71. 仲間
エマは驚きの表情でリーナを見つめた。
「リーナもフロスト・ソルヴィールが狙いだったの……?」
リーナは険しい顔を崩さず、冷たい声で返した。
「ええ。だけど、私たちが何年かけても手に入れられなかったものを、あなたたちはたった半日で手に入れた。あなたたち一体何者なの?」
その言葉にエマが返答に詰まっていると、ルイが前に出た。
「俺たちはただの学生だ。リーナこそ何者なんだ?」
リーナは目を細め、険しい表情を浮かべた。
「ふざけないで! その魔力量、ただの学生じゃないわ! それに、もし本当にあなたたちがただの学生なのであれば、フロスト・ソルヴィールを私たちに譲りなさい!」
ルイは冷静に答えた。
「それはできない」
「ならば奪うまで……!」
リーナは怒りをあらわにし、杖を構えた。リーナの仲間たちも動きを見せる。しかし、エマは一歩前に出て必死に叫んだ。
「待って、リーナ! あなたが悪い人じゃないっていうのはすごくよく分かってるの! だから、理由を聞かせて! どうしてフロスト・ソルヴィールが必要なの?」
一瞬、リーナの目に迷いが見えたが、すぐに顔をそむけた。
「言えない……」
ルイはリーナを鋭く見つめ、静かに問いかけた。
「お前、魔法連盟の人間ではないのか?」
リーナはその言葉に鼻で笑った。
「そんなわけないでしょ」
次の瞬間、リーナが呪文を唱え、仲間たちも一斉に攻撃を仕掛けてきた。火の弾、氷の矢、石の槍――さまざまな魔法がルイとエマを襲う。しかし、ルイは片手を上げ、防御魔法を展開し、全ての攻撃を跳ね返した。
「リーナ、分かっているだろう? 俺には勝てないことを」
ルイの冷静な言葉に、リーナは悔しそうに唇を噛みしめた。だが、突然、リーナの目がエマに向けられた。
「ならば……!」
リーナはエマに杖を向け、素早く呪文を唱えた。
「オベディレンス!」
エマの動きをコントロールする魔法が発動され、リーナは鋭く命じた。
「エマ、そこからルイを攻撃して、フロスト・ソルヴィールをこちらへ渡しなさい!」
ルイは目を見開き、少し焦りの色を見せた。
「くそっ……エマ!」
しかし、エマはきょとんとした表情を浮かべ、まったく動じる気配がない。
「え? 何?」
その様子に、リーナは驚愕の声をあげた。
「どうして……!? もう一度……!」
リーナは再び呪文を唱えたが、結果は同じだった。エマには全く効いていない。リーナは目を見開き、焦りの色を濃くした。
「どうして……!」
エマはリーナをじっと見つめ、優しい声で言った。
「リーナ、お願い。一度話し合おう。私たち、一緒に旅をした仲間じゃない」
その言葉に、リーナの表情が微かに揺らいだ。彼女は唇を噛みしめながらも杖を下ろす気配はない。




