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第3話

朝の光が山々を染めるころ、カインは村の広場にある小屋の前で腰を下ろした。

昨日、村長からもらった種を手に、今日から本格的に農業に取り組むつもりだった。


「さて、今日は畑の準備からか……」

カインは深く息をつき、畑の土を見渡した。広さは決して大きくないが、この土地で生き延びるには十分だ。

リィナは隣で小さなカゴに種を入れ、手際よく準備を進めている。


「昨日はありがとう、村長。家と種をくれて」

「おお、家はまだ簡易だけどな。畑も、この土地なら少し手を加えればしっかり育つだろう」

村長は杖をつきながら、畑の周りをぐるりと見回す。


カインはまず、畝を作り、種をまく準備を始めた。

リィナは手際よく種をまき、土をかぶせる。

村人たちも興味深そうに作業を見守りながら、時折手伝ってくれる。


「カイン、こうやって土を軽くほぐして、種をまいて……次に水をやるのよ」

リィナは丁寧に手順を教えてくれる。

カインは真剣な表情で聞き、素早く動作を覚えた。


午前中の作業が一区切りつき、少し休憩していると、遠くの森の方から低いうなり声が響いた。

「あれ……?」

リィナの耳がぴくりと動き、体が緊張する。


木々がざわめき、影が動く。

やがて、黒い影が森の中から飛び出してきた。

その姿を見たカインは、思わず息をのんだ。


「狼魔獣だ!」

大人の男性村人が叫び、子どもたちを抱きかかえながら避難し始める。


狼魔獣は巨大で、全身が黒く光る毛で覆われ、鋭い牙と爪を備えている。

鋭い金色の瞳で、畑にいる者たちを見据えている。


「リィナ、あれを放っておくわけにはいかないな」

カインは即座に剣を抜き、戦闘態勢を取った。

リィナも短剣を握り、カインの横に並ぶ。


狼魔獣はうなり声を上げ、飛びかかってきた。

カインは一歩下がりながら剣を構え、勢いよく跳ね上がる魔獣の前脚を受け止める。


「ここは俺に任せろ!」

牙剣が光を反射し、魔獣の動きを止める。

カインは魔獣の体勢を崩しつつ、弱点を見極めて斬撃を加える。

「ふんっ!」

一閃で魔獣の肩に深い切り傷が入り、悲鳴を上げた。


リィナも短剣で側面から斬り込み、魔獣の注意を分散させる。

村人たちは畑の農具を手に取り、茂みや木の間から攻撃を加える。

小規模ながらも、村人たちの協力で魔獣は追い詰められていく。


「もう少し……!」

カインは魔獣の動きを読み、決定打を放った。

曲線的な刃が魔獣の胸を裂き、ついに倒すことに成功した。


畑は一瞬の静寂に包まれる。

村人たちは息を整え、安堵の表情を浮かべた。

「さすがカイン……!」

リオルも杖をつきながら駆け寄り、目を細める。


「危なかったな……」

カインは息をつき、倒れた魔獣を見下ろす。

「でも、これで食料になるな」

リィナは少し笑みを浮かべ、魔獣の肉の処理を村人たちと始める。


夕暮れになるころ、村の広場には火が焚かれ、香ばしい肉の香りが漂う。

村人たちは久々の肉料理に笑顔を見せ、カインもリィナと共に肉をかじった。


「ありがとうな!カイン。カインが狼魔獣を討伐してくれたおかげで久しぶりに肉が食えるぜ。」

「どういたしまして。不躾な質問だが、あなたの名は、はなんというですか?」

「あぁ。すまない俺の名前はカイロス。リィナの父親だ。」

「あなた、何、カインさんにダルがらみしてるの?」

長い銀髪を頭の後ろで緩く結んだ優しい目をした女性が言った。

その女性はカイロスの首に向かって手をまわし首を絞めた。


「や、やめてくれぇ!セリーナ!」

「すみません。うちの夫が…私の名前は、セリーナ。リィナの母親です。」


「……やっぱり、この村に来てよかった」

カインは微笑み、リィナと目を合わせた。

「ここで暮らすために、少しずつでも力になりたい」


リオルもにっこり笑い、手を叩く。

「今日は大変だったが、村全体で力を合わせた日になったな」

「そうですね、これからも協力していきましょう」

リィナは真剣な顔で頷いた。

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