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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第八章 クロノス・アビス
181/207

181. 質問

 エマは寝室のベッドに横になりながら、ぼんやりと考えていた。


「聞きたいことは山ほどあるけど……とにかく、今の状況をルイに伝えないと」


 そう独り言を呟いた瞬間、寝室のドアがノックされた。


「母様、紅茶を入れたけど、飲む?」


 扉の隙間から顔を覗かせたのは、先ほど自分を「母」と呼んだ男の子だった。


「……うん、ありがとう」


 エマが答えると、少年は扉を大きく開けて部屋へ入ってきた。その背後には、年配の女性が控えている。トレーの上には湯気の立つ紅茶が載っていた。


(誰……?)


 エマは見知らぬ女性に驚いたが、少年は何も気にした様子もなく、紅茶をベッドサイドのテーブルに置いた。


「ゆっくり休んでね」


 そう言うと、彼は部屋を出ていき、女性も静かに一礼して扉を閉めた。


(もしかして……お手伝いさん?)


 新たな疑問が湧き上がる。とりあえず、出された紅茶を口に含む。


「……美味しい」


 優しい香りが広がり、エマは少しだけ落ち着いた。


 しばらくして、ベッドを降りたエマは、部屋の片隅に置かれた姿見に目を向けた。


 そこに映っていたのは、髪を後ろで束ねた大人びた自分――。


「これが……未来の私?」


 ふと首元に目をやる。そこにあるはずのものが、ない。


「ソルヴィールが……ない!?」


 エマの心臓が一気に高鳴った。


 しかし、すぐに冷静になろうと深呼吸をする。


「……いや、無くしたわけじゃないはず。多分ここはイギリスだし……」


 考えても答えは出ない。今は状況を整理するほうが先だ。


 エマは意を決して、一階へ降りた。


 階段を降りると、すぐに小さな女の子が駆け寄ってきた。


「お母様、体調悪いの?」


 少女が心配そうに顔を覗き込んでくる。


「ごめんね、ちょっと風邪かも」


 エマは微笑みながら答えた。少女は安心したようにエマの手を握る。


 リビングへ入ると、ルイと男の子が並んでソファに座り、本を読んでいた。キッチンでは、先ほどの年配の女性が食器を片付けている。


 ルイがすぐにエマの姿に気づき、声をかけた。


「エマ、まだ休んでいたほうがいいんじゃないか?」


 エマはルイをじっと見つめた後、意を決して口を開く。


「ルイ……ニヴェラとクロは、今どうしてるの?」


 その質問を聞いた瞬間、ルイの表情が一変する。


「……エマ、ちょっと二人で話そうか」


 ルイは年配の女性に「子供たちを頼みます」と告げ、エマを別の部屋へと促した。

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