44. カフェエリア
エマはマーレディア・アカデミーでの生活に慣れ、授業を通じて着実に対人戦の技術を磨いていた。授業の後や空いた時間には、図書館で知識を深める日々。特に回復や癒しの魔法、水の魔法生物の扱いに関する文献を熱心に読み漁っていた。
ある日の午後、エマはアナともう一人の友人、リリアン・モーガンと一緒にカフェエリアで休憩していた。リリアンは赤茶色の髪をツインテールにしており、明るい性格が特徴の少女で、エマとは図書館で出会って以来、親しくしている。リリアンは回復魔法に長けており、対人戦や実技授業でエマをよくサポートしてくれる存在だ。
「ねえエマ、この『ブルー・スプラッシュ』を飲んでみて! 本当に美味しいんだから!」
リリアンが声を弾ませて勧めた青い飲み物をエマは受け取る。
「アナも勧めてくれたけど、本当に美味しいね。甘すぎなくて飲みやすい!」
アナが微笑みながら話に加わった。
「このカフェ、意外と飲み物の種類が多いのよね。水をテーマにしたものが多いけど、たまに限定のデザートもあるのよ」
「私、次はこの『シー・ジェリー・フロート』に挑戦したいな!」
リリアンがメニューを眺めながら言うと、エマは思わず笑ってしまった。
穏やかな時間を過ごしていると、背後から明るい声が響いた。
「アナ! 久しぶりだな!」
振り返ると、ウィザード・ボートレースで準優勝だったノア・リヴァースが立っていた。日焼けした肌にツヤのある茶色の髪、堂々とした立ち姿が印象的だ。
「ノア!」
アナは嬉しそうに声を上げ、立ち上がった。
「相変わらず元気そうね! でもボートレースは準優勝だったらしいじゃない」
「来年は優勝するさ!」
その後、ノアの視線がエマに向けられた。
「そっちの子たちは?」
「あ、こっちはエマ。アルカナ魔法学校から短期留学で来てるの。それからリリアン、回復魔法が得意な友達よ」
「へえ、アルカナ魔法学校からか。僕はノア・リヴァース、水の攻撃魔法や防御魔法が得意だ。水に関することなら任してくれ!」
エマが緊張しながら自己紹介すると、ノアは興味深そうににやりと笑った。
「もしかして、君、クラーケンを手懐けたっていう噂の子?」
「えっ……あ、あれは偶然というか……必死だっただけで……」
エマが照れながら答えると、リリアンが驚いたように声を上げた。
「そうだったの!? エマ、すごいじゃない!」
ノアはそんな二人の反応を楽しむように笑うと、「今度ぜひ対人戦で戦おう!」と言い残し、爽やかな笑顔で手を振りながら去っていった。




