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チート戦線、異常あり。 作者:いちてる

3章 月夜幸と宗教戦争

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姉妹

妹→姉の順番です。
 父さんの隠し子である妹と会う日。

 向こうから場所と時間を指定してきた。

 場所は俺達のいる町から一時間ほどかけてたどり着くかなり大きな街だった。

 待ち合わせ場所は駅前の銅像と言っていたが

「人が多すぎだろうが」

 待ち合わせしていそうな人間が二十人弱。

 俺は相手が中二としか知らされていない。つまりは顔を知らないのだ。

 向こうは知ってるんだろうか。

「もしかしてあなたが兄さんですか」

 声をした方を見ると女の子が一人。

 この流れは間違いなく妹だろう。

「えっと……君が折神双葉おりがみふたばだね?」
「はい。折神双葉です」

 まだ中学生なのにしっかりしてるな。

 さらに、スタイルもいい。

 中二のくせに早苗のあれを超えている。

「俺のこと知ってた?」
「いえ。見た目です」

 見た目で人を判断するのはどうかと思ったが、アホ毛が父さんとの遺伝を感じる。

「父さんのことは聞いてる?」
「その節はすみませんでした」
「え?」

 何で妹が謝ってるんだ?

「もしかして、聞いて無いんですか?」
「何が?」
「えっと……あんまりこういうのを公の場所で話したくないんで場所変えてもらえます?」

 確かに自分達の血縁関係の話は結構ヘビィな内容だ。

 俺は移動してファストフード店に向かう。

「で、どういうこと?」

 ドリンクを注文しさっそく話を切り出す。

「わたしの出生のことですよ」
「俺は父さんに隠し子がいたとしか聞いて無いけど」
「まあそれであってるんですけど。一芽さんはわたしのこと知らないんですよ」

 つまりやるだけやって記憶にないと。

 最低だな。

「そうじゃなくて、そもそも一芽さんに母さんと顔を合わせたことが無いんです」
「え?」

 文字通り体だけの関係だったというわけか!?

「えっと……わたしの母さんのギフトが鬼胎児クリエーターというギフトといってですね…………」
「うん。それで?」
「想像妊娠のギフトなんです」

 はあ?

「男を想像してその男の子を身籠るギフトなんです」
「なんだそれ」

 ある意味で最凶じゃないのか。

「つまり父さんは自分も知らないまま子供ができたと」
「はい」

 父さん全く悪く無さ過ぎて笑うレベルなんだけど。

 むしろ被害者じゃないか。

 なんか悪く言ってごめんと心の中で謝る。

 でも今思うとあいつロリコンだった。

 前言撤回。ロリコンは滅びろ。

「俺はそっちが借金あるらしいけど肩代わりしないって言いに来たんだが」
「あ。大丈夫ですよ。そんなの」

 え?

「わたしはあいつと縁を切りましたから」
「ごめん。話が飛びすぎて分からないんだけど」

 聞いた話によると、父さんの子供を作った後別の男と結婚したがそいつは、昼はパチンコ、夜は酒飲みのクズらしくそいつのせいで借金があるとか。

「でも中学生が縁切るってどういうこと?」
「ふっふっふ。よくぞ聞いてくれました」

 なんかドヤ顔だ。

「超者ランクって知ってますか」
「ああ」

 毎月一回更新される全世界の異能者のうち、ギフト能力の影響力を上から千人までランキングしたものだ。


 ギフトホルダーは三千五百万といるので、その中の千人に入るというのは、その人間はとても価値のある人間ということになる。

 ランクに載るだけで国から色々なものがもらえるらしい。

 俺は貰ったことが無いので分からん。

「もしかして妹ランクインしちゃった?」
「いえ。ランクイン自体は一年前からしていました。今回は初の五百位以上です」

 おお。当然ながらランクが上位であればある程、いいものがもらえる。

「何位で何を貰ったわけ?」
「四百九十八位です。前回までは奨学金だけでしたけど今回は納税の義務が無い月五十万のお金と戸籍の変更ですね」

 相変わらず破格である。

「四百番台のコルネリアさんが急死したのが大きかったです」

 コルネリアさん?

