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エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜  作者: 希羽
第八章 クロノス・アビス
179/207

179. 未来

「お母様!!」

「母様!」

「疲れてるみたいだな」


 そんな会話が聞こえる中、エマはゆっくりと目を開いた。


「あ、起きた!」

「お母様、大丈夫?」

「……へ?」


 エマは目の前の状況が理解できなかった。


 目の前には、六歳くらいの男の子と、三歳くらいの女の子が、自分を見上げながら「母様」と呼んでいる。


「疲れてるなら、二階で休んでていいぞ」


 低く落ち着いた声に、エマは反射的に顔を向けた。そこにはルイが立っていた。


 しかし——違和感があった。


 ルイはルイだ。けれど、どこか違う。


 彼の顔つきは以前よりも大人び、醸し出す雰囲気はまるで別人のようだった。


「エマ? 大丈夫か?」

「へ?」

「体調でも悪いのか?」

「お母様、お熱?」

「え、あ、いや……」


(待って……たしか私は……ノスヴァルドの部下と戦って、遺跡の門に入って——)


「どうしよう!?」


 エマは思わず叫んだ。


「!?」


 ルイと子どもたちが驚いて目を丸くする。


「あ、ご、ごめん。驚かせちゃったね」


 取り繕うように笑うエマを、ルイはじっと見つめた。


「エマ、二階で少し休んでこい」

「う、うん。ありがとう」


 エマは立ち上がり、部屋を出ると廊下を見回す。


「階段、どこ……!?」


 焦りながら視線を巡らせ、ようやく階段を見つけると、駆け足で二階へと向かった。


(やばい、待って……ここ……未来だ!!)


 心の中で叫びながら、二階の廊下を進む。


「どの部屋で休めばいいんだろう……」


 とりあえず、目の前のドアを開ける。


「ここは……書斎?」


 部屋の中には本棚が並び、魔法書とともに人間界の本も置かれていた。


「ここはイギリス……なのかな?」


 疑問を抱きながら、本棚の背表紙を指でなぞる。ふと、ある一冊のタイトルが目に留まった。


 ――魂の古代魔法具。


「えっ……?」


 エマは驚き、思わず本に手を伸ばしかける。


「——いや、それどころじゃない!」


 慌てて手を引っ込めると、頭を抱えた。


(えっと、つまり……私はたぶん、未来に飛ばされて……)


 脳裏に浮かぶ、大人びたルイと二人の子どもたちの姿。


 男の子はルイによく似ていて、女の子の顔にはどことなく自分の面影があった。


「……ルイと結婚してる——!?」


 エマの絶叫が、家中に響き渡った。

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