挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
チート戦線、異常あり。 作者:いちてる

6章 黒白の悪魔

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

87/219

少女たちの戦い 2

 コメントで指摘されましたが、前回の前書きでタイトル変更をするみたいなことを書いていましたがそれは間違いです。
 新しいタイトルを考えてこっちのほうがふさわしいんじゃないかと思ったけれど、一年間慣れ親しんだ『チート戦線~』を変える気はありません。
 でもせっかく考えたんだから『境界上の少年少女』というタイトルを記憶の片隅にでも追いやってください。
 と伝えたかったんです。

 言っていることが真逆で一番驚いているのは私ですのでどうかご容赦ください。

 レート2000超えて二ケタ順位になっていることを報告したかったのに残念でなりません。
 フェイズ2が失敗すれば、『お金を稼ぐ行為を邪魔する』と脅迫するフェイズ3があったがそんなことはどうでもよくなった。

 5歳の頃の嘉神君。

 初めて写真で見た。

「…………ふふ」

 可愛い。

「隣いいですか?」

 普段はかっこいい彼だけど、こういう所も素敵。

 高校生の嘉神君は守ってもらいたいオーラがあるけれど、こっちの嘉神君は守ってあげたい笑顔だ。

「おーい、真百合さーん」

 人を物とも思わないゴミを焼き尽くすような赤黒い目ではなく、人の心を温める太陽のような心地よい赤い瞳。

「で、無視……と。いいですよーだ。わたしにも考えがあります。すみませーん。苺パフェ一つください」

 これはショタに目覚めても仕方ない。

 誰も私を責めることはできない。

「いえ、ロリコンは病気です」

 普段の妄想はご主人様プレイか飼い主様プレイが大半を占めるが偶にはお姉さんプレイも一興でしょう。

 設定は……そうね……となりのアパートに住んでいるでいいわね。

 高校に進学する為親元を離れ一人暮らしをする私。

 借りたアパートの隣に嘉神君一家が先にいたの。

「なにか始めましたよこの人」

 初めは人見知りで懐いてくれなかったけれど、次第に一緒に遊ぶようになるの。

「いててて」

 親御さんは嘉神君を私に預け町内会の旅行で熱海に3泊4日の旅行にいっている。

「んなご都合主義実際にあり得ません。実の子供を赤の他人である高校生に預けるなんて。もうちょい設定練った方が良いです」

 でも私には誰にも言えない秘密があった。私は嘉神君を一人の異性として愛してしまっている。

「はい。言わなくても分かっています」

 それも性的に。

「ちょっと嫌な予感」

 初めはこの気持ちを抑えようって思っていたけれど、このチャンスは神様が私にくれたものに違いない。

 まず、あえて泥遊びに誘います。

 近所の公園で少し周りの視線が痛いけれどこの後の天国の為私は耐える。

 二人とも汚れることで、合理的に一緒にお風呂に入れる口実をとりました。

「………………」

 初めは一緒に入るのを嫌がっていたけど私の裸を見て気が変わってくれました。

 男の子ですものね。仕方ないわ。

「これがジャパニーズHENTAIですか」

 まずはシャワーで体についた汚れを洗い流す。

 嘉神君は水が目の中に入らないよう目をつぶっているので私が何をしようが気付くことはありません。

 それをいいことに彼の体をまさぐります。

 驚いて目を開きましたがそれは計算済み。

 視界の先に私の乳房を設置している。

 これにくぎ付けになった嘉神君は硬直して動けなくなった。

 当然下のあそこも硬直している。

「あかん、これ以上はあかん」

 狙っていたけれどそれに今気づいたことにして

『いま私のおっぱい見てたでしょ』

 と指摘。

 慌てて否定するも子供なのですぐにぼろを出した。

『お母さんにばらしちゃおっかな』

 慌てだす嘉神君。それを見て満足する私。

『黙っててほしい?』

 こっくりとうなずいた。

『じゃ、こうしましょう。私が黙ってあげる代わり、一つお願いがあるの』

 当然その内容は法律に引っかかることだけれど幼い彼にはその知識が無い。

『もちろんこのことはお姉ちゃんと一樹君の二人だけの秘密、分かった?』

「お待ちしました。苺パフェでございます」
「ほんと待たせました」

 その内容とはお互いに人前ではできない恥ずかしいことをして秘密を共有しるということだ。

 まずお互いの性器を――――

「生クリームショット!!」

 私の顔に精s……生クリームがかけられた。

 かけた相手は私の天敵、月夜幸。

「何をするの!?」

 売れない芸能人みたいな扱いをされ憤る私。

「何をするのですかって!! それはこっちの台詞です。あなたこの小説をポルノ小説にするつもりですか?」

 また訳の分からないことを。

「人の妄想を邪魔しないで」

 さて、続き続き。

 今から良いところなんですもの。

「…………そんなことしてる暇ないでしょ。嘉神さんが今どういう状況か知らないんですか?」
「…………」

 知っている。

「分かってる。宝瀬で今何とかしてるの」
「目途は立っているんですか?」

 悔しいが立っていない。

「でしょうね、結局宝瀬さんは何もできない無能さんなんですから」

 反論できなかった。

 悔しいが自分でもそう思っている。

「現実逃避している暇あったらもっと現実的な事しましょうよ。例えばそうですね……あなたに相応しいあだ名を考えて見てはどうでしょう?」
「あなた落ち込んでいる私を励ましに来たんじゃないの?」

