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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第四章 ヴァルディア

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99/207

99. えっち

 王宮内での宴に参加した翌日、ルナとエマは引き続き王宮に滞在し、体を休めていた。


 セドリックが、二人にそれぞれ広々とした部屋を用意してくれていたのだ。


 エマは朝から、王宮の人々が用意してくれた豪華な朝食を楽しみ、部屋でゆっくりとくつろいでいた。


 その後、セドリックに案内された王宮内の大浴場へ向かうことにした。大浴場には、疲労回復の魔法が施されており、エマはその効果を試すのを楽しみにしていた。


 魔法の湯気が満ちた広間は天井まで高く、壁には美しい魔法のルーンが刻まれている。湯には疲労回復の魔法が込められており、浸かるだけで体が軽くなるような心地よさを感じた。


 エマは湯船の端に手をかけ、闘技大会での出来事を思い返していた。なぜ自分があの場で国王を救えたのか。相手の魔力量は圧倒的だったはず。それでも、ソルヴィールが応えてくれたのはなぜなのだろう。


 ふと視線を奥へ向けると、湯気の中に誰かの姿が見えた。


「おお、エマか」


 不意打ちの声に、エマは体をびくりと震わせた。


「……なんで女風呂にいるのよ!」

「女だからな」


 ルナは淡々と答えた。


 エマは顔を真っ赤にし、慌てて湯から上がろうとしたが、タオルを巻きながら肩越しに睨みつけた。


「ルイの馬鹿!」


 ルナは湯船に身を沈めたまま、手のひらで湯をすくいながら言った。


「昔はよく一緒に入っただろ。それに、せっかくだ。疲れが取れるまで浸かっていけ」


 エマはため息をつき、渋々湯船に戻った。


「もう……」


 怒りの余韻を残しながらも、湯の中で身を落ち着ける。ふと視線をルナに向けると、彼女の首からソルヴィールが三つ揺れていた。


「……無事に手に入ってよかったね、フレア・ソルヴィール」


 ルナは静かに頷き、湯の表面を指でなぞった。


「今回もエマのおかげだ、ありがとう。……強くなったな、エマ」


 その言葉にエマは胸がじんと熱くなり、小さく頷いた。


「どうしてうまくいったのかわからないけど……そういえば、リアナも来てたね」

「あいつは魔法連盟に就職するんだろう」

「仲良かったよね?」

「同じカレッジなだけだ。それに、古代魔法具を探して近づいてきただけだろう」

「そうかな? それだけじゃないと思うけど」


 ルナは眉をひそめたが、エマは微笑みで返すだけだった。


「それより、闇の魔法使いに顔を見られたな。エマの才能にも気づかれただろう。今後も慎重にいくぞ」

「うん……気をつける」


 湯気の中で静かな時間が流れた。


 突然、ルナが声を低くして言った。


「エマ、そっちに行ってもいいか?」

「……えっち」


 ルナは即座に反応する。


「違う。魔法の効果を上げてやる」

「……わかった」


 ルナがエマの背中にそっと手を置き、魔力を込めると、エマは全身から疲れが溶けていくような感覚を味わった。


「ルイは本当に何でもできるんだね」


 感謝の笑みを浮かべてルナを見つめると、彼女の頬がほんのり赤く染まっていた。


「大丈夫?」

「のぼせただけだ」


 ルナは顔をそむけ、湯の中で静かに目を閉じた。

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