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チート戦線、異常あり。 作者:いちてる

7章 後編 プロジェクト ノア

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【666】-α

伏線----と言うより全部話を振り返るのだるいだろうからもう一回描写する回

時系列は前回の十数分あと。

 そろそろ日付が変わるかという時私の携帯に着信音が鳴った。

 この音は残念ながら嘉神君ではなかったけれど、その彼女は久しぶりの人だったため迷わず出ることにした。

「ハローハロー。お久し振りです。わたしです」

 相手は予想通りの月夜幸だった。

「確かに本当に久しぶりね。1か月半ぶりなのよね。それで、ボランティアの成果はうまくいったのかしら?」

 いくら嘉神君以外に興味が無い私でも、知っておかないといけない情報と言うのは知っているし、知ろうともする。

「はい。無事テロ組織を壊滅させ資源を発掘させました」
「別に驚かないわ。幸ならばそのくらい出来るでしょう」
「いや、驚いてくださいよ。これでも結構ギリギリで頑張ったんです」
「はいはい。それで終わった報告をしたわけではないのでしょう? 何のようなの?」

 こんな夜中にかけてくるという事は、今やらないといけない用事があるという事。

「そうです。たくさん用事があります。それと頼みたいこともあるんです」
「わざわざ言う必要もないけれど、見返りがなければ聞いてあげないわよ」

 見返りを求めない労働は彼の為だけにしかしない。

「頑張ったら嘉神さんがほめてくれると思います」
「取りあえず、詳しく聞かせて」

 それはもう、とっても。十分な見返りだ。

「まず1つ。今わたしはハイジャックしていてこれから捕まるので、身代金の確保とすぐに保釈する用意を」

 携帯から空を飛んでいる音が少し漏れている。
 少なくとも飛行機に乗っているのは間違いない。

「…………その飛行機。墜落でもするの?」
「よく分かりましたね。正確には“墜落”ではなく原子力発電所に“激突”が正しいですが」
「どこの機種よ。その飛行機は絶対に乗らない」
「いえ、飛行機に問題があるんじゃなくてですね…………まあ、いいです。理由は後程すぐにわかると思います」

 飛行機に問題があるわけじゃない? だったら操縦士の問題になるわよね。

「えっと……携帯から漏れている会話を聞くと、その多くは日本語と英語だということ。それとあなたが米軍と関係を持ってつい最近まで何かしていたことを考えて、アメリカ発日本行きだと仮定できる。この時間にフライトしているのはこの時間フライトしているは……恥ずかしながら宝瀬が作ったフローウイング199ね。そして時差があるとはいえこんな時間に操縦させるのは、よほどの手腕に違いないわ。だったらその操縦士には何度かお世話になっているわ。皆木氏守。年齢は40代半ばだった記憶があるのだけど、違う?」
「…………馬鹿ですか貴女」

 これでも全盛期より思考能力が落ちている。
 昔だったら今座っている座席まで当てていたでしょう。

「それは、罵倒ではなくほめ言葉としてとっていいのよね。でも確かその操縦士、事故に会わないギフトを持っていた記憶があるのだけれど」
「ハイジャックは事故じゃなくて事件ですし」

 それもそうね。と納得する。

「分かったわ。私の名前を出せばそれくらい大目に見てくれるでしょう。それで、他には?」
「残りはあなたで考えてください」
「何よそれ。自分で考えてあなたの為に何かをしろって言うの? 流石にそれは嫌よ」
「いえ、これが本題ですから。といってもわたしから言えるのは一つだけです。『頑張ってください』」

 え、やだ。
 不穏。

 幸がそんな事言う時って、絶対に縁起でもないことが起きるときじゃない。

「覚悟をしておいて。それがわたしが真百合さんに送るメッセージです」
「いやよ。それにそもそももう私は頑張りたくないのに、なんで頑張らなくちゃいけないの」
「頑張るくらいしましょうよ」
「むしろ幸はしっているでしょ。私はもう何も考えたくない。彼と共に怠惰に生きたい」
「怠惰どころかあなた暴食以外の全ての罪を背負っているでしょ」

 傲慢――まあ、彼以外認めていないわ。
 強欲――お金は勝手にやってくる。
 憤怒――妹と友を絶交したわね
 嫉妬――説明する必要が無い
 色欲――いわずもがな。

「魔女ですね。あなた」
「魔女……ねえ。ただ魔女裁判かけられても生き残る自信はあるわ」
「少しは改めてください」

 嫌。絶対に改めない。

「だいたい戸籍を宝瀬から嘉神に移したりしてニヤニヤしていたのに…………最近私を働かせすぎる」

 嘉神真百合。何て甘美な響きなんでしょう。

「だからあなたはギフトを失ったんですよ」
「戸籍を変えるのとギフトの有る無しの因果関係を証明しなさい」
「嫌です。それと貴女はきっと察することができないですからしても無駄です」

 『物語』特有の(メタ発言)? ってやつかしら。
 本音を言うと羨ましい。

 嘉神君が使えるのに私が使えないという疎外がある、

 だから使える幸がちょっとだけ羨ましい。

「で、本題は終わった?」
「はい、ですがこのままお話ししましょう。あなたと何でもいいから話せというのが多幸福感の私事です」

 ならばその通りにしましょう。私にとっても不都合なことは無いでしょう
から。

「あなたギフトについて何か知っているんですか?」
「知っているというより察しがついているわ」
「多分それ半分は正解です」

 私の考えが半分ですって…………

「はあ。控えめに言って最悪ね」
「そうなんですか?」
「ええ。幸は何なのか知らないんでしょう」
「はい。知らないってことはそう言うことになります」

 知らないほうがいい不都合な真実。

「私は私で不都合な真実を見つけたけれど、それがまだ半分だって言われたら…………はあ」

 ため息だってついちゃう。

「ギフト……本当にひどいネーミングね」
「えっと興味本位で聞いて大丈夫です?」
「ええ、聞くだけは問題ないわ。ただ何とも言えなくなるから」
「うーん……わたしのギフトはそこまで強く拒否を示していないんですけど」
「あ、それ多分あてにならないわよ」
「え?」

