43. 対人戦
翌朝、エマは目を覚まし、軽く支度を整えていた。すると、部屋のドアをノックする音が聞こえ、ドアを開けると、アナが笑顔で立っていた。
「おはよう、エマ。初めての授業の日ね。準備はできた?」
「はい、大丈夫です! 今日はどんな授業があるんですか?」
「最初の授業は対人戦よ。ここでは学年関係なく一緒に学ぶから、ちょっとハードルが高いかもしれないけど。とにかく体験してみることが大事よ」
エマは少し緊張しながらもうなずき、アナについていった。
アナに案内されて向かったのは、マーレディア・アカデミーの屋上だった。広大なスペースにはいくつもの透明なドームのようなものが並んでおり、それぞれの中で学生たちが対人戦を行っていた。エマはその光景に息を呑んだ。
「このドーム……水でできてるんですか?」
「ええ、特殊な水のバリアよ。これがあるから、飛ばされても衝撃が和らぐし、強力な魔法を使っても周りに影響を与えないの。安心して戦える環境が整っているのよ」
エマが見ていると、遠くのドームの中で激しい戦いが行われていた。ある学生が相手に大きな魔法を放つと、それがドームの壁に当たり、魔法のエネルギーが瞬時に消滅した。飛ばされた学生も水のクッションに包まれたように柔らかく着地していた。
「すごい……」
エマがその光景に見とれていると、近くで突然、一人の学生が倒れ込んだ。彼の腕から血が流れているように見え、エマは驚いたが、すぐに透明な水の精霊が現れ、彼の傷口に触れると、傷が瞬時に治っていった。
「ここでは、水の精霊が安全を確保してくれるの。だから本気で戦えるのよ」
アナが説明する中、中央の一際大きなドームに目を向けると、そこには威厳のある教授が立っていた。教授は周囲の様子を見渡しながら、的確に指示を出している。
アナと共に中央のドームへ向かうと、教授がエマに気づき、近づいてきた。
「君が短期留学生のエマ・ブラウンだね。さっそくだが、空いているバリアの中に入り、対人戦を始めてみよう」
エマは一瞬戸惑ったが、教授の目を見て覚悟を決めた。
「はい、わかりました」
アナが励ますように微笑み、エマの背中を軽く押した。
「大丈夫。エマならできるわ。焦らず、自分のペースで戦ってね」
エマは空いている水のバリアに入ると、すでに待機している相手の学生と向き合った。相手は少し年上のように見える黒髪の少年で、鋭い目つきでエマを見据えていた。
「君が相手か。遠慮はしないから、準備はいい?」
「はい、お願いします!」
エマが答えると同時に、対人戦が始まった。少年が水の刃のような魔法を放つと、エマは必死に防御魔法を唱え、なんとかそれを弾き返した。しかし、攻撃は連続的に飛んでくる。
「くっ……!」
エマは圧倒されそうになりながらも、ソルヴィールのネックレスに手を添え、魔力を感じ取った。
「落ち着いて……私はできる!」
エマは深呼吸しながら、基礎魔法の一つ『アクア・スクートゥム』を発動。水の盾が彼女の前に展開し、相手の攻撃を防ぎきる。その隙をついて、エマは小さな水の波を作り出し、相手の足元を崩した。
「やるじゃないか!」
少年が笑顔でそう言うと、バリアの外から教授の声が響いた。
「そこまで! 初戦としては上出来だ」
エマは肩で息をしながら少年にお辞儀をした。
「ありがとうございました!」
少年もにこやかに頷き返し、バリアの外に出たエマをアナが迎えた。
「やるじゃない、エマ! 初めてであれだけ動けるなんて!」
エマは少し照れながらも、新たな一歩を踏み出した手応えを感じていた。
「これからももっと頑張らなくちゃ!」
【御礼】
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