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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第一章 アルカナ魔法学校
22/207

22. 大切な友達

 晩餐会が終わり、エマはソフィアとフィンと一緒にルミナス・カレッジへ戻ろうとしていた。しかし、ふと気づくとソフィアの姿が見当たらない。


「フィン、ソフィアがどこに行ったか知らない?」


 エマは少し心配そうに尋ねた。


「さっきまで一緒にいたはずだけど……レガリア・カレッジの中をもっと見たいって言ってたし、案内してもらってるのかもしれないね」


 フィンは少し呑気な口調で答える。


「でも、勝手にどこかに行くタイプじゃないと思うんだけど……」


 エマの胸に不安が広がる。それでも、これ以上遅くなるわけにもいかず、フィンと二人で先にルミナス・カレッジへ戻ることにした。


 帰り道、二人が石畳の小道を歩いていると、暗がりに何かが倒れているのが見えた。


「……誰かいる?」


 フィンが警戒心を込めた声で言う。


 エマが近づくと、その人影がソフィアだと気づき、青ざめた。


「ソフィア!? どうしたの!?」


 彼女の頬に触れると冷たく、意識がない。エマは震える手でソフィアの肩を揺さぶったが反応はない。


「急いで医務室へ連れて行こう!」


 フィンの力強い声に促され、二人はソフィアを抱きかかえながら魔法学校の医務室へ急いだ。


 医務室では、温かい光が柔らかく灯る部屋の中で、ソフィアがベッドに横たわっていた。しばらくして、ようやく彼女のまぶたがゆっくりと開いた。


「ソフィア!」


 エマは思わず彼女の手を握りしめた。


「エマ、フィン……ありがとう。私……何があったんだろう……」


 ソフィアは困惑した表情を浮かべていた。


「何か覚えてる?」


 フィンが優しく尋ねる。


 ソフィアは少しの間、記憶を探るように目を閉じた。そしてぽつりと呟く。


「誰かに……『お前が人間か?』って聞かれたの。それから、襲われたみたいで……」


 その言葉を聞いた瞬間、エマの胸が締めつけられるような思いに駆られた。


「ソフィア、ごめん!」


 エマは突然、涙をこぼしながら叫んだ。


「え? エマ、何を言ってるの?」


 ソフィアは驚いた顔で彼女を見つめる。


「私のせいでソフィアまで襲われるなんて……私なの。アルカナ魔法学校の人間って……」


 その言葉に、部屋の空気が一瞬静まり返った。フィンも何も言えず、エマを見つめている。ソフィアは驚いたように目を見開き、しかしすぐに優しい表情に変わった。


「エマ……あなたのせいじゃないわ」


 ソフィアはそっと手を伸ばし、エマの手を握り返した。


「でも、私がここにいるせいで……!」


 エマは涙をこぼしながらうつむいた。


「違う。エマ、聞いて。犯人は許せないけど、それはあなたの責任じゃないわ。それに、エマがここにいることがどれだけ素晴らしいことか、私は知ってる。だから、自分を責めるのはやめて」


 ソフィアの声は力強く、優しさが込められていた。


 エマはその言葉に、少しずつ心がほぐれるのを感じた。泣き顔のまま顔を上げると、ソフィアの微笑みが視界に広がった。


「ありがとう、ソフィア……」

「それに、何があってもあたしはエマの味方だからね。フィンだって、そうでしょ?」

「もちろんだ!」


 フィンが笑顔で答えた。


 エマはその瞬間、かけがえのない友達の存在の重みを強く感じた。

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