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チート戦線、異常あり。 作者:いちてる

7章 後編 プロジェクト ノア

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どうしようもない存在

主人公最強モノ。つまりこの敵に関してはいくら強くしても問題ないということです(丸投げ)


「作戦会議は終わったKa それじゃ最終通告といこうKa 逃げるのか、それとも死ぬKa」
「何度も言わせるな。逃げるのはいない。死ぬのは貴様だ。支倉ゲノム」

 シュウと父さんには距離をとって隠れてもらった。
 一応何か予兆があった時、一瞬で襲いかかれるよう指示をして。

「まさかとは思うが、お前が一人で挑むつもりKa?」
「そのまさかだ。貴様を倒すのに俺一人で十分」
「HAHAHAHAHA これは傑作Da どうやらこの体の持ち主は能力が弱くなっただけではなく、頭も弱くなったらしい」
「人様の強さのくせに、よくそこまで傲岸不遜になれるものだ」

 まず煽り合いが基本。
 将棋でいうところの飛車先か角先の歩を一歩進めるのと同じこと。

 そこをちゃんと知っているこいつは、馬鹿ではない。

 戦い慣れをしているわけではないが、定石を知っており、超悦者スタイリストの使い方を熟知している。

 何より能力の吸収『柳動体フローイング』が、何故か『物語』クラスに昇華してしまっているのが一番つらい。

 まともに挑めば俺達三人がかりでも勝つことはできない。
 だが勝つためには俺が一人で挑まないといけないという、明らかな矛盾。

 だがこの矛盾こそが、支倉ゲノムから身を守る鎧となり、一矢報いる矢となるのだ。

二次色の人生レインボーライフ

 作り出すは、側面すら斬ることのできる日本刀。

「テンガシリーズKa」
「テンガシリーズ?」
「その刀剣の名前のことDa 村正だって種類があるだRo それ同Ji」

 テンガシリーズ…………おそらく元ネタは間違いなくあれだが、これもまたスルーをしないといけない。

「残念なことにその刀は最初期のものDa 確か……側面でも斬ることのできる刀だったKa」
「知っているのかよ」
「知っているも何も、武器庫にそれと同じのが100個あるZo」

 なんということを。量産型とメープルは言っていたが、誇張ではなかったようだ。

「冥土の土産だ。爺さんはそれの大業物を所持していRu」
「…………」

 逆に考えよう。
 ここで、ボスの武器を明かすということはこの戦闘で負けることはない。

 うん、フラグ管理は大事。
 逆フラグなんて知らない。

 フラグといえば、少しでも勝率を上げる方法を考え付いた。

「しかしなんだかんだで時間稼ぎしかしていないな。これじゃただの案山子だ」
「時間を稼ぐのもいいが、別に貴様を倒してしまっても構わないのだZo?」

 やったぜ。はっはっは。
 これで貴様の未来は確定した。

 無様に負けろ。

「OREには最近結婚した女がいRu。あと数週間で出産予定日Da」
「…………」
「ん? いつの間にか靴紐が切れているZo?」
「…………」
「しかし貴様のこの目だけは不良品だNa 北極星がまるで見えなI」
「…………」

 逆死亡フラグを建てられた。
 まあいいや。横着して倒そうなんて思っていない。
 悔しくなんかない。

 仕方がないからもともと考えていたA案に戻そう。
 はあ、やりたくないなあ。

 さっき作った刀を基準に、複製。

「もう俺の複製は、物に関して本物と変わらない」

 天に降り注ぐ無数の剣。
 しかもいくつかは俺が物理的に投げた超悦者スタイリストでの投擲。

 防げるわけがない。

「はA それが作戦ってことKa? これは失笑せざるをえなI」

 その全てが支倉ゲノムに直撃する。

「勘違いを訂正しないといけなI まず貴様の柳動体フローイングがどうかは知らんが、今OREが使っている柳動体フローイングは少しでも異能に関われば問答無用に吸収できRu」

 複製した後だから能力じゃない……そんなものは関係ないというのかよ。
 直接影響する攻撃は効かない。
 かといって間接的に能力を使っても吸収。

「それとこれが最も重要なことだが、OREが貴様の考えを気づいていないと思っていることDa」
「なに……?」
「恐らく――――お前の考えはわかRu 吸収する能力の弱点、許容量キャパシティーを超えての攻撃……そうだRo?」
「な、なぜ」
「甘E 甘すぎるZe 馬鹿にするのは自由だが、馬鹿だと思って戦うのは間抜けをさらすからやめておKe この幼き体は、喩え宇宙そのものを吸収しようが一切音をあげること無Si」

