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チート戦線、異常あり。  作者: いちてる
7章 前編 サマーバケーション
131/351

超悦者 1

超悦者が何なのか・・・・・・


絶対にわかった人はいないと思います。

 小さな歓迎会を開いてもらった。


 旬の野菜に刺身が並び、どれも早苗が作ったものらしい。

 そのどれもが金をとれるレベルで美しく、そして美味い。


 包丁で切り込みを入れ紅葉のニンジンが出てきたとき、まじかよと小言を漏らしてしまった。


 早苗は極道を継ぐのではなく、絶対に料理人になるべきだ。


その後、シャワーで汗を流した。


見た目は和風建築なのだが水回りは洋式なのは時代だなあと思った。


 時刻は9時1分前。


 待ち合わせの場所まで回廊洞穴クロイスターホールで移動。


「久しぶり。一樹」


 既に父さんは博優学園の屋上まで来ていた。


「ああ、稟の時以来か」

「……覚えているのかよ」


 思い出したが正しいが。


「いろいろ聞きたいことはある。だが俺としては超悦者スタイリストが何者か早く知っておきたい。教えろ」

「勿論。だがそのための順番がある」


 父さんは記憶を手繰り寄せるために空を見るしぐさをする。


「まず先に超悦者スタイリストの効力を知っておけ」

「超パワー超ガード超スピードだろ?」

「そう。大体その通り。超悦者スタイリストは時に核より激しく、星よりどっしりと、光より速く行動することができる者のことだ」

「そんなのはもう知っている。それをどうすれば出来るか、もしくはさせないかを知りたいんだ」

「そう慌てるな。今父さんは公式の形を教えている。証明は後回しだ」


 するとポケットから500円玉を取り出す。


「一樹、お前はこれを使って敵を倒せといわれた時どうする?」

「??? 無理だろ。投げ飛ばすか精々コイルにして弾くくらいしか思いつかない」


 それにしたところで普通に殴った方がパワーが出る。


超悦者スタイリストになるために一番不要なのがそれだ。レッスン1 常識は捨てろ」


 すると父さんは500円玉を軽く投げ落ちてきた所を親指で弾いた。


 最初硬貨の初速度は目で追える速さだったが、あり得ない速さで加速していき夜の空に消えていった。


 それだけならまだよかった。


 夏の大三角の一つベガがキランとマイナス6等星くらい光った後に消え去った。


「   は?  」

「見ての通りオレは今500円玉で恒星を破壊した。ツッコミどころはあるか?」

「あるに決まってるだろ!? アホだろ?? いやばかだろ??」

「それだ。その感情こそが超悦者スタイリストになるための枷。ここでは常識を持った方が負け」


 ありえん。

 どこの幻想郷だよ。


「いいか。受け入れろ。あり得ないとか無理とかそう言うのは捨てろ。考えるな感じろ」

「…………おっけー。冷静になってみれば無理とかあり得ないこと日常茶飯事だ。幼女が地獄を操れるんだ。大人だったら恒星一つくらい破壊しても特に問題ない」


 そう思おう。

 そう思わないとやっていけない。


「当然だが、光の速さで動いても空気抵抗とかそんなの考えるなよ。爆発に巻き込まれても服が無事とかそんな無用なツッコミは絶対に入れるなよ」

「……なんだかな」


 俺は思ったことをそのまま口にした。






「漫画の演出を見ているみたい」






「――――はあ」

「どうした? 急に頭抱えて」


 何か言っちゃいけないことでもいったか。


「もう少し印象付けたかったんだが、その感想を持ってしまったら遅いか。いいか一樹、お前がさっき言ったこと復唱してくれ」

「なんだ? 頭を抱えての所じゃないよな。漫画の演出を見ているみたい………………」


!!??


 まさか??


「もう分かっただろ。超悦者スタイリストがなんなのか」

「いや分かんない!! 絶対にこんなのあっていいものじゃない!!」


 これを認めていいものか!!


「レッスン2 受け入れろ。常識なんてギフトがある時点で人類の常識は吹き飛んでる。もう一つあり得ないのがくっついてきた、そう思えば少しは納得できるだろう」


 出来るか!!


「…一樹、父さんが初めてお前にあった時のことを覚えているか? あの時オレは何をされて何をした?」


 確かあの時、早苗の鬼神化オーガニゼーションを素手で受け止めた……


「あそこから!?」


 マジかよ…………


 そこから超悦者スタイリストの設定あったのか??


