62. 雪
翌朝、エマがベッドで目を覚ますと、外はまだ薄暗く、静かな朝の空気が部屋に流れ込んでいた。
横でルイはぐっすり眠っているが、その寝顔にはどこか哀しげな表情が浮かんでいて、エマは思わず目を細めた。首にかかっているソルヴィールが淡い光を放ち、眠っているルイの姿が一層神秘的に見える。
エマはふと、彼が背負っている重い責任や苦悩を感じ取り、その頭をそっと撫でた。
「ルイ……」
彼を見守るこの不安な気持ちが、どうしても胸に引っかかる。けれど、エマはその気持ちを抑えて、起き上がり支度を始めた。気づかれないように、静かに身支度を整えていく。
しばらくして、ルイも目を覚ました。いつものように優しく、そして頼もしい笑顔を見せてくれるけれど、エマはその顔にどこか複雑な感情が隠れているのを感じた。
ルイも身支度を済ませ、エマはクローキャットのクロをインフィナイトの箱へ入れ、出発の準備を整えた。
「寒い地域に行くから、クロちゃんはしばらくここでゆっくりしててね」
そして、ルイとエマは、エマがゴンちゃんと出会った場所へと向かった。
目的地に到着すると、エマはゴンちゃんを元の大きさに戻し、二人はその背中に乗ることにした。ルイはエマを後ろからしっかり抱きしめ、「絶対に落ちるなよ」と優しく言った。
そして、ゴンちゃんはそのまま北を目指して飛び始めた。
しばらくすると、空気が冷たくなり始め、ルイはエマに魔法をかけた。エマはすぐに温かさを感じ、「ありがとう、ルイ」と微笑む。
雪が降り始め、風景は徐々に白く染まっていく。
「かなり北まで来たな。この辺りの都市で一度降ろしてもらおう」
ゴンちゃんはルイの指示通り、大きな翼を広げて空を舞いながら、雪で覆われた街の上に降り立った。そこはグレイシャルムへ向かう入り口の町だった。