 どうなってんだよ俺の体。

 でもよくよく考えてみたら、高校生になって白狂したときはあのメープル相手に善戦できたんだよな。

 …………神薙さんには手も足も出なかったけど。
 また勝手にトラウマが増えてしまった。

 だが嫌な汗が流れたのはその所為ではない。

 有言実行とはちょっと違うが、支倉ゲノムの言った通りダメージを受けた様子も回復量を超えた様子もない。

「攻撃は済んだKa? そろそろこっちのターンといこうKa」
「攻撃? どうするつもりだ? 柳動体フローイングに攻撃力は…………」
「さっき抹消して見せたのをもう忘れたのか」
「うぐっ。だがならば速度が足りない。超越者スタイリストの移動なら、こっちも同様に対応できる。逃げ切れるはず」
「ふっ、HAHAHAHA」
「何が可笑しい!」
「何が可笑しいかっTe? そりゃ逃げ切れるって発言Da 貴様の記憶力が大丈夫か心配になってきちまU 自分で言ったんだRo OREは確かに聞いたZo 『退いたら、馬鹿にされる』 そういった貴様が、逃げようなんて考えを持っTa 笑って当然だRo」
「…………話を跨いだから覚えてない」
「何を言っている? ついにトチ狂ったKa?」

 …………ふうん。そうなんだ。
 そうくるんだ。

「嘉神一樹。貴様はもう負けているんDa 策を見破られ逃げ道を探しTa 戦争において重要なのは最後の局面じゃなI 最初の局面Da そこで貴様は敗北したのDa もう後は狩られるのを待つのMi」
「そう言うのはどっちかが地面に這いつくばってから宣言するものだ」
「ならばこっちも宣言しよU 今から15秒以内に、貴様はその両膝を床につけるTo」

 その宣言から局面は大きく動き出した。

 支倉ゲノムが突進。
 彗星のように通った後に白い線が残る。

 危険信号が脳内で鳴り響く。

 その恐怖を乗り越え、ギリギリのところで右に回避し――反撃。
 脊髄を狙っての踵落とし。

 皮膚でこいつを触れてはいけない。

 その起因が、強すぎる存在の恐怖によるものか長年闘い続けた直感によるものかはたまた自分の能力だから知っていたからか。

 いや――――その全てだ。

 絶対に触れてはいけない――――!!

 出来るだけ分厚い遮りを使っての攻撃。

 これで吸収されるにしても靴の踵だけのはず。

 直撃! 手応えは十分……だがこいつ…………!
 血を吐きながら笑っていやがる…………

 狂気か……? いや、こいつはそんな外れたことはしない。
 語尾はあれだが、言動は至って普通。故に何か理由が……?

 ――――血?

「……あ」

 吐き出された血が……手の甲に数滴かかった。
 何かに導かれるかのように、急いでふき取る。

 敵を目の前にして、汚れをふき取るという暴挙。
 当然、そんな隙を支倉ゲノムと言う男は見逃さない。

 手を床につけながらも、カエルのように靴裏で俺の鳩尾を蹴りつけた。

 何とか距離をとったものの、痛みで両膝をついてしまう。

 支倉ゲノムの宣言通りになってしまったが、その彼自身は苦虫を噛み潰したような顔をして俺を見下す。
 この立ち合いに勝者はいない。

 お互い顔を引きつらせながら、次の策を練る。

「勝負勘が強すぎるZe 本来ならば、膝じゃなく胸を床につけてさせたはZu 貴様がその血を拭きとらなけれBa……」

 その続きは言わなくてもいい。
 俺自身、身を持って体験した。

 触れた能力を吸収する柳動体フローイング
 その効果は、別に体に繋がっていなくてもそもそも手である必要もなかった。

 毛、汗、そして血。
 その全てが能力の範囲内。

 だがそれですら、今から俺が述べることに比べればそこまで重大なことではない。

 もしも――――もしもあのまま、血の付着を無視し続けていれば

「ギフトが吸収されていた」

 俺がこの4カ月集めた仲間との思いと、敵からの戦利品が吸収されていた。
 能力の吸収。

 まさかギフトそのものにすら影響を及ぼすとは――――誤算だ。

「謝罪をしようKa OREは最初この体を強いだけだと思っていTa」

 やめろ。
 今ここでそういう言葉・・・・・・は求めていない。

「爺さんがいっていTa 『嘉神一樹には勝とうとするな』To 自分と同じ『勝利する人間』だTo 初めは誤解だと思っていたが、いつも通り爺さんが正しかっTa この一瞬の組手、勝ったのも有利をつけたのもOREだが…………恐ろしさを感じさせたのはお前の方Da」