 ああ。回廊洞穴クロイスターホールの人か。

 確かにあれは本当にお世話になってます。

 とまあこの超者ランクはいい面もあるのだが悪い面もある。

 前に特別法三条で決闘を許可する法律があると言ったわけだが、それはこのランクに上位入りをするための法律だ。

 どっちが上か下かで揉めたことが頻繁にあったので、文句を言わせないために決闘を許可している。

 ただ能力者だけにすると差別だとA3が怒ったので今のような誰でも合意があれば決闘できるようなシステムになっているのだ。

 ついでに特別法一条は、トップランカーにおける法律で、一日一人までの殺人は罪に問われない。

 この国にはそれに許可された人間が百人いるらしい。

 ただし殺していいのは民間人だけであり公務員は禁止。

 更に言うと成人していないといけない。

 もちろん殺される人間は抵抗権があり、周りも邪魔をしてもいい。

 殺しても罪に問われないだけ。権利でも義務でも無いということが重要だ。

 この様にメリットが大きい分ランクに載るのは重い犯罪歴があってはいけない。

 万引きなどならば問題ないらしいが父さんのような殺し屋とかはランクインしない。

 だから決してこのランクは正確ではないとだけは言っておく。

「とりあえず妹に借金が無いのなら俺もう帰ってもいいかな?」
「待ってください。一つ兄さんに頼みごとがしたいんです」
「ん?何?」
「付き合ってほしいところがあるんです」

 またそれか。

「いいけどどこに?」
「後で伝えます。それとわたしと口裏を合わせてください」

 なにか嫌な予感がするんだが……

 気のせいかな?

 気のせいだよね?

 気のせいだと信じることにした。





「うっひょおおおお。クロウさま最っ高ですっ!」
「…………」
「こっちは明石様!あっちには金さんが!」
「…………」

 気のせいじゃなかった。

 俺の妹は俗にいう腐女子でした。

「あれほど丁寧でいい子だと思ったのに……」

 騙された気分だった。

「おお。このカップリング!陽太と景勝のカップリング。別に新しくとも何ともないんですけど王道は大事ですよね」
「うっせえ」

 俺は帰る。

「待ってください。兄さんには重要な任務が残っています」

 うっわあーい。

 絶対にこれろくでもない用件だ。





「俺はもう帰る」
「駄目です。参加します」
「嫌だ」
「もう登録は済ませました」

 何を俺がこんなに嫌がっているかというと

『腐女子の腐女子による腐女子のためのコスプレ大会』

 略してFFF。

 俺はこの大会に参加することになったらしい。

 二人で参加するのが条件の大会らしく、しかも優勝賞品がかなり豪華だとか。

 だいたい俺男なんだから腐女子じゃないと言ったんだが

『こまけぇことはいいんですよ』

 と言われ有無を言わせてくれなかった。




「似合ってるじゃありませんか」
「うれしくねえ」

 執事服を着せられた。

 そして妹も執事服。

「いやいや。本当に似合ってますよ。コスプレイヤーに転職したらどうですか?」
「断固拒否」

 鏡を見てみたがこんなのは俺じゃない。

 Yシャツじゃない俺なんて、魚の無い海鮮丼だ。

「でもほら、審査員は高評価です」

 耳を澄ませてみる。

『あの男いいですね』
『うほっ。いい男』
『むしろ女邪魔』

「……………」
「無言で逃げないでください」

 いやあああああああああああ。



「………」

 決勝戦まで勝ち進んだ。

 現在控室。

 妹はここまで来て機嫌がいい。

「相手は強敵です。なにせ前回大会の優勝者です」

 うん。どうでもいいから早く逃げたい。

 今から決戦投票を行うらしいのだが投票権は審査員三名と一般三十人で、特別審査員は五点、一般は一点で採点する。

 いかにうまく特別審査員を引き入れるかがポイントなのだが……

「むっふ」
「うほっ」

 二人とも男なのだ。

 そして審査員はホモなので妹がいるこっちが圧倒的に不利になる。

「あの審査員は駄目です。BLを分かっていません。男同士だったら何でもいいってわけじゃないんです」
「あっそ」

 どうでもいい。

「仕方ありません。ここは奥の手を使います」
「?」
「三分間のアピール時間があるじゃないですか。その時間をうまく使います」
「へえ」
「兄さんは今から五分で台詞を覚えてください」

