29. 魔法連盟
ここは魔法界の最高機関、魔法連盟本部。古代から魔法界の中心として知られる空中都市エテルにそびえ立つ荘厳な建物である。この場所では、魔法界全体の調和を守るため、日夜重要な議論が繰り広げられている。
「先日、アルカナ魔法学校の方向から異常に強力な魔力を感知しました」
議場に響くのは、魔法連盟の最高責任者であるアレクサンドラ・ヴァレンスの威厳ある声だった。白金色の髪をまとめた彼女は、その眼差しに並々ならぬ知性と覚悟を宿している。
「これはレクス・ソルヴィールによるものである可能性が高いと考えられます。その膨大な魔力は、安易に扱えるものではありません。このような危険な古代の遺産は、魔法連盟の管理下に置くべきです」
その場に集まった幹部たちは静まり返り、次に発言したのは古代魔法を専門とするリチャード・エルモンド。歴史的知識と実践的な魔法力で知られる彼は、古い眼鏡越しにアレクサンドラを見据えながら静かに頷いた。
「おっしゃる通りです、アレクサンドラ様。フェルマール家が壊滅した今、レクス・ソルヴィールの管理権は、もはや連盟にしかないでしょう」
「賛成です」
その言葉に応じたのは、魔法戦術の専門家であるセリア・ノヴァーク。冷静で計算高い彼女は、すでにいくつかの対応案を頭に浮かべていた。
さらに続けるように、魔法生物学の権威、エドモンド・グリーンリーフが口を開いた。彼は穏やかな声ながらも、警鐘を鳴らすような口調だった。
「ただし、気をつけなければなりません。この力を求める勢力は多い。管理するだけでなく、その存在自体を隠匿すべきかもしれません」
最後に、未来予知の専門家であるカタリーナ・ヴェルディナが呟くように言った。
「しかし、未来は揺れています。もし誤った手を打てば、この力が魔法界全体を崩壊させる引き金になるかもしれない……」
アレクサンドラは静かに皆を見渡し、指示を出した。
「よろしい。まずは事態の調査です。私とリチャード、それからセリアがアルカナ魔法学校へ向かいます」
「アレクサンドラ様、その前に私からご提案がございます」
セリアによる対応案を踏まえ、レクス・ソルヴィールの行方を巡る動きが、ついに始まろうとしていた。