 何を言うか――――
 どう考えても血に触れさせたら能力を吸収の方が、圧倒的に恐ろしい。

 想定外だ……認識外だ……常識外だ……

「だが残念なことに一つ訂正をしないといけなI」
「訂正?」
「貴様は先程『ギフトが吸収されていた』と、仮定形としての表現を使ったが、それは誤りDa――――何、言葉そのものは同じことDa 『ギフトが吸収されていた』と過去形で話してくれればいI」
「…………おいおい、流石にそれはなしだろ」

 冗談じゃねえぞ。
 それはやっちゃいけない領域だ。

 そんな事やられたら、柳動体フローイングの攻略なんて不可能だ。

「――獲った獣の皮算用アニマルマネジメント――仮面」

 純白の羽根が背中から生える。

 その姿は――――天使。しかしその実態は悪魔。

 もはや神々しさを感じさせ、戦意を瞬く間に奪っていく。

 それでも勇気を振り絞り、自分のギフトがどうなっているか恐る恐る確認する。

「ふっ」

 笑みがこぼれた。
 こんな絶望的な状況だから、元の能力が残っていたことに幸福すら感じ始めたのだ。

 だが考えてみれば当たり前のことである。
 口映しマウストゥマウスはコピーするギフトではない。

 『キスした相手の能力を得ることが出来る』能力。

 そのギフトを奪われようが、キスした事実が消えない限り消えても再補給される。
 しかもそのキスした事実が『時間』『運命』『世界』によるものではなく、描写依存という『物語』に影響する。

 まあ、口映しマウストゥマウスを奪われたらその時点で終わりだが。

 つまり俺がこいつに触れられるのは口映しマウストゥマウスが奪われない間だけ。
 しかも少しでも触れれば、更に支倉ゲノムは強くなる。

 怖ろしい。
 悍ましい。
 さっきこいつが今までで一番強いと明言したが、どうやら過小評価の様である。

 どうなってんだよ、俺の過去。

 と、悲観する暇はもう無い。

「もう逃走は無しDa 貴様は絶対にここで消さなくてはならなI 今確実に分かっTa 生かしてなどおけなI それがこの力を授かったOREの責任Da」

 支倉ゲノムは、羽ばたきそこから無数の羽根が俺に向かってくる。

 状況は最悪。ならば考えるべきことも、最悪としなければ。

 当然、羽は体の一部であると。
 体の一部ならば、触れた瞬間お陀仏であると。

「ORAORA どうしTa!」

 襲い掛かる羽根が尽きることはない。無尽蔵に吐き出される。
 羽根の絨毯、ただしすべて突き刺さり、触れればお陀仏。
 壁に剣を突き刺し、更にその剣にもう一本突き刺し、その上に乗りかかる。

 実際ならあり得ない動きも、こいつがしでかしたことを考えれば可愛いものだ。

「父さん! 見てただろ!! こっちへ来い!!」
「分かってる! これは父さんも想定外だ! もういいだろ一樹、取りあえず逃げるぞ!」

 ここまで背中を向けて逃げることを拒否し続けていた。
 戦う相手がどんなに強くても、一度戦闘になればどんなやつとも戦い続けたし、戦いたくなかった時も、一度戦闘が始まれば最後までやり続けた。

 腰がすくんだことはあった。勝てないと思ったこともあった。

 それでも逃げなかった。

 唯一逃げようと思ったのは、神薙信一の時だけ。
 だがそれはあれが戦闘にすらならなかったから。

 この世の不条理そのモノだから。

「くそったれめ……!」

 しかし今日、この日。8月30日の夜中にて――――
 俺は生まれて初めて戦闘を投げだした。


 裏設定ですが、家事がへたくそな育美(母)さんが家にいる理由はこいつとタイマンをはれるからです。
+注意+
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