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チート戦線、異常あり。 作者:いちてる

7章 後編 プロジェクト ノア

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閑話 何時かに何者かが何所かで何かを何故か

カク○ム0話に投稿したやつです。
誰かわからないようにしているけど、ここまで読んでくださった人ならすぐにわかる。
「何だ……あれは」

 誰かが口を開いた。誰もが同じことを思った。

 訳の分からない何かが、いつの間にか自分達の(うえ)にいた。

 あれ(・・)は恐らく人の(カタチ)をしている。

 だが、人といっていいのか?
 人とはもっと小さな、低劣な種。
 我々神が管理して、初めて存在できる矮小な個。

 しかしあれ(・・)は違う。
 存在が理解を超えている。

 そいつ(・・・)は確かに降臨して、誰に問うのではなくただ独り言を呟いた。

「脆弱、醜悪、下等、無残、低能、粗末。これほどまでに塵芥ちりあくたという表現が相応しいと思う事も、二度とないだろうぜ」

 それ(・・)は、確かにそう言った。
 神なる存在に向かって、はっきりと己の意思を告げる。

「ゴミ掃除に来てやったぜ。消えたいゴミは一か所に集まれ」

 何者か分からなかったが、明確な侵略の意思を感じとった。
 ならば排除するまで。

 時間軸に存在する神はあれ(・・)を過去の存在に変えようと、
 因果律に存在する神は避けられない消滅を与えようと、
 亜空間に存在する神は存在できない異空間に誘おうと、

 思い思いのチカラを奮い、それを排除しようとする。

 その全てが、あれ(・・)に辿り着く前に弾き返され、排除を試みた者は消滅した。

「時間操作ぁ? 運命操作ぁ? 空間操作ぁ? 弱い弱い弱い弱い弱い。どうしてウジはそんなカスを大層なものとして扱うことが出来るんだ。攻撃よりも、恥ずかしさで痒くなってしまいそうだ」

 呪いの類が効かないのならば、と、力を司る神が肉弾戦を挑む。

 そこで初めて、それ(・・)は嫌そうな表情をする。
 力が通じる、そう勘違いしたときには、既に肉体は崩壊していた。

「糞が特攻してくる。汚いぞ。俺に触れようとするんじゃない、穢れる気持ち悪い消え失せろ」

 それ(・・)が嫌悪感を示したのは、生理的苦痛故の為。
 全知の神は知っている。あれは本心から見下し汚らわしく思っていなければ見せることのない純粋な憎悪。

 そこまでコケにされては神としての誇りが泣く故、数多の神が全能の力を使い、絶対なる消滅を計る。

「出来ないことが出来ない能力で、倒せるわけがない俺を倒せると思えるのか。出来損ないが、こんなのが…………同類なのか。悲しすぎる」

 完全なる力の差。
 太陽に小石を投擲したかのような、存在そのものに寄る力の差。

 理解することすら許されないほどの絶望的な力の差。

「待て」

 事実上(・・・)の最高神が、それ(・・)に呼びかける。
 そして他の神々は安堵した。彼ならばきっと何とかしてくれる。

「貴殿が何者なのかは問わん。だが今は我々が争っている場合ではないのは分かるはずだ」
「あ?」
「その力を持つのなら分かるであろう。我々には滅ぼさないといけない悪母神がいる」
「あ~」

 そこで初めてそれ(・・)と神の意思が通じる。
 しかしそれが最後の意思疎通であった。

「確かに優先順位はそっちだぜ。だがすでに、あれは俺が封印した」

 放り投げるは、悪母神の左腕。その禍々しさを間違えるわけがない。
 彼等が畏怖し続けてきた、最古にして最悪の神。それがこの者によって討たれた。

 強すぎて理解できなかったそれ(・・)を、ほんの少しだけ理解できる。


 絶対的な暴力。意思を持った絶望。理不尽の権化。


「だからカスは大人しく消え失せろ」

 明確な敵意、いや敵とすら認識していない。
 害意。
 何かが欲しい、何かを変えたい、そんなものはなく、唯々滅びが目的。

「総員! こやつを殺せえええええ!!!!」

 否定する意思などあるわけがなく、全身全霊をかけそれ(・・)を殺そうとする。
 全ての時間に、全ての運命で、全ての空間から、全ての絶対を用いて。
 無限を超える数の神が、無限を超える力を使い、無限の手段で殺害しようとした。

「つまらん。つまらんが……全てを相手するのも面倒だ。仕方ない」

 そこで初めてそれ(・・)は、戦闘態勢に入る。
 逆に言えば今までは、特に何かをしたつもりはないと神に知らしめた。

 しかし、そんなことこれから起きることに比べればどうでもいいことである。



最終傀(エピローグ)



 それ(・・)が何をしたのか、どうやったのか分からない。
 だがその結果がどうなっているのか、いくつかの神は認識した。

 神が滅んだ。
 数多の神が消された。

 銀河の星を統べる神
 無限宇宙を統べる神
 並行世界を統べる神
 森羅万象を統べる神
 厖大な神を統べる神

 最上位に君臨する神

 皆等しく消え去った。

 無限を超える神々は、ほんの一瞬で完全に消滅した。

 生き残ったのは、それ(・・)の都合。
 絶望を与えんと、あえて生かされた雑種なる存在。

「分かった! 我々の負けだ!! 何が望みだ!!」
「助けてくれ。悪かった!」
「お願いだ!! 何でもする!」

 絶望が、神を支配する。

 それ(・・)は目論見通りに事が進んだことを確認すると、七分咲き程度の笑顔でほほ笑んだ。
 彼らに見せる初めてのプラスの表情。
 許されたのか? ちょっぴりの希望が神々の全身に染み渡った。



「絶望が足りない」



 それ(・・)は確かにそう言った。

 確かに絶望する神を、勝敗が決した敗残兵に更なる絶望を与えんとする。

「こんなものじゃない。俺達が味わった絶望はもっと熱く激しく苦しかった。この程度ではこの怨念は治まらない」

 惨たらしく崩れていく神々を見下しながらただただ呟く。

「全能で足掻け。そして全知で理解しろ。貴様ら神に許されているのは、もう絶望だけだ」


あれの正体 一体、何薙信一なんだ……?
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