 そう言って渡してきたのは漫画の本だった。

「ここからのこのクロウ様の台詞を全部」

 ほお。ふむふむ。

「マジでやるの?」
「はい。わたしとしても不本意ですがここまで来た以上は引き下がれません」
「でもな……」
「いいから覚える!」

 妹の気迫に黙らざるを得なかった。





 そして決勝

「今の良かったですね」
「そうですね。あえて文句を言うとしたらこういう優勝候補は最後にしてほしかったくらいです」

 男同士のパフォーマンスを終えた後特別審査員は口を揃えてよかったというが

「駄目駄目です」

 妹は不満そうだった。

 妹だけかと思ったが観客も若干苦笑いをしている人がいる。

「次、お願いします」
「いきますよ。兄さん」
「はいはい」

 こうなれば自棄だ。

「では三分間のアピールを始めてください」

 俺達のアピールは寸劇だ。

 とあるシーンを演じる。

「クロウ。なんで僕をかばって」
「く……焼きが回ったんだろう」
「そんな……僕のせいで」
「気にするな。オレは後悔していない」
「そんなことないだろ!君には夢があったはずだ」
「夢か。そんなことお前の命とは釣り合わない」
「え?」
「いまさらかもしれないが……オレはお前のことが好きだった」
「クロウ?」
「くそ。こんなの恥ずかしくて今まで言えなかった」
「ううん。恥ずかしくないよ。僕も苦労のことが大好きだ」
「そうか。よかった……がっ」
「クロウ。もう喋ったらだめだ」
「どうやらオレはここで終わりのようだ。最後に……お前と接吻をしたい」
「うん。いいよ。でも死んじゃだめだ」
「「ん………」」
「………ねえ、今度一緒に遊園地に行こうよ。だから」
「…………」
「嫌だったら水族館に」
「…………」
「ねえったら………返事してよ」
「…………」
「―――クロウぉおおお」

 何という茶番。

 本当にこんなので票が取れるのか?

 倒れている状態で客席を見ていると

「うわぁああん」
「ひっぐ」

 こんなので感動していた。






「いやー。十五対三十ですか。圧勝でしたね」

 結果は優勝。一般審査票を全てとっていた。

「でも妹はよかったのか。俺なんかとキスして」
「はい。得たものが大きいですから」

 袋を大事そうに抱える妹。

「あの、ずっと聞きたかったんですけどなんでわたしのこと妹って呼ぶんですか?」
「えっと……笑わない?」
「ええ。笑いません」

 うーん。恥ずかしいが仕方ないか。

「俺はな、二か月前まで身内が母さんしかいなかったんだ。それに母子家庭だったから一人でいる時間も長かった。だから結構家族みたいなものに憧れてだな………。下の名前で呼んだら親しくなるかもだけど、それよりも『妹』という明確な家族が欲しかったから妹って呼んでる。嫌だったら今すぐ辞めるがどうする?」
「そういう理由があるんだったら妹のままで構いません」

 それはよかった。

「ではまたいつか」
「ああ。またな」
「はい。コスプレ会場で」

 それは嫌だ。



 ゴールデンウイーク最終日。

 何か今日は早苗からちょくちょくメールが来る。

 何かあったのかと返したら怒ってメールが来なくなった。

 まあいい。きっと生理だろう。

 俺は課題を済ませて姉が指定した待ち合わせ場所に向かう。

 時間はすでに夕方6時。日が沈みかけていた。

 姉の名前は石神玲実いしがみれいみ

年は今年で二十。

 大学生ではなく既に働いているらしい。

 ただ俺が来た時待ち合わせ場所には誰もいなかった。

 三十分経ってようやく

「ごめんなさい。遅れました」

 嘉神家伝統の黒髪にアホ毛を引き連れた女性がやってきた。

「(でっでけぇ)」

 第一に目が言ったのは胸の大きさだった。

 Gカップ、いやHカップか?

