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精霊と冒険者の俺  作者: ぬぅりる
異世界冒険者編
3/5

第二話ー動き出す物語と俺ー

題名変えたいと思います。

これからの展開考えると、題名が間違えてる気がしまして…

あれからさらに二ヶ月たった。

槍の扱いにも慣れて、今では自由に扱えるようになった。

突然だが、異世界といえば何を思い浮かべるだろうか。

魔物、騎士、ギルド、冒険者などなど思い浮ぶ事は数え切れないほどあるだろう。

だけど一番最初に思い浮かべる事は、魔法ではないだろうか。

というわけで、魔法覚えました。



今から一月と少し前、例の槍を使った修行を終えて木の上でのんびりしていたある日のことだった。

遠くにゴブリンが集まっているのが見える。最近はゴブリンの活動が活発だし、下手に出歩けないな、とか思っていた時にゴブリンが手から火を出した。

もう一度言うぞ?ゴブリンが手から火を出したんだ。

俺は一目で魔法だと気付いたけど、ゴブリンが魔法を使えることに驚愕した。

いや、だって知能が低いだろうゴブリンが魔法使ってんだぜ?

といっても、焚き火の火種程度だが。

だけど俺はゴブリンでも魔法が使える事に歓喜した。だって肉体的な修行しかしてないから魔法とか使って見たかったんだよ!


といえわけで、まず俺は精神干渉阻害魔法を覚えようと思う。

理由としては、実は自分の名前が分からないっていうのが大きい。異世界に来る前の記憶はある。実際その記憶を頼りに生活して来たものだからな。だけど、名前だけが思い出せない。友達の名前は思い出せる。家族の名前も思い出せる。自分の名前だけ、誰かに抜き取られたように。

そして最近誰かに監視されている気がする、というか視線を感じるといったほうが良いのか。しかも心の中を視られてるような感覚さえもする。

まあそんな事もあり、ファンタジーで定番の精神干渉魔法に対する対抗策として覚えたいと思う。

魔法はイメージだっ!とは良く言ったもので、心に鍵を掛けるイメージをしたら視られてる感覚が消えた。

よっしゃ!とガッツポーズをしたのも束の間、直ぐに視られてる感覚が戻って来てしまった。

集中力が切れたからか、魔力がなくなったからか。

後者に関しては無いだろうと結論付けた。理由は、魔力は精神に比例して大きくなるみたいな事をファンタジー物で言っていて、心に鍵を掛けた瞬間に何か抜けるような感覚はあったが、無くなる感覚は無かったからだ。

そうなるとやはり前者だけど、これは練習するしかない。

毒の果実で死にかけまくってるから魔力量は十分あるはずだし、寝てる間も鍵を掛けていられるように練習だ!


精神干渉阻害魔法に目処が立ったので、次に身体能力強化魔法を習得したいと思う。

これについても身体能力強化は簡単に出来た。しかし、体に魔力を纏うようにして身体能力をあげるのだが、まだまだ纏う魔力にムラがあるのでこれも要練習だな。



というわけで何だかんだで今に至る。あのあり得ない槍も使いこなせるし、精神干渉阻害魔法も使いこなせるし、身体能力強化魔法も使いこなせるし、今の俺には死角は無い!

ただ、残念なのは魔法の取得限界があったのか解らないが、精神干渉阻害魔法と身体能力強化魔法以外の魔法が使えなかったのが地味に辛い。魔法でドンパチやりたかった……。


話は変わるが、ゴブリンが大量発生している。増えたゴブリンが森を汚染しているようで、あの湖にも近いうちに被害が及ぶだろう。

異世界に来てから三ヶ月。俺はかなり強くなった。いっぱい修行した。血反吐吐くほどに、血豆が潰れて掌がグシャグシャになる程に。この自信は自惚れでは無いはずだ。

この森を荒らされるのは許せることじゃないし、ゴブリン掃討作戦を開始するか。





ある王国の某所にて


王の間と呼ばれる王が鎮座する厳かな雰囲気の部屋。

そこで側近から王へ報告がされた。


「陛下、精霊の森でゴブリンが大量発生しました。早急に殲滅する必要があるかと……」


「うむ、腕の確かな者を選べ。しかし、ゴブリンの大量発生か……。まさか……あれの時期か」


この大陸には迷宮と呼ばれるものがある。

地下奥深くまで続く迷宮に湧き出てくるモンスターを倒すと落とす、魔鉱石と呼ばれる石がある。それは魔力を内包し、動力となる他にも魔鉱石を使った魔導具や武具は特殊な能力を持つという。

