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第7話 真相と覚悟(その10)
その頃、竹児は用意された部屋でラーメンをすすっていた。
「瑞行さんは食わねえの?」
瑞行は、目の前に用意された小皿に盛ったラーメンに手をつけようともせず、大きな単眼をしばたたかせている。
まるで、睡魔に耐えるこどものように。
「ええ。なにか、一気に疲れが出たようです。正常な意識で二百年ぶりに外へ出たからでしょうか」
竹児が笑う。
「あと、たくさんしゃべったからとか」
「それもあるかもしれませんね」
瑞行も笑ってみせる。
しかし、その笑いには明らかに力がない。
「先に休んでいいですか?」
「ああ、どうぞ、どうぞ。オレもこれ食ったら、歯、磨いて寝るわ」
この時の竹児はもちろん、瑞行自身も気付いていなかった。
自身の身体に、ある異変が起きていることに。




