第5話 仲間たち(その3)
少年は背後で自動扉が閉じようとするのに気付いて――
「やべ」
――慌てて片方の足を引っかけて閉じないようにすると、そのままの態勢で改めて冬祐と翠に目を向ける。
冬祐と少年の目が合った。
冬祐は思わずその目を逸らす。
きっちり手入れされたショートヘアと精悍な顔立ちに鋭い目、そして、着崩した制服――いかにもクラスのカーストトップが似合う少年の容姿は、冬祐にとって別世界の生き物なのである。
その時、扉越しに覗く闇の中から、幼い男の子の声が問い掛けた。
「竹児様、どうしました? 大丈夫ですか」
竹児と呼ばれた少年が闇の奥へ答える。
「おう。早く来いよ。びっくりするぜ」
その声に誘われて入ってきたのは、翠よりさらに幼く見える男の子と“妖精”だった。
「あらあら、こんな所でまさかのご対面ですわ」
ふわふわと浮いている“妖精”が、冬祐と翠に声を上げる。
そして、興味深げに冬祐のまわりとくるくると周回して、竹児に告げる。
「“漂着者”ですわ、竹児と同じ」
竹児が目線を冬祐から翠に移す。
「じゃあ、この子も」
「ええ。ケイタと同じ“人間になりたいアンドロイド”――ですわね?」
「そ、そうです」
おずおずと答える翠に“へえ”という表情を見せた竹児が、改めて冬祐を見る。
その視線に冬祐はまたしても気圧される。
やはり、苦手なのである、このタイプは。
むしろ、竹児のとなりでおどおどしている、育ちのよさそうなブレザーとネクタイの男の子の方が友達になれそうな気がする。
そんなことを考える冬祐に、竹児が右の手のひらを向けて“メンバー紹介”を始める。
「鶴瀬竹児だ。こっちはケイタ。で、ナビ子」
その手のひらには“漂着者の印”ともいうべき紋様があった。
冬祐も手のひらの紋様を見せて応える。
「垂水冬祐。翠」
ナビ子が冬祐に問い掛ける。
「そちらのナビが見えないようですが……。どちらにおりますの?」
ナビ子は着衣こそふわっとしたワンピースだったが、その顔立ちとセミロングのストレートヘアはヒメとまったく同じだった。
ただ、口調から窺える性格はまったく違うようだが。
「それが……、はぐれたというか連れ去られたというか。それを追いかけて来たんですけど……」
そこへ竹児が割り込む。
「ところで、冬祐さんはおいくつで?」
「じゅ、十六、です」
竹児が笑う。
「なんだ、同い年じゃねえか。オレは竹児でいい。冬祐でいい?」
「いいです。いや、いいよ」
ナビ子が続ける。
「はぐれたとか連れ去られたとか……。よろしければ、ここまでの経緯をお聞かせ願えるかしら」
「あ、はい」
かしこまる冬祐に、竹児が突っ込む。
「敬語、いらねえし」




