94. 巨大な隕石
コロシアムの上空を覆うほどの巨大な闇の魔法が放たれ、黒い波動が押し寄せるように迫ってくる。その魔力の圧倒的な重圧に、空気さえも震えていた。
決勝戦で敗退したリチャード、カルロス、リアナ、ダリウス、アラン、シルヴァの六人は、互いに視線を交わすと、闘技場へ駆け戻り、同時に上空へ向けて防御魔法を展開する。
「全力で止めろ!」
リチャードの叫びに応え、六人の魔力が結界となり、闇の波動を押し返そうとする。しかし、闇の魔法使いの圧倒的な力の前に、防御魔法は次々と粉砕された。
その瞬間、蒼い光が弾ける。
巨大な魔法陣を足元に展開し、ルナが発動したのは闇の魔法と同じ規模の防御魔法だった。光と闇がぶつかり、空間が悲鳴をあげる。
激しい衝撃音とともに魔法は相殺され、消え去る。
「すごいねぇ、やるじゃないか」
闇の魔法使いの口元が歪む。
「まさか、君がそうなのかな? フロスト・ソルヴィールを手に入れた、あの厄介な結界の突破者は」
ルナは冷たい視線を返すのみ。
「フロスト・ソルヴィール!? 一体何の話だ?」
セドリックが顔を上げる。
闇の魔法使いは指を鳴らし、邪悪な笑みを浮かべながら言う。
「君たちの中の誰かが持っているはずだ。フロスト・ソルヴィールを……そう、君だよ」
視線がルナに固定される。
次の瞬間、闇の魔法使いはポケットから古代魔法具フレア・ソルヴィールを取り出した。首にかけると、不吉な紅い光が瞬き、その輝きはコロシアム全体を包み込むほど強烈だった。
「さぁ、止められるかな?」
高らかな声とともに、空が燃え盛る。巨大な隕石のような塊が、炎の渦をまとい、地上へと落ちてくる。
「フロスト・ソルヴィールを差し出せば助けてあげるよ?」
闇の魔法使いの声が響き渡る。観客たちは恐怖に震え、言葉を失った。




