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チート戦線、異常あり。 作者:いちてる

8章 人という名の

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天災と天才 

4年書いてりゃスランプを言い訳にしてもばれへんやろと思いましたが、真実を告白します。


ダントラ(5)将棋(3)淫夢(2)の割合で貴重な時間を潰していました




 2-10組の教室には2人の人間がいた。

 1人は私。宝瀬真百合。
 誕生日は4月1日 17歳 恋人無し。好きな人は嘉神一樹。
 趣味はストーキングと妄想。

 私が彼以外の男と2人きりになるのは精神的に辛いものがあるのだが、こいつの場合そういうのは無意味。

 教卓の上で、狐耳の女を絨毯にして腰かけ口火を開くのは、

「こうして話をするのは久しぶりと言っておこうか」

 人類悪、神薙信一

 嘉神君至上主義の私ですら、こいつには絶対に勝てないのだろうと思わせるほど逸脱している存在。

 全長2.2mの巨体でありながら、その若々しさは院生を彷彿とさせる。

 こいつの伝説を全て列挙しようとするなら、半日は必要とするかもしれない。

 良くも悪くも伝説的な男なのだが、今のこいつはヤリサーにでもいそうな雰囲気を醸し出しているのだった。

「どこか分からない問題があったのか 保険体育以外の科目なら教えることが出来るぜ」

 現在こいつは2-10組の教師として潜入しているため、発言そのものに矛盾はない。
 だがそれをこいつがいうことに矛盾を感じたが

「だがどうしてもというのなら保健室にでもいくか」

 やっぱり本物だと再確認する。

 こういう手合いは無視するに限ると私の経験が告げていた。

「質問があるの。それは学業のことでは無く、異能力についてのこと」
「答えてやってもいいが、宝瀬真百合。その真実に対価として何を払う?」

 最初のお願いは真剣に頼めば叶えてくれるらしい。
 だからこそ不治だと言われた早苗の右腕をこいつが治した。

 余計なことをして。

 だからこそそういうのを求めているのだろうが

「1円も、払わない」

 だって髪の毛1本残らず、私の全ては彼のモノだから。

「初めてだぜ。俺を前にして対価を出さずに交渉をしようとは」
「対価なら出すわよ」

 私は1枚の写真を取り出す。

 これは私のではない。
 支倉から押収したもの。

 失っても痛くも痒くもないが、使えると判断したため使うことにする。

「お主……それが何を意味しているのか分かっているのか」

 下から見ていた、狐耳の女が喰いついた。

「この写真について色々聞きたいことはある」

 映っているのは3人の男女。
 1人は目の前にいる男と同一である。

 もう一人の男は、多分支倉罪人だ。

 そしてこの女を私は知らない。
 だが誰よりもよく似た人間を知っている。

 場合によってはその人のことを、私は知らないといけない。

 でもそれよりも、直接的に彼と関わりそうな案件を解決するのが優先。

「それを渡すことが交換条件とでもいう気じゃな。だがそんなものは――」
「違うわ狐女。この写真を破かないであげるから、私の質問に答えなさい。それが私の出す取引よ」

 九本の尻尾が、伸びあがる。

「やるじゃねえか。それは確かに痛い」

 私が脅している相手はずいぶんと楽しそうであった。

「あなた、本当に何でもできる。だからこそそれが弱点」
「どういうことじゃ、説明せい」

 マットになっている狐だけがこの状況を理解していない。

「元は支倉罪人の写真。でも今は正当な手続きで私の物になっている。だからどうしようが私の勝手。写真一枚、供養するのも破棄するものどうでもいい事」
「確かにそうじゃが――」
「でもこの写真は、神薙信一と支倉罪人、そしてもう一人の思い出の写真。大切なものなんでしょ?」

