35. お呼び出し
授業を終え、エマが寮の部屋に戻ると、机の上に一通の手紙が置かれていた。封を開けて中を読むと、その内容に驚きの声を漏らした。
「学長からのお呼び出し……? 一体何の用だろう……それに、学長室って確かアーク・カレッジの中だよね……」
手紙を握りしめながら、エマはふとルイにコルム・クッキーを渡したことを思い出した。しかし、今はそれよりも学長室へ向かうことが優先だ。
アーク・カレッジへ行くには、専用のエレベーターを使う必要がある。このエレベーターは宙に浮き、光の道を辿って自動的に移動する仕組みだ。まるで空中を漂う魔法の絨毯のようなそれに、エマは少し緊張しながら向かっていった。
エレベーターの前には案内人が待機しており、エマが学長からの手紙を見せると、丁寧に一礼した後、「ではご案内いたします」と言って一緒に乗り込んだ。
エレベーターは音もなく動き出し、徐々に高度を上げていった。エマの目の前にはアルカナ魔法学校全体が広がり、その美しい光景に思わず息を呑む。建物と緑のコントラスト、遠くに見える魔法界の空が作り出す景色はまさに圧巻だった。
「すごい……」
案内人は微笑みながら、「アーク・カレッジへの道中での景色は特別なものです」と答えた。
アーク・カレッジに到着すると、その壮麗な建物がエマを圧倒した。入り口にはコンシェルジュが控えており、さらに学内案内のスタッフが学長室までの道を案内してくれることになった。
「どうぞこちらへ」と案内人の後をついていくと、廊下の両側には歴代の所属学生たちの写真が飾られていた。彼らは皆、輝かしい成績や功績を残した人物たちなのだろう。
途中、コモンルームの方から声が聞こえてきた。
「ねえ、コルム・クッキー誰からもらったの?」
「さあな」
リアナとルイの声だ。どうやらコモンルームで会話をしているらしい。
エマは思わず足を止めたが、扉を開けて確かめるわけにもいかない。できるだけ気配を消して、コモンルームの扉を通り過ぎる。
(仲良いのかなあ)
エマは気を取り直して学長室へと急いだ。




