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チート戦線、異常あり。  作者: いちてる
10章 最強の終極
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決戦の八人

あやまんねえぞ



 面接が終わり3日。


 食欲をそそる香ばしい匂いで満たされる部屋に


 決戦参加者は顔合わせのため一同に集まった。



「俺達4人の自己紹介は必要ないと思うから、そっちの自己紹介をお願いするよ」


 まず嘉神一樹、衣川早苗、宝瀬真百合、時雨驟雨。


「あー。じゃあ、恐らく最年長のオレからやらせてもらおう。嘉神一芽、察してもらえると思うが嘉神一樹の実の父親だ。職業はフリーランスをやってる」


 ハンデ枠として父さん。

 カタログスペックは、能力を奪う能力を持ち、約50の能力を使いこなす。


 しかし実態は勝てない星に生まれてきた、使えない奴。


「じゃあ、つぎはおれか。おれは左右田上下そうだじょうげ 漢字で書くとめっちゃ覚えやすいからそっちで覚えてや」


 この人をおれは知らない。


 何も知らない。


 俺が天堂さんと面談しているときシュウたちが面談した。


 枠が余っていたこと、シュウの強い推薦があったこと、そして残り2人が女性だったのでバランスをとるために男を入れたかったことから、いれた。


 運がいい。ホームレスのような風貌だが、風水枠としていれてる。


「じゃあ次、わたしだね。石神玲実。そこにいる男の娘で、いっくんの将来のお嫁さんです。きゃぁー、いっちゃった」


 サイズを変える能力を持つ能力者、そして俺の血のつながった姉。


 基本的に興味ないと評していた真百合が、唯一零点をつけた女。


「姉さんが何か言ってますが、気にしないでください。最後妹、トリだ。頼むぞ」

「いやムリですって。無茶ぶり辞めてください」


 そうはいっているが、きっと面白い話をしてくれる。


「ごほん。わたしは折神双葉。姉さんと腹は違いますが、同じ父親のDNAから生まれた姉妹です。因みに父親との顔合わせは今日が初めてです」

「…………聞いてない」


 父さんが顔面を青ざめている。


 一応そういう存在がいることは知っているが、一度も会ったことがないらしい。


「ちょいまってんか。つっこませてくれ。あんさんの家系どうなってんの」


 言葉にすれば単純。


 姉さんはC国で人体実験(ぶっちゃけると支倉主導)の際生まれた子。


 優秀なDNAとして父さんが使われただけ。


 妹は母親が父さんに一目ぼれし、想像で妊娠するギフトを発動し、無事やらずに父親になった。


 だから本当にこれに限り、父さんに一切の否がないのだが


「クズか貴様」

「うぁ」


 それを知らない早苗とシュウは早速軽蔑する。


「とりあえず全員の自己紹介はこれくらいにして、せっかくの料理だ。積もる話は食べながらでいいだろ。日本の勝利を願って乾杯!」

「「「「「「「乾杯」」」」」」」


 俺と妹は未成年なのでソフトドリンク、後は全員ビールで互いの杯を鳴らす。


 あと何度も言っているが、この世界の成人は17歳からなので、早苗真百合シュウの飲酒は合法である。


 因みに料理はクソ高い。


 コースで3万。


「あんさんが嘉神か」

「はい。本日はお忙しい所集まっていただき、ありがとうございました」

「そんなかしこまらんでええ。社会的立場で考えたらおれが最底辺や」

「やっぱそうなんですか」

「最近やっと格安のホテルに住めるようになったが、未だホームレスやな。まあある程度活躍すれば一発逆転できるから気にせんでええで」


 5対5の決戦ルール


 ここに2つの頭という概念がある。


 1つは大将、最後に戦う人間、一度だけ引き分け敗北をなしにできる。

 もう一つは代表、次参加する選手の宣言等を代表的におこなう立場。無論大将も代表が決める。


 大将はその場の流れで決まるが、代表は俺ということになっている。


 そして代表が順番を決めるので、代表に好かれなければ参戦すらできない。


 参戦したければ代表に好かれるしかない。


 左右田さんは活躍したい、その為には参戦しなくてはいけない。


 だから俺に好かれるしかない。


「もう空になってるやないか。ウーロン茶でええんか?」

「はい。お願いします」


 だからまあなんというか。


 滑稽だ。


