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チート戦線、異常あり。  作者: いちてる
7章 前編 サマーバケーション
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神陵祭 2

作者のやる気は総合評価の伸び方によって変わります。

 これで俺が神陵祭ですべきことは全て終えたわけだが早苗は最後まで残るため再び暇になった。


 そして真百合もまだ時間があるとのことなので、一緒に出店で食い物を買って他人のステージパフォーマンスを見ることにした。


 客席は満席で座れる場所は無かったが立ち見なら丁度いい場所に空間があったのでそちらに移動する。


 ただ真百合は若干嫌がっていたが場所的にそこしかなかったのでしかたない。


 で、何で嫌がっていたかというと


「結局俺の所にくるのか。ツンデレか?」


 そう、隣にこいつがいるからだ。


「本当は俺も嫌なんだが、ちょっとあんたに聞きたいこと……いや、確認したいことがあったのを思い出してそのついでだ」

「それで何を確認したいんだ」

「この神陵祭の民謡。それどこまで事実なんだ?」

「それは確認ではなく聞きたい事だろ?」


 そうだな、もっとはっきりさせよう。


「神陵祭の民謡で出てきた【父】はあんたの事か?」

「そうだぜ。この神陵祭は俺の為の祭りだ」


 やっぱそうなんだな。

 露骨すぎる。


「出てきた【母】はラバーズたちのことでFA?」

「イエス。では子は?」

「俺達のご先祖様」

「その通り」

「だが【神】はなんだ? メープルではないよな」


 感じが違うのは何となく分かる。


 メープルは良くも悪くも俺達を見ていなかった。


 固執していないある意味神様らしい神様。


 だがあの【神】はどちらかと言えば人間らしさがあった。


「お前達には関係ない……と言えるかは嘉神一樹次第だ」


 俺が知らない神様――みたいなのが他にもいるってことか?


「ではここで一つ俺からクイズを出そう。この世界における超能力とはなんだろうか」


 ……ずっと前から答えはもう出ている。


 俺はよく切れる日本刀を取り出した。


「アンサーは科学技術。なんでもない、高度に発展した科学は魔法と同じ。メープルはこれを単なる技術って言っていたが俺達からしたらこれは魔法の領域だ」

「そりゃそうだ。こんなもん国語のテストレベルの話だぜ」


 認めた。


 科学=超能力。


「では褒美をやろう。俺に質問する権利を与える。そして俺はそれにイエスかノーかで答えよう。ただしノーと三回言えばそれで打ち止めだ」

「………………」

「別にやんなくてもいいぜ。どうする?」

「やるさ。こっちだって色々聞きたいことは山ほどあるんだ」


 頭の中を整理する。


 知っておくべき優先順位は……ギフトか。


「そもそもギフトを持つ条件は何らかの法則性がある」

「……………」

「どうした? 答えられないのか」

「これはかなりきわどい質問だ。だから質問に答えるが回数には加算しないでやるぜ。イエスでありノー。何かをやればなれるとかこういう奴がなれるとかそういうのは一切ない。ただ…………読者視点・・・・でそいつがギフト持ちかどうかを判断するすべはある」


 なんとまあ凄い答え。


「ただし俺達は例外とする。次は」

「あんたとギフトに繋がりは存在する」

「イエスイエスイエス。大正解。俺が居なければギフトなんて存在しなかった」


 そこまで答えるのか。


 しかし冷静に考えて酷い答えだ。


「そうだな……一先ずギフトは置いといてメープルの事でも聞いていいか」

「いいぜ」

「メープルの最終目的は……人類の為である」

「ノー。あいつはそんなこと考えちゃいない」


 くそ、後二回か。


「目的はあんたが関わる」

「イエス」


 ひょっとして全部こいつのせいじゃないかと思い返す。


「ねえ、ちょっと私もいいかしら」

「真百合……ああ。何か聞きたいことあるのか」

「ええ。差し支えなければ私からも質問しても?」


 まあ、真百合が知りたいことは俺も知りたいし。


「いいよ、ノーが出るまでならいくらでも」


 ありがとうと微笑んで神薙さんと対峙する。


 スーッと深呼吸をし真百合は以下の質問をした。


「魂が重くなった理由はあなたが関係している」

「イエス」

「ギフトと魂の重さに………明確な関係はない」

「イエス」

「その二つが目的としているものは同じである」

「イエス」

「ギフトには私達が知らない裏設定が存在する」

「イエス」

「それはメリットデメリット両方を含んでいる」

「イエス」


 ひでえ。


 全部イエスとしか答えていない。


「後は…………」


 そう言うと真百合は携帯を見せる。


 俺に見られたくないものでもあるのか?