 私の考えていることが正しいとしたら。

「果たしてあなたのギフトはいつも正しかったかしら」
「いや、いや。その前提が壊れたらわたし本気で危ないんで冗談でもやめてくれます? これは譲れませんよ」

 冗談じゃないのよねえこれが。

 ただ彼女も私に比べたらまだましとはいえ、危ういにことに変わりはない。

 本人には言わないけど、多幸福感は名前を思い出したくないあの男に効果がなかったどころか通用すらしなかった事実がある。
 浄化集会の件、幸は少なくともあれが介入した時点で逃げを進言するべきであった。そうでなければ無能のコンプレックス集団ことA3(anti abnormal association)は一度・・滅びることは無かったし、その結果路頭に迷う人も減ったはずなのだ。

 だからあそこで正しくは逃げる事を選択しなかった多幸福感は存在が矛盾している。

 もちろんこれは多幸福感が単純に幸の思っている通りの話。
 私が思っている通りならちっとも矛盾していない。

「神薙信一」

 幸がその男を口走る。

 私だって調べたくないものはあるがやらないといけないとはやっている。
 思い出したくも関わりたくもないが、あの男は知らないといけないのは分かっていた。
 過去のデータを参照した結果、その男はいた。

 一般人から見て嘉神君が天才であり、その彼から見て私が天才なように、私から見てあれは狂っている。

 100m7秒。フルマラソン1時間30分。囲碁と将棋、それぞれ2目落としと飛車角落ちで最高峰の対戦プログラムに同時進行で勝利する。

 これらを私と同じ高校時代でやり遂げた。

 天は二物を与えたどころか、天の荷物を全て奪い取ったかのような鬼。

 しかし、しかしだ。
 それだとしても今につながらない。

 鬼才とはいえ、まだ見ることのできる存在だった。見るに堪えない現状とは大きくかけ離れている。
 それに不本意ではあるが、当時あれが地球上にいたなら宇宙人なんかに後れを取ることは無かったはずに違いない。

 超能力は科学技術。あの男ならきっと作り出すことも可能であったでしょう。
 だがギフトは完全な神秘である。頭の良い悪いの話ではない。


 200年前何かがあった。その何かが鬼を――――にした。


 その結果ギフトが生まれたなら…………

「――――リミット」
「え?」
「多分あの男はたくさんの能力を持っていると思う。その中にはふざけた能力も使ってくるでしょう。あいつが何と呼んでいるかは知らないけれど、それを魔法や異能と呼ばないなら――――リミットと名付けるのが最もふさわしい」
「な、なんでそんなことを知ってるんですか。あなたは嘉神さんたちの状況を把握しているとでも」

 それが出来たらしている。
 でも残念ながら支倉の非能力者対策は完璧といっていい。

 何をしているか分からない。

 あいつらが全身全霊で秘匿している何かの副作用ね。

「こういったらあれですけど、案外詳しいんですよね」
「あんまり言いたくないのだけれど、私に一番近いのがあれなのよ」
「えぇぇ」

 ドン引きされているけれど、私だって本当はいやだというのは知ってほしい。

「私を数段階スケールアップして男にしたのが多分あれ」
「その数段階は一体どれほどの段階があるんでしょうね」

 さあね、別に知りたくも考えたくもない。

 ただ本当に悲しいけれど、私が知っている中で自分に一番近いといえるのがあれだった。

「そういえば宿題、覚えていますか」

 話を強引に終わらせて、いいえ。もしかしたらこっちが本題だったかもしれないと後になって思う。

「宿題? 夏休みの宿題なら当日にほとんど終わらせたわよ」
「そうじゃなくてですね、あれです。じゃんけんの話です」
「じゃんけん……ああ、あれね」

 グーチョキパー。石とハサミと紙。
 それぞれ相性はあるとされるが、どう考えても石と紙では石の方が強い。

 この世の全ては相性なんてものはなく、ただ強い方の都合に寄るってこと。

「わたし達の中で誰がグーなのか。それともう一つ。何で貴女が嘉神さんと会う前に早苗さんを嫌っていたのか。その理由は?」
「ごめんなさい。考えていなかったわ」

 それを聞かれた時は、明日の運命を決める能力者を相手して忙しかった。

「答え合わせは近日中にしますから。考えていてくださいよ」
「はいはい。それだけ?」
「そうですね。とはいってもやっていなかったはつまらないですので、早苗さんの件については真百合さんならすぐ気づくヒントを出してあげます」
「そう。じゃあ何」
「答えをあなたのお父さんが知っています」

 お父様が知ってる……?
 お父様と早苗の接点って無かったはず。

 いや、一回だけあった。

 あ。

「思い出した」

 思い出してしまった。

 そうだ。そうよ。
 嫌ってたんじゃない。
 忌み嫌っていたの。

 気持ち悪かった。

 あの女が本当に。

 でも待って。
 だったら…………あ。

 あああああっ!!!!!

「では真百合さん、ふぁいと」
「え?」

 とんでもない地雷を掘り起こした幸だったが、それすらどうでもいいことが起きてしまった。










【沈黙の666】が始まった。



考えているようで全く考えていなく、考えていない所でめっちゃ考えている。

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