31. 伝統行事
「さあ、今年も始まりました! ウィザード・ボートレース! 実況は私、アルカナ魔法学校セリーナ・カレッジ所属のエリオが担当します!」
場内に魔法で増幅された声が響き渡る。観客たちは色とりどりの旗を振り、大歓声で応えている。
「今年はアルカナ魔法学校から8組、そして姉妹校であるマーレディア・アカデミーから10組、合計18組のペアが出場です! 毎年恒例、一番にゴールしたペアには優勝トロフィーが贈られます!」
大きなモニターに各ペアの姿が映し出されると、さらに歓声が大きくなる。
「選手たちの様子は上空のモニターからもご覧いただけます! では、早速出場者たちの入場です!」
ボートに乗った選手たちが川のスタート地点に次々と現れると、観客席のボルテージは一気に上がった。
「見て! ほら、あの人よ! 特別試験に合格して今年からアーク・カレッジに所属したリアナ・ヴェイルよ! すごい美人!」
ソフィアが興奮した声で叫ぶ。
「本当だ! リアナのペアは、アーク・カレッジのヴィクター・クロウフォードだ!」
フィンも感心したように頷く。
「それにマーレディア・アカデミーからは、あの有名な水魔法のエキスパート、ノア・リヴァースが出場してるぞ!」
「すごい盛り上がりだね! マーレディア・アカデミーの学生たちはみんな水の魔法精霊を使うのかな? とっても綺麗!」
エマが興奮気味に言うと、フィンが答える。
「もちろんだ! 魔法精霊を召喚して攻撃や防御に使うのがこのレースの醍醐味だからな!」
上空のモニターに映る参加者たちは、それぞれ魔法精霊や魔法の準備を始めている。
「では皆様、大変お待たせいたしました! いよいよレースがスタートします! 出場者の皆さん、準備はよろしいですか?」
実況のエリオが最後の確認を取ると、選手たちから一斉に気合の声が上がった。
「それでは、第365回ウィザード・ボートレース……スタートです!」
合図と共にスタートラインを越えるボートたち。水しぶきが上がり、選手たちが一斉に魔法を発動させると、川全体が鮮やかな魔法の光に包まれた。観客たちは熱狂的な声援を送り、レースの幕が大きく上がった。




