70. 襲撃
エマとルイは雪深い山道を麓の方へ向かって歩いていた。
冷たい風が容赦なく吹き付ける中、エマは手に入れたフロスト・ソルヴィールを胸元に大事にしまいながら、次の目的地のことを考えていた。
その時、ルイが足を止めた。
「どうしたの?」
エマが尋ねると、ルイは険しい表情で遠くを見つめていた。
「街の方から、5人こっちに向かってくる」
「……5人も?」
「フロスト・ソルヴィールを狙っている可能性が高い。街へ戻るのは危険だ」
ルイは静かに言い、エマの手を引いた。
「次の目的地へ移動する」
その場を離れ、別の方角へと進み始めた二人だったが、突然、空気を切り裂くような音が響き渡った。次の瞬間、遠くから巨大な火球が二人めがけて飛んでくる。
「ルイ!」
エマが叫ぶより早く、ルイが素早く手を上げ、魔法陣を展開した。火球は魔法陣に当たると同時に砕け散り、雪の中に消えた。
「間違いない、フロスト・ソルヴィールが狙いだ」
「ワープで逃げるのはどうかな?」
エマは急いで尋ねたが、ルイは首を振りながら静かに言った。
「いや、一度話をしてみる」
「え? どうして?」
エマは驚きながらもルイを見つめた。彼がこんな状況で交渉を試みることは珍しい。しかし、ルイの視線は前方の森に向けられていた。その先には、はっきりとした魔力を放ちながらこちらに近づいてくる5人の人影があった。
やがて、その中の一人の顔が見えた瞬間、エマは目を見開いた。
「リーナ……?」
エマの脳裏には、さまざまな疑問が渦巻いていた。 ルイは一歩前に進みながら低く呟いた。
「リーナが何者なのか、これでようやく分かりそうだな」
次の瞬間、5人組が姿を現し、その中心に立つリーナが冷たい目で二人を見つめた。
「ルイ、エマ、あなたたちもフロスト・ソルヴィールが狙いだったのね」




