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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第四章 ヴァルディア

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74. フレア・ソルヴィール

 ルイとエマは、貴族の街サンドリオで穏やかな日々を過ごしていた。


 ルイはインフィナイトの箱の中にこもり、次の目的地や古代魔法具の情報を調べるのに没頭。一方で、エマは久しぶりの平和な街を散策し、買い物や観光を楽しんでいた。


 ある晴れた午後、エマが市場で食材や小物を買っていると、人混みの中から誰かの大きな声が響いた。


「おい、聞いたか!? 二か月後にヴァルディアで魔法の闘技大会があるらしいぞ! 優勝賞品は……なんと古代魔法具の『フレア・ソルヴィール』だって!」


 その言葉にエマは驚き、話していた男性に駆け寄った。彼の持っていた新聞を譲ってもらい、急いで記事に目を通す。


 新聞には、大規模な闘技大会が開催されること、そしてその優勝賞品として火の古代魔法具「フレア・ソルヴィール」が掲げられていると書かれていた。


「古代魔法具が、こんな形で……」


 動揺を隠せないまま、エマは新聞を手に宿へ急いだ。


「ルイ! 大変!」


 エマが部屋に飛び込むと、インフィナイトの箱から出てきたばかりのルイが顔を上げた。


「どうした、エマ? そんなに慌てて」


 エマは新聞を差し出し、記事を指差した。


「これを見て!」


 ルイが新聞に目を通すと、その表情は一瞬驚きに変わり、次いで深い考え込むようなものに変わった。


「フレア・ソルヴィール……」


 短くつぶやき、新聞を置いたルイはため息をつく。


「これは予想外だ。次の目的地はフレア・ソルヴィールの在処を探るつもりだった。だが、こうして大会の賞品として表に出ているとなると……」


 「……罠かもしれないよね?」エマが不安げに尋ねる。


 「その可能性は高い」ルイは真剣な顔で頷く。


「他の古代魔法具を持つ者をおびき寄せる意図があるかもしれない。だが、フレア・ソルヴィールを放っておくわけにはいかない。誰かの手に渡れば厄介だ。俺が大会に参加する」


 エマはその言葉に驚きながらも、きっぱりと告げた。


「それなら、私も一緒に参加する! ルイだけを危険な目に遭わせられない!」


 しかしルイは首を振り、優しいながらも断固とした口調で答える。


「気持ちはありがたいが、エマ。闘技大会は魔法だけでなく策略や裏切りも絡む厳しい場だ。エマには、俺をサポートする立場でいてほしい」

「でも……」

「エマがいなければ、フロスト・ソルヴィールは手に入らなかった。エマの力は必要だ。だからこそ、観客席で待機して、いざという時に備えていてくれ」


 真剣な目で見つめられ、エマはしぶしぶうなずいた。


「……わかった。でも、絶対に無理しないでね」

「心配ない。必ず勝つ」


 ルイは自信を込めて微笑む。その言葉に、エマもわずかに笑顔を返した。

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