23. 決意
ソフィアが襲われてから数日が経った。エマは彼女の回復を見守りながら、自分の中で覚悟を固めていた。
もしまた人間に関する話題が出たら、その時は隠さないで話す。それがエマの決意だった。
ある日の昼休み、ルミナス・カレッジの庭園でエマとソフィア、フィンが話していたとき、隣のテーブルで聞き覚えのある言葉が耳に飛び込んできた。
「最近、人間がアルカナに紛れ込んでるって噂、聞いた?」
「聞いた聞いた。どうしてそんな奴がここにいるんだろうね。魔法使いの学校なのに」
エマは息を飲んだ。フィンが不安そうに彼女を見つめ、ソフィアはぎゅっとエマの手を握った。
「……私のことだよ」
エマは、隣のテーブルに向かって話し始めた。
「私が、その人間です」
突然の告白に、隣のテーブルに座っていた学生たちは目を丸くした。
「え……本当なの?」
「なんでそんなことを隠してたんだ?」
「隠してたわけじゃない。怖かったの……受け入れてもらえないかもしれないって。でも、もう嘘をつきたくないの」
エマの真剣な表情に、隣の学生たちは戸惑いながらも、反発するような態度は見せなかった。その代わり、彼らは何も言わずに立ち去っていった。
その日を境に、「ルミナス・カレッジに人間がいる」という噂が徐々に広まっていった。カレッジ内の学生たちはエマを見る目が少しずつ変わり始め、好奇心や疑念の視線が彼女に注がれるようになった。
数日後、ルミナス・カレッジのダイニングホールでエマは同級生から声をかけられた。
「エマ、君が人間って本当なの?」
「……そうだよ。私は人間。でも、魔法を学びたくてここに来た」
エマの告白はまたしても周囲の学生たちの注目を集めた。彼らの中には、「すごいじゃないか!」と驚きながらも応援する声を上げる者もいれば、距離を取る者もいた。