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チート戦線、異常あり。  作者: いちてる
3章 月夜幸と宗教戦争
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理科の時間

 視点が一時的に変わっています。

 感想はありですが突っ込み禁止です。

 もう一度言います。感想はありですが突っ込み禁止です。

 戦いとは何か?


 この問いに対しての答えは様々だ。


 あるものは『生甲斐』あるものは『趣味』あるものは『生きること』あるものは『避けるもの』。


 嘉神一樹にとっては『手段』でしかなく、嘉神一芽に至っては『目的』に過ぎない。


 そして神薙信一にとって戦いとは『作業』である。


 例えるなら宿題で読書感想文を書かされるようなものなのだ。


 ただ単に煩わしいだけ。


 提出すれば宿題が終わるように、戦えば勝つ。


 彼がやるのは、戦ってそれをどうやって魅せるかである。


 最強より強く、無敵より敵無しの、越えてしまった人間。


 神薙信一はそういう人種なのだ。


「来いよ。遊んでやるぜ」


 突如現れた男に三人の護衛は戸惑いはしたが、そこはプロ、すぐに気持ちを切り替える。


 この男を倒してから嘉神一樹を追う。


 それで十分に間に合う。


 三人の共通認識だった。


「…………拙者から参る」


 最初に動いたのは侍だ。


 位置取るギフト座刀位置ラストサムライを使い神薙信一の真正面から日本刀で襲い掛かる。


 襲い掛かり、日本刀が折れた。


 それだけではない。


 右胸から斜めに日本刀で傷付けたのと同じような傷がついた。


「莫迦な……」


 神薙信一は何も武器らしい武器を持ってはいない。


 ただ侍の血が彼の左手から零れ落ちていた。


「物を斬るためには底面積且つ高圧力、つまりは細くて速い、この二つの条件が必要だ。そこで細さに重点を与えて出来た武器がワイヤーを使った糸で物を斬ることだが、だったら逆も考えるべきだぜ。圧力を与える物体がどれだけ太かろうと、高圧力、つまりは速く動かせば物は斬れるんだぜ」


 要約すればものすごく速く手を動かしただけである。


 それだけで物は斬れる。


 肉体だろうが鋼鉄だろうが速く動かせばそれで済むのだ。


「安心しろ。急所は外しているぜ」


 侍は何も言わずに気を失う。


「一人目、次はどうする?戦うか戦わないか好きな方を選ばせてやるぜ」

「当然っ戦うっ」


 侍が倒され次挑んだのは鎧の男だ。


 この時鎧男には勝算があった。


 結局この男は速いだけ、そしてその速さなら何よりも勝ち続けたのがこの鎧の男だ。


 対象より速いギフト速攻馬邦サイクロン、速さで負けることは無い。


 そして全身に着けているのは威力だけならば原子爆弾にも耐えられる超超合金の鎧。


 これを身に着けて突進すれば負けることなど皆無だと思っていたからだ。


「……」


 そして神薙信一はあろうことか走って逃げだした。


 鎧の男はそれを見て勝ちを確信する。


 動けば動くほど鎧の男が有利なのだ。


 否、有利だったはずなのだ。


「ぐばぁっ」


 鎧の男の全身から血が噴き出す。


 いつの間にか鎧は砕けていた。


「どう……やったっ。攻撃したようにはっ……見えなかったっ」

「当たり前だぜ。俺はお前に触れていないぜ」


 全身無傷・・・・の神薙信一は、倒れている男を見下しながら


「よく漫画やアニメで音速や光速で動くという描写があるが、それは力学的に考えてやってはいけないことの一つだ。地球空間には空気の壁があり、動けば動くほどその壁は巨大になる。その壁は摩擦を生み如何なる物体だろうが破壊する。いくら硬かろうが柔らかだろうが関係なくだ」

「……まさかっ」

「ああ。つまりは俺が光の速さ程度で動くことで、それを追うお前も光の速さで動くことになる。その速さで動けば、物は勝手に壊れるんだぜ」

「……そんな馬鹿なっ」


 鎧の男は気を失った。


 再び伝えるが神薙信一は無傷である。


 着物に傷一つすらついていない。


 それと蛇足だが、本来音以上の速さで動けばソニックブームが起こり、近くにいた忍者は勿論この浄化集会の建物は破壊されるのだがダメージを受けたのは鎧の男だけだ。


 ではなぜそれが起きたのか。


 解は一つ。


 それは神薙さんだからである。


「二人目、お前はどうする?逃げることもありだぜ」


 神薙信一本人としてはそれが最も望ましいことだが


「某は逃げん。たとえ負けると分かっていても足止めくらいは出来る」

「素晴らしいぜ。その心意気気に入った」


 既に忍者はこの男を倒すことは諦めた。


その上自分の手には負えない相手であることを理解している。


 だがそれくらい日常茶飯事だ。


 たかが糸を使う程度で最速のギフトと位置取るギフトと同格以上に戦ってきている。


螺線解断スパイラルテープ


 周囲に張り巡らした糸は特殊な使用がある。


 蜘蛛の糸だ。


 触れたらギフトを解除するまで決して取れない超強力な糸。


 それを四方八方に張り巡らせ近づくことすら身動きをとることすら困難にする。


「さっき二つは物理やったから今度は化学をやるか」

「?」


 忍者はこの男が言っている意味が分からなかった。


 神薙信一は蜘蛛の巣をお構いなしに一歩を踏み出した。


「……!」


 忍者はこう思った。


 糸を無視して力ずくで前に進むのだろうと。


 だが現実は違った。


 神薙信一は糸をすり抜けていた。


「は?」


 ゆっくりと忍者に向かって歩く神薙。


 歩く道中彼はこういった。


「全ての物体は原子でできている。その原子とは原子核を中心に電子が公転している物のことだが、原子核は原子の十万分の一程度で電子はそれよりはるかに小さい。つまり原子は隙間だらけなんだ」

「だ、だったらどうした」


「つまりはこういうことだ。お前のその糸を構成している原子と、俺を構築している原子がぶつからない様に歩いているだけだぜ」


 何て事の無いように話す。


 それが一体どれだけ化学の理を犯しているのか知らないように。


 熱膨張程度では済まない理科そのものを否定している道理なのだ。


「あ……」


 忍者は理解した。


 この男とは戦ってはいけないと。


 勝つとか負けるとかそういう次元の人間ではないと。


 それがこの忍者が神薙信一を正しく理解した唯一の思考であり、思考を終えた瞬間意識を失った。


「三人目、全くやれやれだぜ」


 完全なる無傷で戦いを終え


「これだったらまるで俺が一方的に倒したように見えるじゃないか。偽装しないと」


 彼は自分の服に切り傷を付け始めた。


 さらには自分の顔に侍の血をつけ怪我をしたように演出する。


「これでよしと」


 戦い始めてからここまで五分(うち四分は演出)の出来事だった。




 異能バトルモノで能力を使わない勇気!!


 あと神薙さんの能力はちゃんと用意しています。決してこれが能力というわけではありません。

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