98. 宴
その晩、王宮の大広間には華やかな食事が並び、エマとルナ、そしてセドリックをはじめとする王宮の重臣たちが一堂に会していた。
王国の人々にとっては、まさに祝宴のような雰囲気だったが、エマはどこか落ち着かない様子を隠しきれないでいた。
「エマ、無理はするなよ。体調が完全に戻るまで休んでいる方がいい」
ルナは心配そうにエマに声をかけたが、エマは少し微笑みながら首を振った。
「大丈夫だよ。ありがとう」
そして、宴が始まって少し経った頃、静けさが会場に広がった。大広間の扉が静かに開き、現れたのは国王であった。
国王は、真紅の豪華なローブを身にまとい、堂々とした姿でゆっくりと歩み寄ってきた。彼の顔には、疲れた様子は見えるが、その瞳には確かな力強さと優しさが宿っている。
集まっていた人々は一斉に立ち上がり、敬意を示して頭を下げた。
「皆さん、どうかお座りください」
国王は穏やかに手を広げ、周囲に告げた。その声は会場全体に響き渡り、温かく迎え入れる雰囲気を作り上げた。
そのまま、国王はエマとルナの元へと歩み寄り、彼らの前で立ち止まった。
「エマくん、ルナくん、まずは君たちに心からの感謝を伝えたい」
国王は、真摯な目で二人を見つめ、続けて言った。
「君たちの勇気と力があったからこそ、私はここに立っている。ヴァルディアを救ってくれたこと、私とこの国の民を代表して、深く感謝する」
エマは少し驚いたように国王を見つめ、顔を赤らめながらも静かに応えた。
「そ、そんな…私たちがしたことは、本当に小さなことです」
ルナは、エマの隣で静かに頷きながら、冷静に言った。
「国王陛下、お気を遣わせてしまったかもしれませんが、当然のことをしたまでです」
国王は静かに二人に微笑み、再度頭を下げた。
「君たちの言葉に、私は胸を打たれる。勇気と献身、そして愛情をもって、この国を救ってくれたことを誇りに思う」
その後、国王は宴を再開させ、心温まる言葉と共に、エマとルナに祝宴の席を提供した。周囲の人たちも、彼らに感謝の言葉を送りながら、宴の雰囲気はさらに盛り上がっていった。




