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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第二章 マーレディア・アカデミー

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50. 大切な人

 エマが屋上の扉を開けた瞬間、目の前に広がった光景に目を見張った。ルイは地面に膝をつき、左腕を押さえて痛みに耐えている。


 周囲には、魔法連盟のアレクサンドラ、リチャード、セリアの3人が立っており、ルイに向かって魔法を放っていた。リアナもその場に立っており、冷静に状況を見守っている。


「ルイ!」


 エマが思わず声を上げるが、その声はすぐにかき消される。アレクサンドラが冷たい目でルイを見下ろしながら口を開いた。


「学校中を探し回ってもレクス・ソルヴィールは見つからなかった」


 アレクサンドラは冷徹に告げる。


「あと考えられるのは、アーク・カレッジしかない」


 リアナがその言葉に続くように、ルイに向かって言った。


「あなたが持っているのなら、それを魔法連盟に渡すべきよ! 学生が使える代物じゃない。あなたのためでもあるのよ!」


 ルイは無言で立ち上がり、強く反論する気配も見せない。だが、その瞳には何か決意のようなものが宿っている。


「それはできない」


 ルイは静かに言うが、アレクサンドラは容赦なく魔法を放つ。


「ならば、強制的に取り上げるまで!」


 アレクサンドラが杖を振りかざし、強力な魔法を放つ。その魔法はルイに直撃し、彼は地面に倒れ込んだ。


 エマは思わず駆け寄り、ルイの名前を呼びながら彼の元へと走った。心臓が激しく鼓動し、手足が震える。ルイは意識を失っているようだったが、まだ息はしている。


「ルイ!」


 エマは膝をつき、彼の顔を見つめる。涙がにじんできた。


 エマがルイの倒れた姿を見つめていると、アレクサンドラが冷たく言葉を投げかけた。


「リアナから聞いていたほどの魔力じゃないわね。まだ魔力を抑えているの?」


 彼女の視線がルイに向けられたままだったが、その声はエマを挑発するようだった。その冷ややかな言い方に、エマは思わず体が震えた。


「私の大切な人に何すんのよ!」


 エマがそう叫んだ瞬間、彼女のソルヴィールが強く輝き始めた。黒く沈んでいたその宝石が突然光を帯び、徐々に鮮やかなシトリン色へと変わっていく。黄金色の輝きが放射状に広がり、周囲の空気が震えだした。エマの体から溢れる膨大な魔力に、アレクサンドラたちは驚きと戸惑いを隠せない。


「まさか……!」


 アレクサンドラが動揺しながらも呪文を唱えようとする。


 その時、轟音とともに巨大な影が屋上に現れた。エマが手懐けたクラーケンが建物を揺るがす勢いで姿を現し、威圧感たっぷりに触手を広げる。そして、クローキャットのクロもその巨体を膨らませ、エマの前に立ちはだかった。


 クラーケンは触手を振り回してセリアを牽制し、クロはアレクサンドラに飛びかかる構えを見せた。魔法連盟のメンバーは一瞬にして押され気味になる。


 さらに、エマのポケットからキラキラと光る小さなクリスタルが飛び出した。ヴィラだ。いつも可愛らしい姿でエマのそばに寄り添う彼女の魔法精霊が、空中で輝きながら変貌を遂げる。


 光の中から現れたのは、巨大な魔法精霊だった。可憐な姿とは一転し、強大なオーラを放つヴィラの鋭い眼差しがアレクサンドラたちを威圧する。エマの怒りと魔力に呼応するかのように、ヴィラの背中から羽が広がり、その一振りで屋上の空気が揺れる。


「これが……あの学生の力なの?」


 アレクサンドラが歯ぎしりしながら呟いた。

 

 エマは仲間たちの姿に力を得るように立ち上がり、敵を睨みつける。


「ルイに手を出すなんて、絶対に許さない!」


 屋上はエマの怒りと魔力、そして彼女を守る魔法生物たちの圧倒的な存在感に包まれ、激しい戦いの幕開けを告げるかのように緊張感が張り詰めた。

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