67. フロスト・ソルヴィール
その後、ルイとエマは険しい山道を黙々と進み続けた。冷たい空気が肌に触れるたびに、彼らの息は白く凍りつきそうだったが、二人とも立ち止まることなく足を前に運んだ。
途中、再び無数の巨大な雪ウサギや白い鳥たちがエマとルイの前に立ちはだかった。それらの魔法生物は鋭い目で二人を睨み、低い唸り声を上げながらゆっくりと包囲を狭めていく。
「エマ、少し下がってろ」
ルイは静かに言い、エマを自分の背後に隠すと、深く息を吸い込んだ。
すると、ルイの体を中心に強力な風が巻き起こった。風は雪を巻き上げながら嵐のように渦を作り出し、周囲に広がっていく。雪ウサギたちはその風の力に押され、動きを封じられたように地面に釘付けになった。
「行くぞ」
ルイが言葉を発すると同時に、ソルヴィールから眩い光が放たれた。その光は雷のように瞬時に生物たちへと届き、まるで氷の中に閉じ込めるかのように彼らを凍らせていく。
一瞬の静寂の後、凍りついた魔法生物たちが次々と粉々に崩れ落ち、まるで最初からそこには何もいなかったかのように風に溶けて消えていった。
「何だったの、今の……」
エマは驚きながらも、ルイの頼もしさにほっと胸を撫で下ろした。
「行くぞ、まだ山頂までは距離がある」
こうして二人は再び山頂を目指して進み始めた。
ルイとエマは冷たい風が容赦なく吹きつける中、ついに山頂が視界に入った。
遠くからでも分かるほどに、その中心には淡い青白い光を放つ結界があり、中には台座の上に古めかしいネックレスが浮かび上がっているのが見えた。
「見て、ルイ! あれじゃない? フロスト・ソルヴィール!」
エマは風雪に負けじと声を張り上げ、指を指した。
ルイもその光景を見つめながら、静かに頷いた。
「間違いない。だが――」
二人が山頂の結界のすぐ手前までたどり着いたそのとき、ルイの表情が険しく変わった。結界をじっと見つめる彼は、微かに眉をひそめながら言葉を続けた。
「厄介な結界だな」
エマはその言葉に顔を曇らせた。
「どうしたの? 何か問題があるの?」
「この結界……おそらくだが、破壊しようとすれば、結界が自動的に反応し攻撃を仕掛けてくる。それも、攻撃者の魔力量や特性に応じて変化するはずだ」
「せっかくここまで来たのに……」
エマは思わず自分のソルヴィールを握りしめた。