「これは少し勝手が違うが、サッカーボールで父さんが倒された時もあったよな?」

「あれも……?」

「それに父さんは干渉できなかったが、月夜幸に精神操作が効かなかったのもこれだ」

「どうやって? それはどうしても分からない」


 一度深呼吸をし天を仰ぐ。


「なあ一樹、最初会った時父さん物凄く強そうだと思わなかったか?理由なんか考えなかっただろ? ただなんか凄そうな雰囲気だして、ああこいつ何となく強キャラだからスル―しておこうってなったよな? 

それが超悦者スタイリストだ。つまり――――





超悦者スタイリストは、それらしいことをそれっぽく演出した狂言役者だ」





「――――」


 予想内の最悪な答え。


「それっぽく攻撃すれば周りは勝手に破壊される。

頑張って耐えれば大地にクレーターが発生する。

残像を作れば光速で移動できることになる。

化学電磁気学力学量子力学関係なく、そのつもりで行動すれば周りに想定の影響を及ぼす」

「そんなこと出来るわけ無いしやっていいわけねえだろうが。バーカ!!」

「そう言うと思ったから、仕組みを最後に説明したかったんだ」


 こんなのが蔓延っているのかよ。


「やっぱオレじゃ無理か。一樹。ほれ」


 携帯を投げ渡す。


 正直この流れで誰に繋がるか分かるから


「絶対に出たくないんだが」

「騙されたと思って出て見ろ」


 ……仕方ない。出てみよう。


『ハロー。俺だぜ』

「はい、さようなら」


 携帯を耳から離す。


『そうはいかんなぎ』


 うわっ! 携帯電話が耳にくっついた。


『予測可能回避不能。そんな俺がお前のふざけた常識をぶち壊す』

「わーうるさい。せめて離してください」

『気にするな。なれれば平気だ』


 もはや説明不要。出てくるだけで面倒事になる男。


 名前を聞くだけで吐きそうになるあの人。


『狂言回しと言えば聞こえが悪いが、実際に他所がやってみたことを例えてみれば意外と受け入れられる。

 例えばガン○ム。宇宙空間で地球の空中戦のような戦いをしている。これはふざけていないといえるのか?

 例えばドラ○ンボール。あいつら気で大地を揺らすが、あれくらいの地震が起きれば津波やらなんちゃらで、それだけで人が死ぬぞ。

 例えば----』

「もういい!! そんなこと聞きたくない」


 常識がレ○プされる。


『国民的名作で例えるのが嫌なら……文字通りとある作品を使って例えよう。熱々の紅茶で攻撃して拳銃を歪ませたり、根性論でどう考えても致命傷を耐えたり、なんとなく音速戦闘に対応してたりしてるんだぜ。俺達はこれから同じことを、否これからも同じことをするだけだ』

「それはツッコミ受けてるだろ! いい加減にしろ!!」

『そのツッコミの後、訓練された読者は何て返す? そんな真面目になるなよ。たかが小説フィクションなんだぜ。そう言うに決まってる。それをやられた側の気も考えずに……だぜ』


 確かにそんな余計なこと考える奴が馬鹿だという風潮も確かにある。


「だがそれを意図してやるのとやらないとでは全然違う!!」

『ゆ○理論』


 ……


『有体に言えば超悦者スタイリストは○で理論だ。これで満足したか?』


 完全論破と言いう言葉が俺の脳を走った。


『折角読者が目を瞑っているんだ。だるまさんが転んだよろしく、前に進むべきであろう』


 誰もがやってきた。

 そう言われればその通りだ。


 でも一線だけは超えないようにしてたはずだ。


『別に文句があるなら使わなくてもいいぜ。だがこれから嘉神一樹の敵は大地を砕き海を背負い空を駆け抜けるのがデフォルトとなる。そいつらを相手するのに果たしてギフトだけで足りるか? 教えてやるが不可能だぜ』


 神薙信一は断言する。


 全てが自分の筋書き通りだというように。




『そしてもう一つ忠告してやる。この章の大ボスはギフトでは絶対に倒せない。シンボルを持っていない嘉神一樹は超悦者スタイリストしか対抗手段が無い』




「それは――――!? どういうこと――――!?」


 通話が切れる。


 いつも通りあいつは言いたいことだけを言って去っていった。


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