「まあ、くじ運にもよりますけど、初戦の参加は確約しますよ」

「そうか! おおきにな!」

「ちなみにそれ以外に参加したいスポーツはありますか?」


 決戦以外にも、スポーツにギフトを追加を許可した競技がある。


 決戦参加者は、異能スポーツに2種まで参加することが出来るのだ。


「あー。そうやな。能力上野球が得意なんやが……」

「流石にね」


 野球は無理。


 一番人気なスポーツだから、流石に俺一人の一存で決められない。


「フェンシングでええか?」

「まあそれなら」


 大体どういう能力かあたりはつけた。


「そろそろいいかな。わたしのいっくんを返してもらうよ」

「おお、すまんな」


 姉さんがしびれを切らして割り込んでくる。


「会いたかったよー。ささ、お酒お酒」

「飲まない。未成年だからね。ささ、姉さんが飲むんだ」

「え? もう3杯目だし……」

「姉さんの、ちょっといいとこ見てみたい」

「石神玲実、いっきまーす」


 真百合と比べて実害が一切ないので、手懐けやすい。


 ちなみにビールに細工して度数を25%にした。


「くらくらすぅるうぅ」

「はいはい。おいで子猫ちゃん」

「あぁん、わいるどいっくんもすてきぃ くぎゅう」


 はい、黙らせた。


 余裕。


「半年前まで女の扱いでおろおろしていた兄さんが、いつの間にかリードをつけて操れるようになっていた件について」

「お、妹」


 ツッコミ枠。


「最近オタ活はどう? なんちゃら執事は?」

「忘れました。今は鬼滅の刀がトレンドです」

「そうなんだ」


 最近忙しくて漫画読めてないんだよな。


「やっぱカップリングはいいです。心に潤いを与えてくれます。展開は全然ですけど」

「そうなんだ」


 頑張って励んでくれ。


「ところで聞きたいことがあるんですけど」

「何?」

「なんでわたしが選ばれたんですか?」

「自分が応募したのに、不満?」

「ええそうですね。わたしが優秀なことは疑いようのない事実ですが、日の丸を背負えるほどの能力はまだ持っていないという認識です」


 妹の言っていることは正しい。


 妹は現在400位 日本にこの上は後100人ほどいると考えるのは別に変なことじゃない。


「超者はその人がどれだけ周囲を巻き込めるかの判定が大きい。妹の能力より広範囲の能力者が多いのは事実だ」


 妹の能力、次元変換。


 2次を3次に、3次を2次に。


 一見強すぎる能力だが、サイズを一定にしないといけない。


 例えば能力の制約上は地球そのものを2次元にすることは出来る。

 だが、それには1辺が4万kmの平面を用意し、それを地球に設置しないといけない。


 一方姉さんは、ノーリスクノーコストで、地球を手毬サイズに変更することが可能。


 能力としては妹の方が強いが、姉さんの方が評価されている理由はこれ。


「だが決戦は違う。1対1の戦いはより個人技が評価される」


 正直に言わせてもらうと妹は必殺技を持っている。


 なぜなら戦うフィールドは、凹凸のない平面。


 対戦相手を2次元にしてしまえばいい。


 一度当たればこれを回避できる人間は少ない。


 『世界』クラスの即死技を使えるのだ。


 それにもう一つこの能力には良いところがある。


 それは後でおいおい話すとしよう。


「すまん、ジンを頼む」

「何で割りますか」

「割らなくていい。ジョッキで」


 何やら頭のおかしい酒の飲み方をする早苗。


 酒を飲まないので俺はそのヤバさを理解できないが


「「「「……」」」」」


 酒飲み勢が絶句していた。


 まあ見たところ、早苗既にビール瓶を数本空にしているし、問題ないだろ。


 以前真百合はワインボトルを3本開けたことがあるっていってたし、誤差誤差。


「ちょっと薄いか。すまん。おいてある中で一番強い酒は何だ?」


 一度に半分くらい飲んでから、店員に注文する。


「ウォッカがありますが……その……」

「ああ、すぐに飲む」


 一回の息継ぎでジンのジョッキを飲み干した。


「あれってすごいの?」

「肝臓が狂っているか、気が狂っているか」


 父さんに狂っているって言われてかわいそう。


「それと妹。お前を選んだ理由があと2つある」

「何ですか?」

「顔と血縁」

「最低ですね。控えめに」


 そういうなって。


 これは決戦。


 テレビ中継がされる。


 テレビに見せられない人間は、参加できない。


 だから母さんも拒否った。


