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チート戦線、異常あり。  作者: いちてる
1章 衣川早苗と化け物退治
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衣川早苗 2(視点変更あり)

 視点変更が駄目だとは知っているのですが、どうしてもやりたかったのでやってみました。後悔も反省もしていません。

 あと、短めなのは許してください。

「【ようやく一人】」


 嘉神が私を庇って攻撃を受けた。


「【だがなぜだ。間違いなく二人とも葬る一撃だったはず】」


 あいつの服は焼けこげ、あいつは感電のためか痙攣している。


「【まあいい。もう一度撃てばいいだけの話だ】」


 結局私は何も出来なかった。守られるだけだった。


 私が嘉神にしたのは憎むくらいだ。そして私は二度と彼に謝ることは出来ない。


「【本当にこいつ死んでいるのか?】」


 あの塊はさっきまでのしぶとさを思い出したのか、本当に死んでいるかどうかを気になっている。


「【首を落とすか】」


 もう私は嘉神を守ることは出来ない。だけど、もう彼を傷つけさせない。


 ただ一つできるのはあいつの言っていた通り逃げることだ。


 ただし一人ではない。嘉神を掴んで鬼人化で全力で走る。


「その程度かよ。がっかりだね」


 何と言われようがもう興味はない。


 いまはこいつだけは助ける。


「追え」

「【承知した】」


 ただでさえあの化け物は私より早いのに今は嘉神を背をっている。


 追いつかれるのは自明の理であった。


 そして組み伏せられる。その際嘉神を落としてしまった。


「つまらんなー。これじゃ本当にあの男の方が強いみたいじゃないか」

「【ですから最初からそうだと】」


 何故なのだ。


 何故私は弱いままなのだ。


「もう飽きた。殺していいよ」

「【承諾した。ですが我が主、殺害方法に拘りがあるのならばそれに従うが】」

「んー。そうだな。出来るだけ悲鳴を上げれるような殺し方にしてくれ」

「【承諾した】」


 化け物は私の頭を掴み上げる。


 そして


「ぎゃあああああああああ」


 圧倒的な力で私の頭蓋骨を締め付ける。


 比類なきその力は私に走馬灯を見せつけるには十分すぎる力だった。






『かーしゃま。わたしかーしゃまみたいにつよくなりたい』


『どうしてだい?』


『かーしゃまみたいになりたいから!』


『そうかい。嬉しいこと言ってくれるじゃないか。でも強いのは父さんの方だよ』


『えー。おとーしゃまいえでごろごろしてばっかでかっこわるいからやだ』


『ぷっ。もう娘から嫌われてやんの』


『だからおおきくなったらかーしゃまみたいになる!』


『うぅん。あんまりお勧めできないけどねぇ』


『なんでえ?』


『早苗、お前友達と遊ぶとき何してる?』


『ひーろーごっこ』


『そうだね。じゃ早苗、早苗が昨日テレビで見た話を母さんに教えてくれるかい』


『うん。かっこいいおにいさんが、わるいおじさんにさらわれたおねえさんをたすけにくるの。そのときわるいおじさんがたくさんじゃましてくるけど、おにいさんはそれでもおねえさんをたすけるの』


