63. 入口の町
「さすがにゴンちゃん疲れちゃったみたい」とエマが心配そうに声をかける。
ゴンちゃんは雪の積もった地面に大きな体を横たえ、ゆっくりと息を吐いている。その吐息が白い霧となって寒空に漂った。
「雪国に生息するタイプのドラゴンじゃないからな。寒さがこたえるのかもしれない」ルイが頷きながら言った。
エマはゴンちゃんの顔の前にしゃがみ込み、優しくその鱗に触れた。
「ゴンちゃん、ここまで送ってくれて本当にありがとう! 一旦ここでお別れしようね」
ゴンちゃんは低く喉を鳴らし、エマの手に鼻先を軽く押し付けるように応えた。その仕草にエマは笑顔を浮かべる。
「ゴンちゃん、困ったらまた呼んでだって」とエマが突然言う。
ルイは一瞬目を丸くし、「何を言ってるのかわかるのか?」と半信半疑の表情で尋ねる。
エマは少し考え込みながら、にっこり笑った。
「うーん、そんな気がするだけ」
ルイは呆れたように肩をすくめつつも、小さく微笑んだ。
インフィナイトの箱から冬用のコートを取り出し、ルイとエマは町の中へと向かった。
町の中に入ると、そこは温かいランタンの灯りや雪で作られた屋台の雰囲気に包まれていた。
寒さを感じつつも、町の人々は活気に満ちているようだった。スープを売っている店や、毛皮のコートを並べた屋台が立ち並び、どこか温かい雰囲気が漂っていた。
「この町、あたたかさを感じるね」
「ここでは寒さと戦うためにみんなが助け合っているんだろう」
ルイはうなずきながら言った。
その後、二人は、ひときわ賑わっている食事処を見つけ、中に入ることにした。店内は薪ストーブの暖かさと、美味しそうな料理の香りで満たされている。空いている席に座り、温かいスープとパンを注文した。
食事を楽しみながら、これからの旅程について話し合っていると、隣の席に座っていた旅人らしき女性が声をかけてきた。
「お二人とも、グレイシャルムへ向かうのですか?」
エマが驚いて顔を上げると、女性はにこやかに微笑んでいた。
「ええ、そうです」
「私も同じ目的地なんです。グレイシャルムはとても美しい場所ですが、道中には危険も多いと聞きます。もしよろしければ、一緒に行きませんか?」
ルイは少し考えた後、女性に向かって頷いた。
「まあ、いいですよ」
女性は嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます。私はリーナと言います。よろしくお願いします」
「私はエマ、こちらはルイです。よろしく、リーナさん」
こうして、エマとルイは新たな仲間リーナと共に、グレイシャルムへの旅を続けることになった。




