いている最中にぼそっとアルが余計な口を挟んだせいで、微妙な所かもしれない。

教育的指導として魔の二択を選択させた。

「どっちも嫌だ」等とふざけた事を抜かしたので、両方お見舞いしておいた。

本来、ダメージも痛覚に影響も与えない筈――そもそもAIに痛覚って――なのだが、”ウメボシ”はかなり効いたようだ。

特殊スキル【おしおき】の技だという設定なのだろうか?

もしそうだとしたら、開発チーム初めてのGJ。



―――――



アルルーナ成長日誌



Lv49 HP:1526 SP:281


STR:328 VIT:395 INT:402 DEX:141 AGI:143


攻撃力:187 魔法攻撃力:213 防御力:246 魔法防御力:232 敏捷度:149


【通常攻撃】[消費SP― 無属性]

根っこを鞭のように使い攻撃する。


【悲鳴】[消費SP5 精神属性]

悲鳴を上げ対象を気絶させる。


【奉仕の実り】[消費SP― パッシブスキル]

主人に対する想いが特殊な果実を生み出す。

奉仕の果実を1時間毎に3個自動生成。


【毒花粉】[消費SP18 土属性]

頭に生えている花から花粉を飛ばし、対象を猛毒状態にする。

5秒毎に現在HPの3%ダメージを与える。


愛情度:??? [神経質な変態]

満腹度:100% [満腹]


備考:

シュウ変態説を流布する企みを持っているようだ。

抑止力を手に入れたので、なんとしても阻止してみせる。


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