『そうだね。いいかい早苗。ここで重要なのは守るお兄さんじゃなくて守られるお姉さんの方だよ』


『?』


『たとえばだね。あの時別のお姉さんとデートの約束をしていただろ?』


『うん』


『でもお兄さんはその約束を破ってお姉さんを助けに行ったんだ。たしかあのお兄さんは約束を破らないことで有名だったんだろう?』


『うん。でもはじめてやぶった』


『そう。つまりあのお姉さんにはヒーローに約束を破らせる力があったというわけだ』


『でも』


『それはとっても重要なことなんだよ。そのお姉さんに魅力が無ければお兄さんはきっと助けには来なかった』


『うぅー』


『早苗、私はね。お前にヒーローになってほしいわけじゃなくヒロインになってほしいんだよ』


『でもそれじゃつまんない』


『だろうね。そうだね、だったら最後どうなった?』


『えっと……べるとがぴかーってひかって、おにいさんとおねえさんがひかりにつつまれて、さいごとってもつよそうになった』


『そうかい。じゃ早苗はそうなるといいよ。守られながら守りなさい』


『???』






 聞いた時は意味が分からなくて忘れていた。


 でも今ならわかる。


 私はさっきまで嘉神に守られていた。


 だから今度は、


「私が守る」


 母様、力を貸してください。


鬼神化オーガニゼーション


 化け物の腕を掴み、そして、潰す。


「【ぐぬう】」


 既に右腕は私を掴む力がなく、拘束から解放される。


 私の腕は、鮮血のようにあかく、炎のように真っ赤な色をしていた。


 私からでは確認できないが大分鬼人化オーガナイズとは異なっているだろう。


「なんだそれは!」


 鬼神化オーガニゼーションは母様のギフトだ。


 何より強く気高い私の憧れともいえる力だ。


「【今さら何をやろうが無駄な足掻きだ】」


 潰された腕はすでに回復しているらしい。


「消えろ」


 強化された鬼爪の一撃。


「【……!】」


 一撃で左腕を切り落とす。


「とどめだ」


 もう一度爪による攻撃で頭部を狙う。




「【………その技はもう見たぞ】」




 !??!?


 私の最強が音を立てて崩れていった。


 片手、いや、指二本だけで鬼神化オーガニゼーションした一撃を止められた。


「【その強さ、覚えたぞ】」


 絶望、するしかないというのか。


 私にはいくら頑張っても勝てない敵だったというのか。


「いや、諦めるのはまだ早いんじゃないかな」


 唐突に、化け物の後ろから声がする。


「【ぐっ】」


 化け物は後ろから羽交い絞めにされている。


「嘉神か?嘉神なのか?」

「ああ俺だ。だが今はまずはこいつを」


 今、化け物の急所はがら空きだ。


「【この程度すぐに解いてやる】」

「あー。無理だって。だってお前人間の体してるだろ。つまり、ある程度の動きは人間と同じなわけだ。つまり人間の急所はだいたいはお前の急所なんだよ。そして覚えておけ。それがお前の最後に学習する内容だというのをな」


 全身全霊で最高の一撃を叩き込む。


「【ぐぉお】」

「駄目だ早苗。一撃じゃ倒せない。恐らくこいつはある程度の塊さえあれば再生できる」

「つまりは、全身を切り刻めということか」

「あ……うん。そうだな」


 カウンターは警戒しない。何しろ嘉神が押さえ込んでいる。


 私はそれを信じて一撃を打ち続けるだけだ。


「【雷電の球ライジングボール】」


 時雨のギフトを使う素ぶりをみせたが私は気にしない。


 きっと嘉神が何とかしてくれる。だからこそ


「【くらえ】」

「あー。悪いがそれは無駄だ。その力吸収させてもらう」


 電気の球は消えていく。


 何やらすこし、聞き捨てならん言葉が聞こえたが私は正拳を打ち続けた。



 1分後、ようやくあの化け物の動きが止まった。


 だが私は慢心せずに攻撃を続ける。


 途中から嘉神は欧米人が放ってくる弱い化け物の相手をしていた。


 そして、5分後


「どうやら残りは頭だけになったようだな」

「うむ。しかしこの頭がなかなか堅物なのだ」

「どうしようか」

「そこで嘉神、私に提案があるのだが」

「ん?何?」

「今からこの頭を上空に投げる」

「うん。それで」

「私と嘉神が同時に潰す」

「素晴らしい。それでいこう」


 合図はなく、私は5メートル頭を上空に投げる。


 落ちてくるときお互いに目線があった。


 どのタイミングで攻撃するか指定したわけじゃない。


 体格差が若干違う私たちだったが、嘉神が回し蹴り、私が正拳突きをもっとも大きい威力で放つ。


「「うぉおおおお」」


 私たちを苦しめた化け物は真っ赤な鮮血をまき散らし、消滅した。



 サブタイトルを鬼神化にしようか迷いましたがそれだとネタバレが激しいのでやめました。

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