39. ルイの部屋
学長から短期留学を提案されてから数週間後、ついにエマがマーレディア・アカデミーへ旅立つ日が迫っていた。
その前日、エマはルイの部屋に遊びに行くことになっていた。
「そういえば、魔法学校でルイの部屋に行くのは初めてだな……」
クローキャットのクロを連れ、エマは静かに呟きながらアーク・カレッジへ向かう専用エレベーターに乗り込んだ。通常、自分の所属していないカレッジへは出入りできないが、ルイが案内人に話をつけてくれたおかげで、エマは自由に出入りできるようになっていた。
エレベーターが到着すると、ルイが入口で待っていた。
「ルイ! なんだか久しぶりだね!」
「俺も授業が忙しかったからな。部屋に案内するよ」
ルイの部屋は広々としていて、大きな机やベッド、キッチンスペースまでも揃っていた。窓から見えるアルカナ魔法学校の景色は、息をのむほど美しかった。
「うわぁ! アーク・カレッジの部屋って広いんだね! ロンドンのルイの部屋が狭く感じちゃうなぁ」
「ロンドンの部屋の方が落ち着くけどな」
「確かに、あっちは温かい雰囲気があるもんね」とエマは笑顔で答えた。
「それより、明日から短期留学か。1か月で戻ってくるんだよな?」
「そう、その予定! マーレディア・アカデミーってどんなところなんだろう?」
「面白そうだな。でも無理はするなよ」
「大丈夫! あ、そうだルイ、お願いがあるの」
「お願い?」
エマはクロを抱き上げながら話を続けた。
「私が留学中、クロちゃんの世話をお願いできないかな? ルミナス・カレッジの皆に頼んだら『魔法をかけてないクローキャットを世話するなんて自殺行為だ』って断られちゃって……でもルイなら大丈夫だよね?」
「ああ……一筋縄ではいかないだろうけどな」
「ありがとう! 猫じゃらしも渡しておくね!」
「……なんで持ってるんだ?」
「ルナの猫じゃらしが何故かインフィナイトの箱に入ってたんだよね」
「それはまた謎だな……」
ルイは少し笑いながらエマの方を見た。そして、少し表情を変えて言った。
「そうだ、エマ、ちょっといいか?」
ルイがエマの髪飾りにそっと手を伸ばすと、髪飾りはふわりと柔らかい光を放ち始めた。
「あたたかい……」
「もしも何かあったとき、この髪飾りを握りしめろ。魔力を回復できるようにしておいた。留学中、何が起きるかわからないからな」
「いつもありがとう」
「コルム・クッキーのお礼だ」
「あ……忘れてた……あ、あれって、家族に贈るものなんだよね!?」
「そうだな」とルイは笑顔を浮かべた。
エマもその微笑みを見つめながら、小さな安心感を胸に抱いた。そして、彼女の留学に向けた最後の準備が静かに進んでいくのだった。
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