 神薙信一は無言で肯定した。

「たとえネガがあったところで、この支倉罪人が大切にしていた写真は1枚しか無い」
「だがお主。我が主なら無理やりにでも――」

 どうやら7人いるらしいお付きの人も、持っている知識には差があるらしい。

 あれはそんな事しない。

「力ずくでの強奪も歴史改変も神薙信一なら容易いでしょう。でもね、本人がそれを覚えている。私の、人の物を奪う記憶を持ってしまう」

 それはきっと恥ずべき記憶。

 まあ生き方そのものが恥ずかしいと言われたらそこまでだが、恥のかき方にも差がある。

「だから痛いんだ。分かったか駄狐」

 パシンッと教室に良い音が鳴り響いた。

「とはいえこれを私が持っていても価値があるとは思えないから、教えたら代わりに上げてもいいわね」
「それはいい。だったらお教えしようじゃないか」

 ケラケラと、本当に楽しそうに笑っている。
 こうなることを分かっていてあえて残していたくせに、よくもまあ道化を演じられるものだ。

「女神メープルは何のためにちょっかいを出しているの?」

 必要な所から聞いておこう。

「ギフトの動力源の一部・・が異世界に繋がっているから」

 回答者はその答えの重大さを把握してはいなかった。

「…………ちょっと待って」

 想像以上に大事になりそう。

「分かりにくかったか。こうして狐火を灯すだろ?」

 あれの指先に小さな焔がきらめく。

「星が吹き飛ぶ」
「それってどれくれい?」

 聞くべきではない質問をしてしまう。

「30分で5万!」
「え、何それは……」

 絶対詐欺だ。
 ただこの男の場合、下方修正ではなく上方に修正しかねないから何も言わないでおく。

「ひょっとして嘉神君のギフトって効率悪かったりするの?」
「微差だよ。微差」

 こいつのいうところの微差は、多分何十倍何百倍のこと。

 そしてようやくメープルが嘉神君にちょっかいを出す理由に合点がいった。

 義は向こうにある。

 こんなことを彼に伝えるべきではない。

 知らないふりをしておきましょう。

「帝国に私達の敵になる何かが存在する」

 次の質問は、目先のことに関すること。
 修学旅行に行くからにはこういったことも聞いておかないといけない。

「するだろうぜ」

 否定の言葉を望んではいたが期待はしていなかったので落胆は無い。

「それはあなたが出しゃばらなくてはいけない事?」

 これが本当に聞きたかったこと。

 神薙信一は基本的にいくつかの条件を満たさなければ干渉しない。
 1つは神様が出しゃばり、人が致命傷となる傷を受ける場合
 そしてもう一つが、『物語』と『物語』の戦いになる場合。

 嘉神君と月夜幸、どちらも『物語』の能力者。
 そして恐らくメープルも『物語』をもっている。

 真っ当に考えた場合、帝国に『物語』持ちがいるのではないか? そう思えてしまう。

 そしてもはや常識だが、『物語』はやばい。

 1人いるだけで戦況をひっくり返せるくらいにとんでもない。

 仮にいたとして、そいつがどんな能力かを教えるようなことをしないだろうが、いるかどうかくらいならば教えてくれるかもしれないと思いこの質問をした。

「まず質問の答えではなく、宝瀬真百合の考えの答えから告げよう。今現在人間で純粋・・な『物語』のギフトの持ち主、嘉神一樹、月夜幸、嘉神育美の3名だけだ。これから生まれることはあっても、実はそう言った能力者だったということはない」

 この情報は非常に大きい。
 成長するのが嘉神君の能力のため、どんなに相手が強くても『法則』以下ならば、彼は勝てる。

 だから敵になる可能性のある『物語』持ちが身内で固まっているのは非常に有利なアドバンテージ、場合によっては勝ち確とも言えるでしょう

 本当の意味で私達の敵は目の前にいる男なんでしょうけれど。

「次に俺じゃけりゃいけないかという質問の解だ。そうとも言えるし、そうじゃないとも言える。別に俺じゃなくてもいいが、俺が一番ふさわしい」

 言いたいことは大体わかった。

「つまり精神的には早苗の方が勝っているかもしれないけれど、肉体的な相性は私の方が優れていると同じようなことなのね」
「俺も俺で頭悪い事をしているが、宝瀬真百合も大概だな」

