24. 対決
ある日の夜、エマはアルカナ魔法学校内の図書館での勉強を終え、ルミナス・カレッジへと向かって歩いていた。
薄暗い道を進む中、月明かりの下にひとりの影が浮かび上がる。フードを深く被った学生が、エマの行く手を塞いでいた。
レガリア・カレッジの紋章がついたローブを身にまとっている。
「……誰?」
エマが問いかけると、謎の学生は無言のまま杖を向けた。
「イグナイト!」
杖の先から放たれた赤い閃光が、燃え盛る炎となってエマに向かって飛んでくる。
「きゃっ!」
エマはとっさに身をひねり、近くの木陰に身を隠した。肌に感じる熱気が、危険な状況を物語っていた。
「何をするの……!」
しかし、返事はなく、謎の学生は再び杖を構えた。容赦のない攻撃が続き、エマは必死に身を伏せる。
(どうしてこんなことを……誰か……ルイ、助けて……!)
心の中でそう叫んだ瞬間、エマが髪に留めている髪飾りが淡い金色の光を放ち始めた。その光は次第に強まり、エマの周囲に広がっていく。
「……何?」
光はエマを包み込むように輝き、次の瞬間、見えないシールドとなってエマを守った。謎の学生が放った炎が、目に見えない壁に衝突し、弾け飛んだ。
その時、静寂を裂くようにだれかの声が響いた。
「エマ! 大丈夫か!?」
カイが駆けつけ、杖を振り上げる。強烈な風が巻き起こり、謎の学生は後方に吹き飛ばされた。フードが外れ、その顔が露わになる。
「あ……あの子……」
エマは驚きの声を漏らした。
「入学式の日に……人間の悪口を言ってた子……」
エマはその場にへたり込みそうになる。だが、次の瞬間、カイが彼女のそばに駆け寄り、そっと肩を抱いた。