34. プレゼント
「エマ? ボーッとして、どうしたの?」
エマがダイニングホールで考え事をしていると、ソフィアが話しかけてきた。
「あ、うん……ルイに何かプレゼントしたいなと思って」
「プレゼント?」
「うん。こっちに来てから色んな物もらったり、教えてもらったり、助けてもらったりして……何かあげたいんだけど、魔法道具とかは沢山もってるし、どうしようかなあって」
「……それなら良いアイデアがあるわ!」
ソフィアが何かを閃いたようだった。
そして翌日、エマはソフィアに言われた通り、ルミナス・カレッジの寮にある共有のキッチンに集合していた。
「じゃーん! これを作ってプレゼントすれば間違いないわ!」
ソフィアが嬉しそうに見せてきた紙には『コルム・クッキーのレシピ』と書かれていた。
「コルム・クッキー?」
「そう! コルム・クッキーは、魔法界で大切な人に贈るプレゼントとして知られているから、きっと喜ぶわ!」
「そうなんだ! ありがとう!」
「教えてあげるから、とりあえず作ってみましょ!」
「うん!」
こうして、エマはソフィアに教えてもらいながらコルム・クッキーを作ることにした。
しばらくして、カラフルな魔法の粒が散りばめられたハート型のクッキーが完成した。
「できたー!」エマは喜びの声を上げた。
「フフフッ。すごく良い感じね。このクッキーは、作り手の心がそのまま反映されるクッキーなの。きっとすごく美味しくできてるわ」
「私の心が……?」
「ええ、ルイくん、絶対喜ぶわ!」
ソフィアは妙に満足げな笑顔を浮かべていたが、エマはそれに気づかず、自分の部屋に戻って早速クリスタルでルイに話しかけた。
「ルイー? 聞こえる〜?」
「おお。どうした?」
「あのね! 渡したいものがあるんだけど、どこかで会える?」
「今からそっちに行こうか?」
「うん! お願い!」
そう言って、ルイはエマの部屋にワープしてきた。
「どうした?」
「いつものお礼にコルム・クッキー作ってみたの! きっと美味しくできてると思うから、食べてみて!」
「……コルム・クッキー?」
エマはハート型のクッキーをルイに差し出した。ルイは少し驚きながらも、一口かじった。
「暖かくて優しい味だな。上手にできてるよ」
「よかった!」
エマが笑顔を見せると、ルイはエマの頭にポンッと手をのせた。
「ありがとう」
ルイが優しく微笑んでいたため、エマも嬉しそうにしていた。
翌日、朝からソフィアと一緒に教室に向かっていると、ソフィアは何やらニヤニヤしながらエマに質問をしてきた。
「ルイくんにコルム・クッキーあげたの? どうだった!?」
「うん! すごい喜んでくれたみたい!」
「それでそれで?」
「え、それだけだけと?」
ソフィアとエマが話していると、後ろからフィンがやってきた。
「コルム・クッキー!? エマ、誰にあげたんだ?」
「え、ルイだけど?」
「ルイかー! そうだよなあ……ルイなら仕方ない」
「どういうこと?」
「どういうことって……コルム・クッキーは、恋人とか好きな人に贈るクッキーだろ? まあルイとエマは幼馴染だもんなあ」
「え!?」
エマがソフィアの方を見ると、ソフィアは嬉しそうにしながら逃げていった。
「ソフィアー! 聞いてないよー!」
「大切な人に贈るクッキーって言ったわよ〜! フフフッ!」
エマの頬が真っ赤になったまま、教室へ向かう道はいつもよりも少しだけ騒がしかった。