 私は大真面目である。
 でも今はいいでしょう。

「あなたの上はいるの?」

 考えたくもないが、仮にこいつより強い輩が存在、もしくはそれに準ずるものが存在する場合、最悪身の回りの整理を始めないといけない。

「…………聞きたい?」
「言いたいんでしょ。聞いてあげるからさっさとしなさい」

 人をイラつかせることに定評がある。

「今明かされる衝撃の事実だ。よく聞いておけ。なんとこの神薙信一よりも強い奴が存在……………………………









しーましぇーん☆キラッ」

 中指と薬指をまげる謎のポーズを取られる。

 イラッと来た。

 早く死ねばいいのに。

「この世の仕組みを考えれば、どうあがいても俺より強い奴は存在しない。道理がない」

 自分自身が道理から逸脱しているのに、何を言っているのだろうかこの男は。

「だが、1柱だけめんどくさいのがいる」
「それってメープル?」

 一言で一般中学生
 オーラを無くせば見分けがつかないと断言できるような、記憶に残らないような容姿

「いいや。あんなのは指一本もいらん。陰毛一本もあれば余裕」

 本気で出来そうなのが嫌だ。

 実際私達よりはるかに強いであろう小学生くらいの子供をボコボコにしていたのだから、発言に信憑性がましてしまう。

σφシグフィ

 その名に聞き覚えは無かった。
 だが何故か親近感を覚えている。
 例えば自分の名前を呼ばれたかのように。

「そいつは自分の事を空亡惡匣という人間だと勘違いしているクズ」

 牛丼でも食べるのかと聞いて見たいところだが、今は良いだろう。

「どれだけ強いの」
「俺が未だに倒せないくらい」

 最悪じゃない。

「こいつに関してはお前達にだいぶ先。嘉神一樹の孫くらいの話になるだろうから気にするんじゃないぜ」

 …………そう。

「その前に今度は俺から聞きたいことがある。答えないという選択肢は無しで頼むぜ」
「え?」

 正直予想していなかった。
 全能だからこそ全知なはず。

 そんなこいつが一体何の質問をするのか。

 予想は出来なかったし、冷静に時間をかけて考えても当てることができなかったであろう。



「3年以内に嘉神一樹の子供が欲しいか」


「え? 何それ?」

 一体誰がこんな質問をしてくると考え付くか。

「真面目な質問だ。おふざけなしで答えてくれ」

 その議題は真面目に考えるに値するだろう。
 でもなんで?

「全知なんでしょ。それを無視しても聞く理由は何?」
「俺は全知ではない」
「いやだって」
「全力で馬鹿を演じている。何も考えないようにしている」

 分かっていたけれど、それを自分で言うの?
 あなたが?

「この話題は宝瀬真百合にとってそんなにどうでもよかったことなのか。もしそうだとすれば見誤った俺は間違いなく全知ではないだろうよ」

 初めから何もかも分かっているくせに。
 何で私にそんな事を聞くのか。

「…………分かった。でもちょっと待って。考えさせて」

 自分のこれからに関わることだってこと、分かってる。

「考えるために、情報を渡す。質問は一切受け付けない。
1、仮に嘉神一樹と宝瀬真百合に子が出来た場合第一子は女である
2、嘉神一樹には必ず男の子供ができる
3、嘉神一樹の子には強力なギフトを授ける
以上だ」