「縁採用って、わたし兄さんと接点あんまりないんですけど」

「縁じゃなくて、血縁。知ってるか? 父さんの血は競馬なら複勝で賭けると、1倍を切るくらいに優良血統なんだ」


 名前を言ってはいけないあの人の血筋。


「でも血筋って生まれた時に当たりが出やすくなるだけで、生まれた後は関係ないんじゃ」

「ところがどっこい。そうとも言えない」


 正確には血筋だけが必要というわけではない。


 ただ俺がやろうとしていることのために、この血が必要だった。


「開催まで残り1週間。その1週間で姉さんと妹は、超悦者スタイリストを覚えてもらう」

「すたいりすと?」


 やはりこれからの決戦において、超悦者を使えないと話にならない。


 完全にものにする必要はなくとも、対応できる能力が欲しい。


 そのためには、やはり自分も超悦者になる外なく


 それ故に、最速で覚えるために才能が欲しかった。


「難しいんですか」

「それなりに。だが姉さんはもう既に片足を突っ込んでる」


 ヒールを履いた足で、車に走って追いついた。


 無意識化であっても出来ていた。


 ならばそれを意識的にするかどうか。


「姉が出来るのなら、妹もできる」

「自分のスキルアップと思えば……いいですけど」


 超悦者の防御と速度を覚えてしまえば、帝国以外に無双できる。


「呼ばれた気がした」


 姉さんが起きた。


「いっくんちゅーしよー」

「はいはい。優勝したらね」

「約束だ!」


 酔っぱらいの扱いはぞんざいにしていい。


「しかし姉さんお酒弱いですね」

「そうみたい」


 早苗や真百合の酒の飲み方を見れば、ビール数杯で泥酔している姉さんは弱いと考える。


「いやそりゃちげえよ。あの二人がおかしい」


 早苗で目立たなかったが、真百合もワインに手を付け、ボトルの半分を一人で飲み干している。


 ただ真百合の顔はほんのりと赤くなっているが、早苗はいつもと変わらない。


「あー。なんか脱ぎたくなってきた。一樹、脱ぐぞ」

「あんたほんと期待以下のことしかやらないよな」


 高いお酒で酔いが回ったんだろう。


 父さんが早速脱ぎ始めた。


「とうさんの~ぞうさんは~おもとめやすくなりました~」


 この時点で限りなくゴミに近いゴミ。


 見ろ、知っている人、知らない人がこぞって軽蔑の目をしている。


「未成熟の女性にやさしく~おいしくなってちん登場~」


 言葉にするとノクターンかミッドナイト行なので、ブリッジしながらさっきのセリフを言ったということで、察してほしい。


 控えめにいって最低なんだが


「各人感想どうぞ」

「初めて他人の肛門に酒瓶を突っ込みたいと思った」

「オブラートに包んで言うけれど、死んでほしい」

「いつきがかわいそう」

「おれがホームレスになった原因よりひどい。あと図体のわりに短小すぎやないか。おれやったら病院で治療を打診する」


 三者三様、思い思いの罵倒を父さんにスパチャのように投げかける。


 だがそんなこと出来るのはこいつとまっ赤な他人である人間のみ。


「うっわぁ」

「きっつ」


 まっ赤になって酔っていた姉さんは青ざめるほど酔いがさめ、妹も現状を飲み込みたくないかのように暗い顔をしていた。


「え? うそぉ。 わたし、これと血が繋がってるんですか?」

「そう! まさに大正解」

「最悪じゃないですか! 元父より酒癖悪いですよ!」


 妹の元父はクズであり、借金がある。

 その父から逃げるために、あれこれ頑張っていて、ついに独立までこぎつけた。


 その妹がここまで言うんだ。なかなかできることじゃない。


「まあ、よく考えたら私全然関係ないですね。父親はパパ一人。こんなの知らない」


 姉さんの父親は、勝手に連帯保証人になり家族に数十億の借金を抱えさせてしまったどうしようもない人だが、マシと判断した。


「2人はいいよ。俺は言い逃れなく実父がこれだからな」

「兄さん」

「いっくん」

「「強く生きて」」


 最低の血でつながった姉妹との絆が、より深まった。


















「サイズはなんと~ |セブン(7㎝)ぅぅぅむくむくむくむくぅぅぅう |イレヴ(11㎝)ぅぅふぅ」



 このゴミはぶっ飛ばして、地中海に埋めておいた。




 のちに、不法投棄で怒られた。






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