 今私はいつも以上に精神的に不安定な状態なのに。

「いやいや、わたし言いましたよね? あなたのことが嫌いって。そんな相手が落ち込んでいる時は当然畳みかけるに決まっています」

 1+1の答えを伝えるかのように自信満々に伝える月夜。

「最低ね、あなた」
「今さらです」

 恐らく彼女はもう取り返しのつかない所にいる。

 私と同じ普通の人間には戻れない。

 そう思うと彼女に対して怒りではなく憐れみの感情が湧いてきた。

「メンヘラマゾビッチ、性病臭、異常性欲アスモデウス、私が考えてきたのはこの3つなんですけど宝瀬さんはどれがいいですか?」
「どれも嫌」
「わがままですね」

 その表情は笑顔。
 楽しそうに私を侮辱しているそいつは笑顔。

 頬を緩め私を見下す。

 だがそいつは私に瞳を見せることは無かった。

「それで、わざわざそんな事言いに来たわけじゃないでしょ。本題は?」
「そーでしたそーでした。私宝瀬さんにお願いがあるんです」
「あなた……さっき侮辱した相手に物を頼めるって思ってるの?」

 あり得ない。

 こいつの神経はどうかしている。

「当たり前です。これをどうぞ」

 手渡されたのはパックに詰められた男性用の下着。

「これはですね」

 言わなくても分かる。

「嘉神君のパンツ!? 何処でこれを!?」

 当然そういうものを最優先に保管しているが、彼基本衣服を捨てない。

 使えるだけ使って使い終わったら雑巾にしたりその後焚火の燃料にしたりしてなかなか手に入らないのだ。

「半年前廃品回収のボランティアをしたとき、多幸福感ユーフォリアの予期で手に入れてました」

 まさかこんなことになるとは思いませんでしたと付け足したが今の私にそこまで聞く余裕はなかった。

「あげますけどお願いですからここで被らないでくださいね」
「…………当たり前よ。そこまで見境のないとでも」

 危なかった。

 言われていなければ被っていただろう。

 別に私は彼のパンツを頭から被ることに恥なんて微塵も感じないし、むしろ恥だと思うことに恥があるくらいの境地に立っているが、それを彼が知ってしまったらとんでもないことになるので隠す。

 世論なんて滅びればいいのに。

 仕方ないので家に帰って思う存分被る。

 なので今は嗅ぐだけで我慢することにした。

「…………同類と思われたくないので用件をさっさと伝えますです」
「お金をください。100万くらい必要です。正直返せる当てはありません。ですのでください」
「2つ目はパスポートを作ってください。手続きが面倒です」
「3つ目は、博優学園の使われてない花壇をわたしが好きに使える許可をください」

 思っていたのより軽い要求だった。

「何が目的?」
「未来を創るためです」

 聞いたけれど興味なかったわ。

「パスポートについては2週間かかるわ。それでもいいかしら」
「十分です。夏休みまでに作ってくれれば結構です」

 聞いた感じ、特に害になることはない。

「花壇の件だけど園芸部にでも入ったら? 」

 去年まで園芸部があったが部員数がゼロで現在廃部になっている。

「そんなことして、もし誰かが園芸部に入ったらどうするつもりですか? わたしなんかと一緒に作業する羽目になりますよ」

 すごい理屈だ。

「それに、好き勝手に出来ないですし」

 こいつにはこいつの思惑があるのだろう。

 花壇一つや二つでそこまで重要なことになるとは思えない。

「いいわ。あなたの願い聞いてあげる」

 まずお礼として一束渡した。

「ありがとうございます」

 心にもないことを言われた気がする。

「それで、結局嘉神さんのことなにか分かりましたか?」
「……なにも」

 本当にわからないままで終わったが、たとえ教えてもらっても同じことを答えていただろう。

「でしょうね。それとわたしからも一つ忠告が」
「なに?」
「わたしも分からないってことです。多幸福感ユーフォリアを持ってしても知ることが出来ない。それが意味すること、あなたなら分かりますよね?」

