表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第一章 アルカナ魔法学校
19/207

19. 人間狩り

「どうして教えてくれないのよ! アーク・カレッジのルイ様と知り合いだって! 知り合いどころじゃないわ、部屋にいたんだもの!」


 ルミナス・カレッジのダイニングホールで夕食を食べながら、エマはソフィアから質問攻めにあっていた。


「ルイは……幼馴染で……」


 エマは苦笑いを浮かべながら曖昧に答える。どうやらルイは、最年少で特別試験に合格してアーク・カレッジに所属したことで学内でも有名人らしい。


(初めてアルカナ魔法学校に来た時、やたら視線を感じたと思ったけど……今思えば、あれはルイが一緒にいたせいだったのかもしれない……)


「そんなの、もっと早く言ってくれればよかったのに!」


 ソフィアはパンをちぎりながらエマを睨む。


「いや、特に言う必要もなかったし……」

「何言ってるの! あのルイ様よ? アーク・カレッジのルイ様と幼馴染なんて、普通の学生ならそれだけで一目置かれるのに!」


 エマは返す言葉が見つからず、曖昧に笑ってごまかした。その時だった――。


「みんなー!」


 突然、ルミナス・カレッジの上級生がダイニングホールへ飛び込んできた。声には緊迫感があり、ホール中の注目を集める。


「レガリア・カレッジの三年生が、人間と疑われて襲われたらしいぞ! 新入生以外も気をつけろ!」


 その瞬間、ホールがざわつき始めた。


「新入生以外にも人間がいるの?」

「怖い……次は誰が襲われるのかしら」

「魔法の世界に人間なんて来るから、こんなことになるんだよ」


 周囲から聞こえてくる声に、エマは小さく身を縮める。


「学内でこんなに人が襲われるなんて……怖いわねえ」


 隣のソフィアが震える声で呟く。しかし、エマは何も言えなかった。


(私のせいだ……)


 手の中のスプーンがひんやりと冷たく感じられた。エマはそっと視線を下げ、心に広がる重苦しい感覚を押し込めようとした。


「ちょっと疲れたから、部屋に戻るね」そう言って、エマはダイニングホールを後にした。


 エマは、ルミナス・カレッジのすぐ近くに広がる庭園へと向かった。切りそろえられた芝生の緑が鮮やかに広がり、その向こうには木々が並ぶ小道が続いている。


「私がここに来なければ、こんなことにはならなかったのに……」


 エマの目には、学校の庭園が妙に遠い世界のように映った。


 木々の間から、不意に影が揺れた。エマは立ち止まり、じっと暗闇を見つめる。


「誰……?」


 小道の先から、長いローブをひらめかせながらレガリア・カレッジのカイ・ファルディオンが現れた。月明かりが彼の顔を照らし、その表情は冷たいがどこか好奇心に満ちている。


「君、人間だよね?」


 その言葉は、冷たい風のようにエマの心を揺らした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