この大陸は平和が保たれており、中心にある迷宮国、その東西南北に一つずつ存在する大国、合計五つの大国が和平条約を結んでいる。この和平条約は、もう千年も続いている。

そして王都には迷宮があり、全ての国の者たちが一攫千金を目指して王都に集中する。

他の国は、王都に戦力が集まるのを嫌がるかというとそうではない。

大国が五つもあり、和平条約が続いている理由、それは迷宮が『反転』を起こすからだ。


モンスターとは瘴気と呼ばれるものから生まれる存在で、迷宮は瘴気が固まって出来たものと言われている。

迷宮は瘴気を大陸から吸い続けて、モンスターを産み出し続ける。瘴気がどこからくるのかは解っていない。

たまに迷宮の外でもモンスターは産まれるが、比較的危険の少ない種族しか産まれない、そこらの農民でも倒せる程だ。

迷宮が吸い出した瘴気は溜まっていく。それを発散させるのが冒険者だ。

冒険者は、迷宮で産み出されたモンスターを倒して迷宮の瘴気を魔鉱石という形で発散させる。魔鉱石になれば瘴気ではなく魔力に変化するので魔鉱石を使うと瘴気が放出されるということは無い。

とにかく冒険者は、迷宮に瘴気が溜まらないようにモンスターを倒す職業なのだ。

しかし、浅い階層では発散される瘴気は少ない。深ければ深いほど瘴気は濃くなり、大きな魔鉱石を落とすのだ。その分モンスターは強くなっていくが、大きな魔鉱石ほど価値が高いので、冒険者で一攫千金を狙う者が多いのはこの理由だ。

モンスターを倒すだけで金が貰える。必要なのは力。その単純さが多くの人々を魅力するのだ。

だが、それだけの人々が迷宮で瘴気を発散させても追いつかないほど瘴気を吸い出すスピードは速い。

そして迷宮に入り切らなくなった瘴気が、一気に溢れ出す。

そして『反転』が始まる。

反転とは、本来迷宮で産み出される筈のモンスターが地上に大量に産み出されるというもの。

迷宮では階層で強さが分けられていたモンスターが無差別に外に放出されるのだ。

初心者の冒険者の前に百階層級のドラゴンが産み出されるかもしれない。

人が集まる広場に巨人が産み出されるかもしれない。

だが反転の最中は、迷宮にモンスターは産み出されない。

これが『反転』と呼ばれる所以である。

大陸自体が迷宮と化す。外と内の逆転。

迷宮化とも呼ばれる『反転』は迷宮が発見された千年前から始まり、争っていた五つの国が和平条約を結ぶ程の犠牲を払った。そして迷宮のある王都を中心に国と国の位置を利用した防御陣を引き、東西南北の国に反転が起きてもモンスターが行かないようにして、そのかわりに王都に戦力が集中するという構図が出来上がった。

それから数回反転が起こったが、冒険者の働きにより難を逃れている。

それでも犠牲は少なくない。だからこそ五つの国は結束を固めるのだ。

そして、前回の反転から約二百年。

そろそろ反転が起こってもおかしくない。


「誰か居るか?」


「はっ、ここに」


王は側近を呼ぶ、そして命令を下す。


「迷宮の『反転』が20年の間に起こる。冒険者の強化に努めさせろ」


「御意に」


側近は王の命令にすぐさまギルドへ向かった。


ゴブリンの大量発生。

主人公と冒険者。

そして『反転』

物語の歯車が今、カチリと音を立てて動き出した。

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