 さらっと宝瀬の第一子が女しか生まれないことについて関係がありそうなことをいわないでほしい。

 そして何となく、嘉神一樹の背景を悟る。

「私は貴方に返しきれないほどの恩と、恨みきれないほどの怨があるのね」

 かつて一度殺されたことじゃない。
 もっと根深いところでの因縁。

 そしてこの気持ち。

「どっちも返さなくていいぜ」
「…………」

 そして考える。

 1,2は一見似ているが内容は全く違う。
 男か女という話じゃなくて、任意か強制の話。

 私の話は任意。作っても作らなくてもいい。
 だが彼は絶対。子を残ることが確定している。

 何が違うかというと、彼は子を作るまで絶対的に守られている。

 まさに主人公という存在
 伝承する為、種を保存している

 だが逆に子を残してしまえば用済み。

 子を孕んだ瞬間、彼の不死性は無くなる。

 欲しくないといえば嘘。
 今すぐにでもキャッキャウフフなことをしたい。させてほしい。

 しかしさっきの質問をくみ取ると、本当に彼だけの事を思うのなら子を残しちゃいけない。

 でも多分大丈夫でしょう。

 嘉神君だもん。何だかんだで生き残る。

 しかし私が育てられるかとなるとこれが実は難しい。

 自分が言うのもなんだけど、まともに育てられる自信がない。

 DVを受けた子が、自分の子にもDVをするように。

 自分が二番目に大嫌いな母親と同じことをする可能性が、高い。

 それでも欲しいと思えるのか。

 ……………

 決めた。

「欲しい……わね」
「理由を聞いてもいいか」

 聞かなくても分かっているくせに。

「褒められた理由はないわ。彼がいなくなった場合の代償と、彼が戻ってくるための楔。多分あなたは気に食わないんでしょうけれど、これが私だから……」

 この時の神薙の目は本当に気に食わなかった。

 まるで困った子を見守る親のようなものだったのだから。

 あなたが私に対して思っていることはそんなのじゃない癖に。

「若い女とこんなに話をしたから。むらむらしてきたぜ。そろそろお開きにしたいから質問は次で最後にしろ」

 実際にされては冗談抜きで困るのだけれど、多分そんな事をこいつはしない。

 嘉神君と同じ口先が得意なひとだ。

「だったら、あなたのシンボルはどういう能力なの?」

 もう私としては聞かなくちゃいけない事は聞き終えた。
 だからこそある意味でこいつの急所を知っておこうと考え、この質問を投げかける。

「いう訳ないじゃろ。なあ、主様」

 さっきまでずっと黙っていた狐だったが、ここにきてようやく喋り出す。

「薊、お前ホント馬鹿だな」

 尻に敷いていた彼女を引っ張り上げたと思いきや、ワンピースのスカートを引っ張り上げ、頭の上で結び付けた。

 結果てるてる坊主のような容姿になり、ものすごい間の抜けた絵面である。

 この光景を見た私の内情だが、褌をはいた女性を始めて少しばかりの感動ど憶えていた。

 あれの奇行はもう諦めている。

「ヒントは出す。答え合わせもする。だから自分で考えろ」
「いいけれど、私に解けない問題は単に問題文が悪いだけだから。解けなかったら反省しなさいよ」

 文法とか。諸々を。

「まずシンボルと言うのはその人間らしさやあり方が能力になる」

 九尾の尻尾を掴みオタゲーのように振り回す。

 仲がいいのか悪いのか。

「狩生武の、自分はこの世界の住人ではないという考え
坂土素子の、人の話を一切聞かない思考回路
林田稟の、嘉神一樹を基準にした善悪論
嘉神一芽の、足を引っ張る封印術
時雨驟雨の、勝ちを求める生きざま
そして衣川早苗の、心を確実に仕留める聖なる存在」

 ナチュラルに彼のお父さんをディスるところは、本当に彼とそっくりだ。

「それであなたは」
「人類の至高天」
「は?」
「人間の進化の行き着く先。それが俺のシンボル、最終傀エピローグ これにてヒントは終わり。答えは考え付くはずだぜ」

 人間の行き着く先?
 だとすればまず人間は何を始めた。

 火、言葉、車輪、投石
 火薬、国家、電車、矢
 爆弾、ネットワーク、飛行機、銃

 それらが示してみるものは――――!?

 ま、まさか――――??

「○○×○○○?」
「正しくは●●だが、おおむねその通りだ」

 あり得ない――?!
 何てことなの?!?!

 嘘偽りなく、最果ての絶頂オール・フォア・ザ・ラスト・ワンよりも遥かに危険。

 最果ての絶頂オール・フォア・ザ・ラスト・ワンならばいくつか弱点を思い付いたけど、この能力に対処法は無い。

 まさに無敵

「気に食わないでしょうけれど、『神にも悪魔にも勝てる能力』なのね」
「言い当て妙だな。全く持ってその通りだぜ」

 私達は分かっていなかった。

 神薙信一が真に優れているのは、身体能力でも技術力でも異能力でもない。

 このふざけたシンボルを、使いこなしていることこそが頂点に立っている要因。

「それともう一つ。俺のシンボルについて呪いをかけた。その内容は
「言わなくても分かってるわ。話しても理解されなくなるんでしょ?」

 そして私はメープルに同情し、哀れんだ。

 あなた、詰んでいる。

 仮にメープルの切り札である、シンジとハヤテ各々が神薙信一より強かったところで、それでもやはりあれには勝てない。

 だからもう神薙信一がその他に敗北する可能性は考えない。

 私達がどうやってあいつの災害から身を守るか、それさえ気をつければいい。

 さて。

 疲れたから帰ってオ○ニーでもしましょうか。





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