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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第八章 クロノス・アビス
182/207

182. 時間

 ルイに案内された部屋は、シンプルながらも落ち着いた客室だった。エマはソファに腰を下ろし、ルイを見上げる。


「ルイ……身長、伸びた?」

「……12年も経ってるからな」


 ルイはすべてを理解しているようだった。エマが過去から来たことも、今の状況も。


「12年……ってことは、ルイは29歳?」

「ああ」

「レクス・ソルヴィールはどうなったの!?」


 エマが勢いよく身を乗り出す。


「落ち着け」

「でも――」

「未来のことは、これ以上知らない方がいい」


 ルイの静かな言葉に、エマは戸惑った。


「……どういうこと?」

「お前が未来の情報を知り、それをもとに行動を変えれば、時間が歪む可能性がある」

「時間が歪む……?」

「そうだ。小さな変化でも、どこかで影響が出る。些細な違いが、思わぬ結果を招くこともある」

「……」

「幸い、お前はまだこっちに来たばかりだ。急いで戻れば大丈夫だ」

「よかった……」

「ここはロンドンだ。今から魔法界へ行こう」

「わかった。ありがとう、ルイ」


 ルイとエマはリビングに戻り、ルイは女性と子供たちに「少し出かけてくる。すぐ戻る」と伝えた。


 子供たちは「一緒に行きたい!」と駄々をこねたが、なんとか説得して留守番してもらうことにした。


 ルイは廊下の床に手をかざす。すると、魔法の光が走り、床に隠されていた地下へ続く階段が現れた。


「こっちだ」


 ルイはそう言い、先に降りていく。


 地下の隠し部屋には、ソファやテーブル、暖炉があり、その横にフェリスパウダーの壺が置かれていた。


「行くぞ」


 ルイは暖炉の中へ入り、エマもその隣に立つ。ルイがフェリスパウダーをひとつかみ取り、ゆっくりと宙に放った。


 細かな粒子が煌めきながら舞い上がる。瞬く間に光が渦を描き、二人を包み込んだ。


 視界が虹色に染まり、世界が揺らぐ。


 次の瞬間、二人の姿は消え去っていた。

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