82. 企み
夕方、エマは宿に戻り、ルナ(ルイ)に今日の出来事を話した。ルナも、魔法連盟と現国王とのやり取りをたまたま近くで見ていたらしい。
「フレア・ソルヴィールを優勝賞品にするのは、やはりおかしい。そもそも、あんな代物が簡単に手に入るわけがないからな。今回の優勝賞品が偽物の可能性もある」
「偽物……?」
「ああ。上手く隠しているのかもしれないが、レクス・ソルヴィールも反応していない。ただ、仮に偽物だったとしても、古代魔法具を狙っている連中は、全員今回の大会に出場することになるだろう。俺たちにとっても、敵を知るいい機会だ」
「もしかして……闇の魔法使いたちも参加するんじゃ……?」と、エマが言うと、ルナは考え込みながら答えた。
「その可能性はかなり高い。いや、むしろ国王もそれが目的なんじゃないかと思う。闇の魔法使いたちを一網打尽にするため、わざと危険なものを優勝賞品にして、彼らを引き寄せるつもりかもしれない」
エマは少し黙り込み、深刻な表情で呟いた。
「ってことは、ルイの両親を殺害した犯人が……その中にいるかもしれないってことだよね」
心配そうな表情を浮かべるエマに、ルナは軽く微笑みながら言った。
「心配するな、エマ。俺は誰にも負けない」
ルナがそう言うと、エマはルナにぎゅっと抱きついた。
「そのセリフ、ルナじゃなくて、ルイに言ってほしかったな」
ルナは少し驚いたような表情を浮かべたが、すぐにその顔が優しくほころび、笑いながら答えた。
「ルイには俺が代わりに言っておいてやるよ」
エマは小さく吹き出してから、ルナの胸元に顔を埋めた。
「意味不明!」
二人はそのまま穏やかに笑い合った。




