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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第二章 マーレディア・アカデミー

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30/207

30. 新年度

「エマ、早く! ウィザード・ボートレース観に行くわよ!」


 ソフィアの声が寮の外から響く。


「ごめんごめん、行こう!」


 エマは急いで階段を駆け下り、彼女を追いかけた。


 ここはアルカナ魔法学校のルミナス・カレッジ。アルカナ魔法学校は新年度を迎え、エマは二年生になった。今日はアルカナ魔法学校の伝統行事であるウィザード・ボートレースをソフィアとフィンと一緒に観に行く予定だ。


 毎年姉妹校のマーレディア・アカデミーの学生たちも参加するこのイベントは、アルカナ魔法学校の学生たちにとって最大の楽しみのひとつだった。


 ルミナス・カレッジの門を開け、レースの開催地へ向かおうとすると、そこにはカイ・ファルディオンが立っていた。


 「やあ、みんな」とカイは皆に向かって挨拶をしたが、ソフィアとフィンは驚きを隠せないでいる。


「ソフィア、フィン、あのね、カイくんも一緒にいっていいかな? 色々あったけど、カイくんは悪気があったわけでもないし......仲直りしたくて」


 「エマが良いならいいぜ」とフィンは答え、ソフィアも小さく頷いた。学内での事件のことは、犯人が誰かは公表されていないが、ソフィアとフィンにはエマが真相を伝えていた。


「ソフィア、君にも悪いことをした。本当にすまない」

「いいのよ! 別にケガとかしてないし。それにエマが許してるなら、私ももう何も気にしないわ!」


 こうして、四人は川沿いのレース会場に向かって歩き始めた。


「ところで、ウィザード・ボートレースって何?」


 校内を流れる川沿いを歩きながら、川の上に浮かぶ大きなスタート台を見上げ、エマはフィンに尋ねた。


「ったく! 勉強はできるのに学校のことは本当に全然知らないんだな! 毎年この時期に行われる学校最大のイベントだよ!」


 フィンは目を輝かせながら説明を始めた。


「ボートレースは、ここアルカナ魔法学校の伝統的な魔法スポーツなんだ。姉妹校のマーレディア・アカデミーからも学生を招待して、魔法とスピードで競い合うレースだよ。ほら、あの川のコースを見てみろよ。カーブだらけだろ?」


 エマは川を見下ろしながら頷いた。川幅は広く、途中で何度も蛇行している。木々が覆いかぶさる箇所や急流になっている部分も見える。


「去年は入学したばかりで忙しくて観に行かなかったんだよな……そんなに難しいの?」


 エマは少し不安げな表情を見せた。


「当たり前だろ! ただの速さ比べじゃない。参加者は魔法で操るボートに乗って川を下るけど、途中に障害物がたくさんある。例えば、途中で魔法生物が出てきたり、急流を魔法でコントロールしなきゃならなかったり。他の選手からの攻撃もある。戦略も必要だし、魔法の腕前も問われる競技さ」


 フィンはさらに付け加えた。


「それに、このレースのもう一つの特徴は、二人一組で行うことだ。ペアで協力しないとゴールまでたどり着けない。だから、チームワークも試されるんだ」


「へえ......それにしても、姉妹校まで招待するなんて、すごく大きなイベントだね」


 エマは川を流れる水音を聞きながらつぶやいた。


「そうさ。アルカナとマーレディアの学生たちが一緒に競うから、ただのレースじゃなくて親善試合でもあるんだ。どっちの学校が勝つかは毎年注目の的だよ。去年はマーレディアが勝ったけど、今年こそはアルカナが勝つ番だ!」


 フィンは拳を握りしめて力強く宣言した。


「今年はアーク・カレッジからも参加者がいるらしいから、きっとアルカナが勝つよ」


 カイが微笑みながら呟いた。


 観客席に到着すると、既に会場は大盛り上がり。エマは初めて目にする魔法スポーツのスケールに心を奪われながら、興奮する友人たちと一緒に観戦を楽しむ準備を整えた。

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