1/1
プロローグ
自分は「自分」が嫌いだ。
大した努力もせず。
大した優しさも、心遣いも持っていない。
大した夢も希望も持ち合わせていない。
自分がしたいがままに生活をして。
惰眠を貪って、起きて、決められた服を着て、ただ生きている。
「自分」なんてなくて、他人の顔色を伺いながら、嫌われないために用意したテンプレートを何度も使って会話をする。
「いいね」「分かる」「すごい」どれもこれも、「自分」には使ってやらない言葉達。
自分にはまだ、その資格はない。
いつ、その資格が貰えるのかは分からないけれど。
まずは君にあげるべきだと思う。
自分が、「自分」よりも大切に想う君に。この言葉達をあげたい。
頑張って前を向いて、必死に生きる君に。
誰に対しても優しく振舞い、他人の小さな変化も見逃さない君に。
進むべき道を日々探して、毎日を楽しく生きようとしている君に。
今日も自分は「自分」を閉ざして生きる。
絶対に、他人に、君には知られたくないから。




