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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第四章 ヴァルディア

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75. 闘技大会

 ルイとエマは必要な荷物をまとめ、ヴァルディアへ向けて旅立つことを決めた。闘技大会まで2か月あるとはいえ、道中での安全確保や、大会の下見が必要だとルイが判断したためだ。


「ヴァルディアは闘技大会の開催地ということもあって、多くの魔法使いが集まるだろう。その中には、フレア・ソルヴィールを狙う者もいるはずだ。慎重に動く必要がある」


 ルイの言葉にエマはうなずいたが、どこか心配そうな表情を浮かべていた。


「それに、闘技大会に出場するには登録が必要だ。参加資格を得るための審査もあるかもしれない。先に準備を整えておこう」


 数日間の旅支度を終え、ルイとエマはついにサンドリオを後にした。ヴァルディアまではそう離れておらず、街と街を繋ぐ列車に乗ることにした。


「列車で移動できる距離で良かったね」

「そうだな。ヴァルディアが近づいてきたら、ひとまずフードを深く被って顔を隠していこう。誰に狙われてもおかしくないからな」


 列車が終点のヴァルディアに到着すると、エマは目の前に広がる壮麗な街並みに息を呑んだ。


 白い石で造られた駅舎は、まるで宮殿のような威厳を持っており、駅前広場には噴水が輝き、たくさんの人々が行き交っている。


「さすがは闘技大会が開かれる街……すごいね」


 エマが感嘆の声を漏らすと、ルイも頷いた。


「ヴァルディアは、伝統と魔法の融合が随所に見られる国だ。ひとまずコロシアムを目指そう」


 ふたりは大通りを歩き出し、街の中心にそびえ立つ壮大な闘技場へと向かった。


 ヴァルディアの街を抜け、大通りを進むと、やがて視界の先に巨大な建造物が現れた。


「これが……ヴァルディア・コロシアム……」


 エマはその威容に足を止め、しばらく言葉を失った。


 目の前にそびえるコロシアムは、白い大理石でできた円形の建造物で、遥か昔に作られたものとは思えないほど壮麗だった。


 外壁には複雑な彫刻が施され、歴代の英雄や闘技大会の象徴が描かれている。そこに刻まれた魔法陣のような紋様が、微かに輝いて見えるのは魔法の力が込められている証だろう。


「まるで生きているみたい……」


 エマがつぶやくと、ルイが隣で頷いた。


「このコロシアムは、単なる建造物じゃない。国が直々に管理していて、結界が張られている。外見の美しさだけじゃなく、その中に秘められた魔法の力も膨大だ」


 近づくにつれて、観客や魔法使いらしき人々の姿が増えてきた。闘技大会の準備に携わる者たちだろうか、入口付近では魔法の光を使って装飾を整えたり、道具を運び込んだりしている。


「見て、あそこに大会のシンボルみたいなものがあるよ!」


 エマが指差した先には、大きな魔法の旗が掲げられていた。旗には、燃え上がる炎の形をした紋章が描かれており、その下に「フレア・ソルヴィール」と古代文字で書かれている。


「こんなに大きな場所で大会が開かれるなんて……緊張しない?」

「緊張する暇はないさ」


 ルイは冷静に答えたが、その声にはわずかな決意の色が混じっていた。


「大会の受付はもう始まっているようだな。宿を見つけて荷物を下ろしたら、明日にでも出場登録しよう」


 ふたりは、再び賑やかな街中へと戻り、宿を探し始めた。

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