 多幸福感ユーフォリア

 最初に知った時『運命』の能力かと思い、そこまで重要視していなかったけど実際は『法則』のさらに上を行く、嘉神君と同格の、最強最悪のギフト。

 最大多数最大量の幸福を得られるギフト。

 日常生活において全く効果をなさないと思っていたが、実際は真逆で日常生活にこそ効果がある。

 人生は選択の連続で、その選択を間違わずに生きていけるというのは、それだけで勝ち組を意味している。

 しかも2択や3択じゃない。無限にある選択肢の中の最適解を導いていけるのだ。

「単純に考えると知っていても知らなくても周囲に影響が出ない。もしくは知らない方が良い情報」
「その通りです。とはいえあなたもそんなこと分かっていますよね」

 ええ。分かっている。

「初めはね、あんまり彼の過去を暴きたくはなかった。恐らくそれは嘉神君にとって急所になる所だったから。でもそれは間違いだったって気づいたの」
「……嘉神さんと何があったのかは聞きません」
「そうしてくれると助かるわ」
「邪魔はしませんし手を貸しません。あなたが自分の意思で決めたことです。自信を持って……野垂れ死んでください」

 一瞬褒められたのかと勘違いをした。

 こいつが私を評価するなんてあり得ないのに。

「あれ? もしかして褒めてもらえるって思ってたんですか?」
「……」

 そして隙を見せると躊躇なく襲い掛かってくる。

 私も彼女も根本的にはケダモノだ。

 人間じゃない。

 でもその獣は同じ種ではない。

 食うか食われるかのわたしと奪うか奪われるかのかのじょ

 獲物を獲得してもその後奪い取るこいつとは相性が悪すぎる。

「本当に、私、あなたのことが苦手だわ」
「……そうですね。ところで宝瀬さん。じゃんけんってしってますか」

 いくらなんでもそれを知らない人間はいない。

「パーはチョキに勝てなくて、そのチョキはグーに勝てなくて、ではグーが最強かというとそれは間違いで、パーに負けてしまう。良く出来たゲームです」
「それがどうかしたの?」
「で、わたしと宝瀬さんと早苗さん。この三人も似たような関係にあると思うんです」

 頭の中でシミュレートしてみる。

 確かに。

「早苗さんはあなたに勝てず、あなたはわたしに手も足も出ず、わたしは早苗さんに敵わない。そういった関係式が成り立っています」
「そうね、それがどうかしたの?」

 そんな面白い話をしたいわけじゃないのは分かっている。

「ですがちょっと待ってほしいんです。じゃんけんでチョキがパーに勝つ。これは納得できます。紙はハサミによって切り刻まれてしまいます。グーがチョキに勝つ。これも納得できます。ハサミじゃ石は切れませんし、無理に切ろうとすると刃こぼれを起こしてしまいますです」
「それで?」
「ですが、パーがグーに勝つ。その理屈がわたしには理解できない。紙が石を包んだところで何ができるんですか? 1グラム程度しか質量を持たない紙切れがその何百倍の石に影響を及ぼせるとでも?」

 そう言われたらその通りかもしれない。

「でもそれはそういうゲームでしょ。言いたいことは分かるけれどそういうゲームだから納得するしかないじゃない」
「そうですね。バランスの為に強者が適当な理由をつけて弱者に負けている。そのシステムに対してなにか意義を求めるつもりはありません。しかし現実ではこうはいかない」

「結局蛞蝓は蛇に食べられてしまいます。
蟻が噛んだところで象は気にも留めないでしょう。
皇帝は圧倒的な力で奴隷を寄せ付けません。
火を消すほどの力を持った水を草に与えたら枯れてしまいます。
ご都合主義を省いたら、世の中なんて強いか弱いかでしかないんです」

 相性なんて存在しない。

 上か下か、それだけの話。

 もしもこの世界がゲームなら『物語』の能力は『時間』に負けた方が面白くていいのかもしれない。

 でも実際は違う。

 相手にもならない。

「つまりあなたはこう言いたいわけ? 私があなたを苦手としているなのではなく、単純に力の差だって」
「はい。ですがいいえでもあります。先ほどわたしはわたしたち三人の関係をジャンケンみたいだといって、あなたも納得してくれました。では続いての質問です。誰がグーで誰がパーだと思いますか」

 その質問はもはや質問にすらなっていなかった。

「あなたがグーでしょ? 『物語』の能力を持って、勝てない理由も友達だからだなんて、だれがどう見ても最強は貴女じゃない」

 月夜はかつて私に見せた、見上げながら見下すそんな表情をとった。

「だからあなたは無能パーなんですよ」

 その言葉の意味を私は理解できなかった。

 いいえ、言いたいことは理解していた。でもそれを納得できなかった。

 いきなり1+1の解を3だと言われ、完璧にそれを証明してみせられても今までの常識をそう簡単に破棄できなかったのだ。

「では、そろそろいきます」

 彼女の要件はこれで終わったらしく小銭を机に置いて立ち上がる。

「どこに?」

 何となく、問いを投げかける。

 別に答えてくれなくても構わないし、答えを教えてくれるとも思っていなかった。

 しかし月夜は、笑って答えたのだった。

「地獄……ですかね」



+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