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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第二章 マーレディア・アカデミー

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56. デート

 魔法連盟がルイを襲撃してから数週間が経過した。あの日のアーク・カレッジでの激しい戦闘は、学校中に広まり騒ぎとなったが、公式には「特別授業の一環で行われた対人戦訓練」という建前で処理されていた。


 ルイは相変わらずソルヴィールに関する研究資料を読み漁る日々を送っていた。彼の机は古い文献や魔法の理論書で埋め尽くされており、エマが声をかけても返事が遅れるほど集中していることも珍しくなかった。一方のエマも、ルイの提案どおり魔力を鍛えることに励み、毎日努力を続けている。


 そんな日々の中、今日はアルカナ魔法学校の一年に一度の華やかなイベント、「ボールパーティ」の日だった。このパーティは、男女ペアでの参加が推奨されるフォーマルな舞踏会で、カップルや友人同士で楽しむためのものだ。学生たちはこの日を楽しみにしており、キャンパス全体が華やいだ空気に包まれていた。


 エマも例外ではなく、自室で鏡を見ながらドレスの調整に余念がなかった。彼女が選んだドレスはシンプルながらも上品なもので、魔法界ならではの細やかな刺繍が施されている。その時、部屋の扉がノックされた。


 「どうぞー!」とエマが答えると、扉がゆっくりと開き、そこにはルイが立っていた。いつものように冷静な顔つきの彼だったが、エマを見た瞬間、目がわずかに見開かれる。


「……似合ってるな」


 短くそう言う彼の声には、ほんの少しの驚きが混じっていた。


 エマは照れたように頬を赤らめ、「ありがとう。でも、ルイもすごくカッコいいよ」と返す。ルイも今日はいつもと違い、フォーマルなタキシードを身にまとっていた。


「今日だけは気分転換だ。お互い、少しリラックスする必要があるだろう?」


 ルイは軽く肩をすくめて微笑み、エマに手を差し出した。


「うん、行こう!」


 エマはその手を取り、二人でボールパーティ会場へと向かった。


 会場に入ると、そこは美しく装飾され、煌めくシャンデリアの下で音楽が流れていた。すでに多くの学生が集まっており、楽しそうに談笑したり、ダンスを踊ったりしている。そこには、ソフィアとフィンの姿もあった。


「ソフィア! フィン!」


 エマが声をかけると、二人は振り返った。ソフィアは赤いドレスを身にまとい、普段よりもずっと華やかな雰囲気をまとっていた。そして、なぜか顔が真っ赤だ。


「え、えっと……あ、エマ……」


 ソフィアはどこかそわそわしながら視線を逸らす。


「ソフィア、どうしたの?」


 エマが不思議そうに尋ねると、横に立っていたフィンが少し照れくさそうに笑った。


「実はさ……俺たち、付き合うことになったんだ」

「えっ!? いつの間に!?」


 エマは目を丸くして驚いた。


 ソフィアはさらに顔を真っ赤にしながら、「つい最近……」と小さな声で答えた。


「そうだったんだ! おめでとう!」


 エマは驚きつつも嬉しそうに笑みを浮かべた。


 ソフィアとフィンを祝福するエマを見ながら、ルイはどこか穏やかな笑みを浮かべていた。彼もまた、この平和なひとときを大切に思っているようだった。


 音楽が響く広間で、ルイとエマは美しいステップで踊り始めた。周りの視線が一斉に二人に注がれ、エマとルイの動きに見とれる学生たちの声がわずかに聞こえる。その姿に、誰もが目を奪われていた。エマの動きは自然で、ルイとの調和が抜群だった。


 やがてダンスが終わり、会場に拍手が響いた。二人はほんの少し微笑みながら、視線を交わした。


 ボールパーティも終盤に差し掛かり、華やかなダンスの余韻が残る中、ルイが突然エマをそっと呼び寄せた。


「エマ、少しだけここを抜け出さないか?」


 エマは少し驚いたが、ルイの真剣な表情を見て頷いた。


「どこに?」

「ちょっとした場所があるんだ」


 二人は会場を後にし、ルイに導かれるまま進んだ。やがて、二人はパーティ会場の屋上へとたどり着いた。


 「ここ……?」エマが驚いて目を見開いた。


 屋上の一角には、魔法で作られた美しい庭園が広がっていた。星明かりが照らす中、夜風が優しく吹き抜ける。花々が咲き乱れ、小さな池が静かに光を反射している。その風景はまるで別世界のように、幻想的で穏やかな雰囲気に包まれていた。


 「ここが、俺が一番落ち着く場所だ」とルイが静かに言う。


 「すごい……こんな場所があったなんて知らなかった」とエマは驚きながらも、少し嬉しそうに目を輝かせる。


 「ここには誰も来ない。静かで、何も考えなくていい。ただ、俺とエマが少しだけ、こうしていられる場所だ」とルイが続けた。


 エマはその言葉に胸が温かくなるのを感じた。


 「いい場所だね」エマはそのまま、ふっと微笑んだ。


 ルイは少し照れたように目をそらすと、また静かにエマを見つめた。


「何も考えずに、ここで少しだけ過ごしていこう」


 ルイの声が優しく響き、エマはその言葉に頷く。二人だけの静かな時間が流れ、エマは無意識にルイの横顔を見つめていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!第二章は以上で完結です!


少しでも面白い、続きが気になると思われましたら、是非ブックマーク登録か評価(↓の☆)していただけると大変励みになります!


引き続き頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします

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