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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第四章 ヴァルディア

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76. 絶世の美女

 翌朝、宿の部屋に朝陽が差し込む中、エマは支度を整えながらも落ち着かない様子だった。


 ヴァルディア・コロシアムで開催される闘技大会の出場登録のため、ルイとともに準備を進めていたが、どうしても不安が拭えなかった。


「ルイ、本当に大丈夫なの?」


 エマは心配そうに振り返り、テーブルに腰掛けているルイを見つめた。


「闘技大会って、たくさんの魔法使いが集まるし……ルイが出場したら、すごく目立つんじゃない? それに、魔法連盟の人たちだっているかもしれないし……」


 彼女の言葉を受け、ルイはふっと笑った。


「心配ない」


 そう言うと、彼は手元にあった杖を静かに持ち上げた。


「本当に?」


 エマの疑念は消えない。ルイは立ち上がると、杖を軽く振りかざし、口元で低く呪文を唱えた。


「メタモルフォーゼ・フィーメ」


 その瞬間、薄紫色の光が彼の体を包み込む。エマの目の前で、ルイの背丈が少し縮み、肩幅が柔らかな曲線に変わっていく。長いまつげに縁どられた瞳が輝き、艶やかな髪が流れるように背中に広がった。


「……!」


 呆然と立ち尽くすエマの目の前には、完璧に変身を遂げた絶世の美女がいた。彼女は信じられないほど整った顔立ちと気品を持ち合わせていた。


「どう?」


 変わった声も澄んだ響きで、微笑みさえも優雅だ。


「う……嘘でしょ……こんなの反則だよ……!」

「これで魔力を抑えていれば、誰にも気づかれないだろう。名前も偽名を使えばいいだけだ」


 女性の姿になったルイが得意げに微笑む。


「いや、名前の問題じゃない! あなた、美人すぎて余計に目立つって!」


 エマはため息をつきつつも、その場にへたり込むように座り込んだ。


「大丈夫だ」


 ルイはエマの反応を楽しむかのように、窓の外を見やった。


 こうして彼女たちは、想定外の変装を施しながら、闘技大会に挑む準備を進めるのだった。

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