「両方イエスだ」

「そう。嘉神君。もういいわ」

「え? もういいの?」

「ええ。後は大体察しがつくし。それにこいつが真実を言っているかの保証は無いもの。立ち位置的に九分九厘真実だとは思うのだけど、私が本当の意味で信じるのはあなただけだから」


 確かにな。こいつの言うことを信じるくらいなら俺も真百合を信じる。


「じゃあ……そうだ。主人公! メタ発言は何度もよく聞くがその中で『主人公』はよく聞く。ひょっとして『主人公』は別の意味も含んでいるのか?」

「素晴らしい。イエスだ」


 後は……


「あんたのことだ。結局あんたは敵なのか?」

「ノー。だが味方でもない。子供の成長を見守る頑固爺のようなもんだ」


 自称200歳は言うことが違うな。


「あと一つだ。大切に聞け」


 そうだな。もう一度よく考えて見よう。


 そもそも事の始まりはどこからだ?

 出会ったのは早苗と山歩きしたとき。


 だが初めて神薙という名前が出てきたのは真百合とのコロシアイのとき。


 そもそも早苗の事件だって何かが関与していたはず。


 結局あれ以来それらしいことは起きていないと思っていたが、実際メープルが直接介入したからその必要が無くなっただけなのか?


 そのメープルが俺にしたことはなんだ?


 級友を嗾け更に俺に殺させようとした。


 あいつは理由を理不尽だからとか言っていたが、本当にそれだけの理由でそんなことをするものなのか?


 大体俺がかかわった事件全部に言えるが、犯行とその目的が著しく離れているのは気のせいか?


 例えば最初、なんで外国人が美しいからという理由でちょっかいをかける?

 それだけじゃない。真百合の時も同じ。あれ下手したら国が転覆するくらいの事件になったはず。それなのに目的が楽しいからとかあり得るのか。


 それに月夜さんの時だって、もうちょっとマシなやり方があったはず。


 ギフトに従ったといったが、今考えれば多幸福感ユーフォリアがあの時の俺に後れを取るわけがない。


 後の事件はもう言わなくてもいいだろう。


「俺がかかわった事件、全てあんたもしくはメープルが裏で手引きしている。答えろ神薙」

「イエス。ジョセフランフォードはあいつが操った。バトルロワイアルでループ回数を指定したのは俺だ。そもそも俺は他人のギフトを自由自在に使える。旧友とのイベントを考えたのはあいつだ。文句あるか?」

「「――!!」」

「寧ろ今更かよ。ここまで来るまで何話使ったと思ってるんだ」


 何が敵じゃないだよ。やっていることは敵対行為そのものじゃないか。


「もうイエスとかノーとかまどろっこしいことは無しだ。これだけは答えろ! お前は一体俺に俺達に何をさせたいんだ――! 俺達の日常を壊してまでやりたい事とは何だ?!」


 周りの目を気にせず叫ぶが、当の周りは一切俺達を見ない。


 何かやったんだろうが……もうどうでもいい。


「ノー。逆だぜ。俺はお前の強いては皆の日常を守りたいんだ。何が目的かだが……全ての人々が笑っていけるハッピーエンドを。故に俺はお前達を幸せにそして自由に日常を謳歌していただきたい」


 無茶苦茶だ。


 自分が言っていることの整合性を理解しているのか。


「だから頑張れ。俺はお前に期待・・はしないが精一杯のエールを送ろう」


 これ以上神薙はこの件を語らなかった。


 ただステージを眺めて、一喜一憂して馬鹿をしていた。


 それはまるで……………………あり? なんだっけ?


 ――――うん?


 思い出せない。


 なんて思ってたんだっけ?


まあいっか。思い出せないんだしきっと重要なことではないんだろ。




 全ての演目が終わり、観客達は帰路に向かって歩いていく中


「真百合、ちょっと相談したいことがあるんだけど」

「何でもいって」


 夏の課題を片付けないといけないから真百合に相談する。


 自分の課題だから手伝ってもらうなんてことはしない。


 ただ見通しについて意見を貰いたかった。


「……………………………」

「えっと……どう思う?」

「私も手伝った方が良くないかしら」

「いや、それはいい。で、出来ると思う?」

「それは、出来るとは思うし、貴方なら問題はないと思うのだけれど――――」


 なら十分。


 その答えだけで満足した。


「じゃあな。これから早苗たちの後片付け手伝うから、また今度」


 欲しい解は手に入った。




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