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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第一章 アルカナ魔法学校
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2. 新しい家族

「あれ? お母さんは?」

「ルイくんのお洋服を買いに駅の方まで出かけたよ。エマの服はやっぱり少し小さかったみたいでね」


 エマがまた外でマックスと遊んでいる間に、エミリーは出かけ、部屋にはトーマスとルイの二人だけになっていた。


 ルイは上着だけ着替え、紅茶を飲んでいるようだ。

幼いエマも、ルイには両親がいないということを聞き、ルイのことを心配して様子をみにきたのだ。


「ねえ、犬さん好き?」

「まあ」

「猫さんは?」

「エマ、ルイくんは今疲れてるみたいだから、ゆっくり休ませてあげてね」


 トーマスは、エマがルイに質問攻めしないよう声をかけたが、エマはそのままルイに話しかけた。


「お父さんとお母さん……帰るお家が無いなら、ロンドンのお家にいっしょに帰ろうよ」

「……え?」

「犬さんはいないけどね、猫さんはいるんだよ。猫さん、帰るお家が無くて家で引き取ったんだ。ルイくんもおいでよ」

「エマ、猫さんをお家に迎えるのとは全然違うんだよ」


 ルイは一瞬だけ驚いた表情をしたが、少し考え事をしているようだった。トーマスは、落ち着いたらルイのことを警察に相談するつもりでいたため、ルイを家に迎え入れるなんてことは考えてすらいなかった。ところが、エマの提案を聞き、ルイが自分から喋りだしたのだった。


「……一緒に行きたいです。ロンドンの家。両親も、帰る家も無いんです。お金ならあります。少しの間だけでも、ご迷惑でなければ」


 トーマスは驚いた。エマよりほんの少し年上ぐらいの男の子が、とても真剣に、礼儀正しく、一緒に住みたいと言ってきたのだ。養子として迎え入れるかどうかは別にして、しばらく家に泊めるぐらいは全く問題無いだろう。こんな小さな男の子が家族も家も無い、いや、きっとつい最近失ったのだ。


「わかった。じゃあ、明日一緒にロンドンのお家に帰ろうか。ロンドンに帰ったら、ルイくんのこと、もっと色々おしえてね。ゆっくりで大丈夫だから」

「ありがとうございます」


 どこか悲しそうな顔をしているルイと、彼を心配するトーマス。その横で、エマは嬉しそうにしていた。


「ロンドンに帰ったらいっぱい遊ぼうね!」


 兄弟の欲しかったエマにとって、ルイはすでに新しい家族だったのだ。


 こうして明日から、ルイとのロンドンでの生活が始まるのである。ルイが魔法使いであるとは、まだ知らずに。

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