 髪はショートだが女性らしさは十分に感じさせる。

「上司に仕事を押しつけられて遅れてしまいました」
「あ。いえ。大丈夫です」

 社交辞令を済ませ

「えっと……失礼ですが父さんに会ったことはありますか?」
「いいえ。ありません」

 いくらなんでも今回は父さんが加害者だろうな。

「父さんが父親って知った経緯を教えてくれますか?」
「いいですけど他言無用ですよ」
「当然です」
「今から二十一年前、C国で強力なギフトを持った人間を生成する企画がありました。その時ある事件で一役有名となった嘉神一芽を親とする個体がわたしです」
「!!!」
「ただ生まれる前に実験は頓挫し、その時の母体だった母は日本に亡命。石神という男と結婚し今に至ります」

 なんだよ。予想以上にヘビィだ。

 そして父さんほとんど関係ない。

 今回は悪いと思ってごめんと一瞬だけ血迷ったが父さんはペドなのでやっぱ無し。

 滅んでしまえ。

「ちなみに借金のことですが、わたしのお父さんが連帯保証人に五回くらいなった所為です」
「え?」
「因みに借金は五十億です」

 一体誰が払えるか。そんな金。

 と思ったが宝瀬先輩は余裕だった。

「まあわたしはランク111位ですけど」
「え?」

 べら棒に高かった。

「むしろその所為で返す当てがあると思われ借金が膨れ上がったんですけど」

 たしかに貧乏は億単位の借金することができないからな。

「じゃあ俺は帰っていいですか」
「いえ。ちょっと付き合ってほしいところがあるんです」

 またこの流れだ。

「変なところは行きませんよ」
「大丈夫です。ストレス解消にカラオケに行くだけですから」

 ならばいいのだが……



「ふう」
「………」

 何だこの姉。

上手すぎる。

 カラオケで100点を拝める日が来るとは思わなかった。

 しかも演歌で。

 あんまりにも凄かったのでトイレに行きたくなった。

「ちょっとお手洗いに」

 荷物を置いて用を足す。

 帰ってきたとき姉は歌っていなかったので待ってくれたようだが……鞄の位置が変わっている気がするのは気のせいだろうか?

 いや、明らかに変わっている。

「ごめんなさい。マイクの設定を変えるのに夢中になってぶつかってしまいました」

 なるほど。

 なら仕方ないか。

 ちょっとカバンの中身がすこしずれているのも、携帯を鞄の底においていたのにいつの間にか一番上にあるのも仕方ないな。

 それにしてもこの姉よく歌う。

 そして低くても90後半。ほぼ百点。

 何だこの超人は。

 結局姉は二時間ぶっ通しで歌い続けた。



「今日はありがとうございます」
「いえいえ」

 時刻は九時を回っていた。

「あの……できれば最後にもう一つ行きたいところがあるのですが」

 明日から学校なのでできれば早く帰りたいが

「まあいいですよ。いったいどこに行きたいんですか」
「それは秘密です」

 唇に人差し指を添える。

 可愛かった。

 ただなにか嫌な予感がするんだが……

 気のせいかな?

 気のせいだよね?

 気のせいだと信じることにした。

 そしてこれ昨日も同じことを考えている気がする。





「すみません。道を間違えてしまいました」
「………」

 いったいどう間違えたらラブホ街にたどり着くんだ。

 姐さんは成人しているからいいかもしれないが俺は未成年だからこういう所あまり居たくないんだが。

「引き返しましょうか」

 俺は回れ右をした。

いっくん・・・・

 え?今いっくんって言った?

 予想外の言葉に振り向くと

「ちゅー」

 無理やり口づけをされた。

「は???」

 今起きたことに対して理解が追い付かない。

 今姉さんは何をした?

 俺にキス?

 何故何で何故?

「よしっ。Aは終わったね。次Bいってみようか」

 呆気にとられていると姉さんは俺の体をまさぐり始めた。

「ちょっ!やめ」

 俺は姉さんを結構強い力で突き放す。

「きゃっ」

 姉さんは勢いよく尻餅をついた。

「あ……ごめん。ちょっと強くし過ぎたかな?」
「大丈夫だよ、いっくん。そのかわりそのまま動かないでね」

 姉さんは俺に抱きついた。

「な、なにをするだー!」
「何って、コミュニケーションだよ?」
「な、なんで」

 現状が俺の理解からマッハの速度で逃げていく。

「ひっぃいい」

 首筋に寒気がしたと思ったら姉が舐めていた。

「いい味だね。すごくいいよ」
「だから何でこんなこと……」
「それはお姉ちゃんがいっくんのことが好きだからだよ」

 理解が現状に追いついた。

「(こいつ……頭がおかしい人だ)」

 俺たち姉弟なんだぞ!なんてありふれたことは言わない。

 もう経験的にわかる。この姉は何を言っても通じないタイプの人間だ。

「それじゃいっくん。続きはあっちでしようか」
「ムリッ!」

 そう言った相手の対処法は心得ている。

 逃げるのだ。

 全速力で。

 五十メートル六秒四の脚力で。

「ねえ。どうして逃げるの?」

 姉さんは俺にぴったりついてくる。

 バック走で。

 さらにはハイヒールを履いている状態で。

 おかしいだろ。

 ギフトでも使ったのか?

「ねえ?返事してよ?いっくん」

 あまりにも恐怖に俺はギフトを使う。

反辿世界リバースワールド

 俺は世界を止める。

 ただ、止めることができたのは体感0.5秒だけだ。

 そしてこれ結構体力持ってかれる。

 まあいい。これで一瞬だが見失っただろう。

回廊洞穴クロイスターホール

 次元に穴を空けて逃走を試みる。

 いくらなんでもこの位置この距離ならば姉さんでも追いつけないだろう。

大小織製マキシマムサイズ

 いきなり次元の穴が小さくなった。

 これでは中に入ることができない。

「ギフトか?」
「そうだよ。お姉ちゃんのギフト。簡単にいえばサイズを変える」

 つまり先程は次元の穴のサイズを小さくしたということか。

 サイズか……厄介だけどその程度で111位になれるものか?

「いっくん、上を見て」

 俺は距離を保って空を見上げる。

 満月ではないとはいえ、綺麗な月が光っている。

大小織製マキシマムサイズ

 月の大きさが二倍になった。

「!?!?!?!?」

 いくらなんでもこれはおかしい。

 目を擦ってもう一度見上げる。

 三倍になっていた。

「いやいやいや」

 スケールがでか過ぎる。

 そんなのありかよ。

 というか、地球の影響は大丈夫なのか?

 月は天候や潮の満ち引きに影響があると聞いたことがある。

 その月が三倍、いや体積を考えると二十七倍になっている。

 そんなことになったら……地球終わるじゃないか。

 何が111位だ。

 こんなのが百人以上もいるのか?

「姉さんはやく元に戻して!」
「オッケーだよ」

 何もよくないのだが。

 とりあえずは元には戻った。

「じゃ、ラブホに行こうね」
「いやぁあああああああ」

 お前も同じこと出来るんだから大丈夫だろと思っているかもしれないが、俺の口映しマウストゥマウスはあくまでも使えるようになるだけでありあのように使いこなすには多くの経験がいる。

 つまりは太刀打ちできないのだ。

反辿世界リバースワールド回廊洞穴クロイスターホール

 二つの消費がでかいギフトを同時に使う。

 姉さんは止まった世界の中では動くことができないので何とか逃げれたが

「待ってええええ」

 走って追いかけてきた。

 鬼人化オーガナイズで俺も走るが……距離が縮まっていく。

 だからなぜだ。こっちはギフトを三つも駆使して逃げているのになんで追いつく?

「!!!」

 一瞬窓ガラスを見て分かった。

 俺のサイズがいつの間にか小さくなっていた。

 それではいくらなんでも追いつかれてしまう。

 だったら……上に逃げる。

 姉さんは飛べない(これで飛べたら泣く)ので上に逃げてしまえば安心だという発想だ。

 回廊洞穴クロイスターホールでラブホの二階まで行く。

「こらあ!降りてきなさい!」

 はっはっは。やったな。大勝利だ。

大小織製マキシマムサイズ

 ラブホが小さくなった。

「…………」

 そうだよな。月をあれほどまで大きくできるんだったら建築物くらい出来るよな。

「うぉおおお」

 ダッシュで逃げる。

 こうなれば隠れながら逃げるしかない。

 俺は全力で逃げる。



 十分後

「はあ、はあ」

 息が切れたがもう逃げ切っただろう。

 ただ問題はここが何処か分からないことだ。

 つまり迷子になった。

「どうしようか」

 スマホで位置を確認してみるか。

「………」

 電源が入らない。

 バッテリーが抜かれていた。

「………」

 これで助けを呼ぶことも出来なくなった。

 不意に肩を叩かれる。

 俺はゆっくりと振り向いた。

「ミィツケタ」

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